市場調査コンサルタントの前田(@seigomaeda)です。製薬業界関係者向けに、世界のニュースソースから「お役立ち」情報を収集し、提供していますが、今日は、ノーベル賞受賞者のデータベース「Web of Science」や、毎年のノーベル賞受賞者の予測でも有名な「クラリベイト社」の「Drugs to Watch 2023」をご紹介します。このレポートは、クラリベイト者が毎年発行している恒例のレポートで、希望する方には無料で提供されています。
「Drugs to Watch」は、医薬品イノベーションが進化し続ける現在の状況において、今後注目するべき医薬品とそれらの医薬品を解説しています。10年以上にわたり発行し、これまでに70以上の医薬品が「Drugs to Watch」として特定されており、今後も注目すべき医薬品が紹介され、解説されています。2023年版も15の医薬品を厳選し、解説しています。将来の製薬市場に影響を及ぼす医薬品を把握したい製薬業界の方々にとって必見のレポートです。
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クラリベイト社の「Drugs to Watch」とは?
治療パラダイムを変革し、高いアンメットニーズに応える可能性を秘めた医薬品を詳細に予測分析したレポートで、ご希望の方に無料でて提供されています。
レポートは、がん治療薬、希少疾患治療薬、心臓病治療薬、自己免疫疾患治療薬など、様々な治療分野の新薬が含まれています。同社の専門家チームが、世界中の医薬品情報を収集、膨大なデータを分析、市場で注目するべき新薬を厳選しています。
候補になる新薬は、開発段階、臨床試験段階、承認段階、市場導入段階など、あらゆる段階で厳格な選定基準に従って審査されます。その選定基準には、以下のようなものが含まれます。
・疾患の深刻度
・治療のニーズや需要
・治療法のイノベーション度合い
・臨床試験のデータ
・投資家や業界専門家の評価など
最終的に、候補となった新薬を、専門家チームがさらに分析し、市場で今後最も注目するべき15の医薬品を選定、解説します。
厳格な選定基準に基づいた、信頼性の高い情報を提供している「Drugs to Watch」は、製薬業界の関係者や投資家に貴重な情報を提供しています。
タイトル | Drugs to Watch 2023 |
発行会社 | クラリベイト社 |
発行日 | 2023年1月 |
ページ | 英文 28 Pages |
納期 | ダウンロード申請登録後すぐ |
ダウンロードページ | https://clarivate.com/drugs-to-watch/ |
15の医薬品一覧ページ | https://clarivate.com/drugs-to-watch/drugs-to-watch-listing/ |
価格 | 無料 |
「Drugs to Watch 2023」
今年の分析では、2023年に市場に投入される、または主要な適応症で新たに承認され、2027年までにブロックバスターの地位を獲得する、または世界中の何百万人もの患者にとって臨床的ゲームチェンジャーとなる医薬品が対象となっています。
このような基準で、5年以内にそれぞれ10億ドル以上の年間売上高を達成すると予測される15の後期段階の実験的治療薬を特定しました。
個別化医療
個別化医療は、過去7年間のFDA承認の25%以上を占めています。個別化医療の台頭は、オンコロジーや希少疾患をはじめ、以前は治療が非常に難しかった疾患に対する治療機会を提供しています。
中国のみでのブロックバスター医薬品が9品目
本レポートでは、中国本土におけるブロックバスターの可能性にも注目しています。
クラリベイト社は、2030年までに中国本土で10億ドルを達成する可能性のある医薬品を、9つ特定しています。
この9品目のうち、8品目はがん治療薬です。これは、「Healthy China 2030」の医療改革により、中国本土で増加するがん患者への負担に対応することに重点が置かれていることを反映しています。
国連の「持続可能な開発目標」
さらに、国連の「持続可能な開発目標」で強調されている疾患への対応についても、業界の進捗状況を調査しています。
これらの目標は、結核、マラリア、顧みられない熱帯病、水媒性疾患などの感染症のみならず、妊産婦の死亡、精神疾患や薬物乱用などの感染症以外も注目しています。
「Drugs to Watch2023」で注目の医薬品は?
「Drugs to Watch2023」では、15の医薬品に関し今後注目するべき医薬品として選んでおります。リンクはクラリベイト社のDrugs to Wachページの各医薬品の解説ページへの外部リンクで、リンク先のページでは更に以下のような内容をご覧いただけます。
■ 製品ついて
■ なぜ、Drugs to Watchに選ばれたのか?
■ 臨床試験・承認状況
■ 治療市場への影響は?
■ うめる治療ギャップは?
■ ブロックバスターへの条件は?
レポートは、クラリベイト社のホームページからお申し込みの上、御覧ください。「Drugs to Watch2023」は、ご希望の方に無料で提供されています。
このDrugs to Watchは、クラリベイト社から毎年発行されて今年で10年目となります。ダウンロード申し込みサイトでは、過去のトレンドや方法論も紹介されておりますのでどうぞご活用ください。(リストは英文名アルファベット順です。)
医薬品名 | 開発会社 | 疾患名 | 作用機序 |
ビメキズマブ Bimekizumab (BIMZELX®) | UCB | 中等度から重度の乾癬 | IL-17A/Fの双方を抑制する最初の医薬品 |
カピバセルチブ Capivasertib (AZD5363) | アストラゼネカ | 乳がん | AKTキナーゼの阻害剤 |
ダプロデュスタット Daprodustat (GSK1278863/Duvroq) | GSK | 慢性腎臓病関連の貧血 | HIF-PHI |
デュークラバシチニブ Deucravacitinib (SOTYKTU™/BMS-986165) | BMS | 乾癬 | TYK2の選択的阻害剤 |
ヴィアレブ Foscarbidopa/foslevodopa (ABBV-951) | アッヴィ | 進行性パーキンソン病 | カルビドパ/レボドパの新しい投与法 |
レカネマブ LEQEMBI™ (BAN2401) | エーザイ、バイオジェン | 早期アルツハイマー病 | Aβモノクローナル抗体 |
ドナネマブ Donanemab (LY-3002813) | イーライリリー | 早期アルツハイマー病 | Aβモノクローナル抗体 |
Lenacapavir (Sunlenca®/GS-6207) | ギリアド | HIV感染症 | HIVカプシド阻害剤 |
ミリキズマブ Mirikizumab (LY-3074828) | イーライリリー | 潰瘍性大腸炎、クローン病 | IL-23のp19サブユニットを標的とするモノクローナル抗体 |
Pegcetacoplan (EMPAVELI®/ASPAVELI®/APL-2) | アペリスファーマシューティカルズ | 非典型的溶血性貧血、地理的萎縮 | C3変換酵素阻害剤 |
リトレシチニブ Ritlecitinib (PF-06651600) | ファイザー | 脱毛症 | JAK阻害剤 |
スパルセンタン Sparsentan | Travere Therapeutics | IgA腎症、FSGS | ETAとAT1の二重アンタゴニスト |
テクリスタマブ Teclistamab | ヤンセンファーマ | 多発性骨髄腫 | B細胞成熟抗原(BCMA)に結合して、腫瘍細胞を認識・攻撃 |
テプリズマブ Teplizumab | プロヴェンション・バイオ | 1型糖尿病 | 抗CD3モノクローナル抗体 |
ロクタビアン Roctavian, Valoctocogene roxaparvovec | バイオマリン | 血友病A | ファクターVIIIの遺伝子を欠損している患者に対して、ファクターVIIIを生産するための正常な遺伝子を導入 |
クラリベイト社の「Drugs to Watch2023」ご利用ください。
この記事では、日本の製薬業界の方向けにクラリベイト社の最近発行となったレポート「Drugs to Watch 2023」をご紹介しました。紹介のレポートは、登録後、無料ですぐにダウンロードが可能です。
本レポートでは、医薬品イノベーションが進化し続ける現在の状況において、今後注目するべき医薬品を同社が厳選し、紹介解説しています。過去10年以上にわたり発行され、70以上の医薬品が「Drugs to Watch」として特定されています。今回は15の医薬品を今後注目すべき医薬品が紹介されています。
レポートは、がん治療薬、希少疾患治療薬、心臓病治療薬、自己免疫疾患治療薬など、様々な治療分野の新薬が含まれており、世界中の医薬品情報を収集、膨大なデータを分析した上で厳選されています。
この記事では、レポートの一部をご紹介いたしましたが、ご興味のある方は、ページ内で紹介のクラリベイト社の外部リンクから更に詳しく情報が得られますので、どうぞご利用ください。
「Drugs to Watch2023」から
Bimekizumab (BIMZELX®)|UCB|中等度から重度の乾癬
ビメキズマブは、IL-17AおよびIL-17Fという炎症性サイトカインを阻害することで、関節リウマチや乾癬などの炎症性疾患の症状を軽減する作用があります。ビメキズマブは、中等度から重度の尋常性乾癬を治療する初めてのIL-17 A/Fデュアル阻害剤です。
現在、欧州および米国で関節リウマチおよび乾癬関節炎の治療薬として承認されており、臨床的に有効であることが示されています。また、日本でもビメキズマブの承認申請が行われ、関節リウマチに対する第III相臨床試験が進行中です。今後、ビメキズマブが新しい炎症性疾患の治療に役立つことが期待されています。
Capivasertib (AZD5363)|アストラゼネカ|乳がん
カピバセルチブは、AKTというタンパク質を阻害することによってがん細胞の成長を抑制し、死滅させる作用があります。主にHER2陰性の乳がん患者に対して、ホルモン療法と併用して使用されます。
米国と欧州でのカピバセルチブの臨床試験の状況については、現在、第IIb相、第III相臨床試験が進行中です。日本でもアストラゼネカ社によって第II相臨床試験が進められています。
アストラゼネカ社が主導している臨床試験では、HER2陰性の乳がん患者に対して、カピバセルチブをホルモン療法と併用することで、治療効果が向上することが期待されています。
また、カピバセルチブは、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、子宮内膜がんなど、他のがん種に対しても検討されています。これらの臨床試験の結果によっては、カピバセルチブが幅広いがん治療に役立つことが期待されています。
Daprodustat (GSK1278863/Duvroq)|GSK|慢性腎臓病関連の貧血
ダプロデュスタットは、腎臓においてエリスロポエチンを産生する細胞である間葉細胞に作用し、エリスロポエチンの産生を刺激することにより、貧血の治療に有効な薬剤です。貧血は、様々な疾患によって引き起こされ、エリスロポエチンが不足することが原因となります。
ダプロデュスタットは、腎臓の間葉細胞に働きかけ、エリスロポエチンの産生を増加させることで、貧血を改善することができます。現在、慢性腎臓病に伴う貧血の治療薬として、世界各地で臨床試験が行われています。日本では慢性腎臓病に伴う貧血治療薬として、承認されています。
Deucravacitinib (SOTYKTU™/BMS-986165)|ブリストルマイヤーズスクイブ|乾癬
デュークラバシチニブは、は、サイトカイン駆動の免疫・炎症シグナルを媒介するヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリーメンバーのチロシンキナーゼ2(TYK2)を選択的に阻害するファーストインクラス経口標的薬として、尋常性乾癬の治療における隙間を埋める可能性を持っています。
Foscarbidopa/foslevodopa (ABBV-951)|アッヴィ|進行性パーキンソン病
フォスカルビドーパは、パーキンソン病治療薬の一つであり、レボドパと組み合わせて使用されます。レボドパは、脳内でドーパミンに変換されるため、パーキンソン病の症状を改善する効果がありますが、薬剤動態の面で問題があります。
そこで、フォスカルビドーパがレボドパの効果を増強することで、低用量での投与を可能にします。
フォスカルビドーパは、レボドパが末梢においてドーパデカルボキシラーゼによって代謝されることを防ぎ、脳内でのドーパミン濃度を増加させます。
LEQEMBI™ (BAN2401)|エーザイ、バイオジェン|早期アルツハイマー病
レカネマブは、アルツハイマー病の治療薬として開発された抗体医薬品です。アミロイドβタンパク質の異常な蓄積を防ぎ、神経細胞の死滅を抑制することで認知機能の改善を目的としています。
第3相臨床試験の画期的な臨床データに支えられたネクストインクラスの抗Aβモノクローナル抗体(MAb)であるレカネマブは、最近米国で加速承認されました。日本においても、レカネマブの承認申請がなされています。
Donanemab (LY-3002813)|イーライリリー|早期アルツハイマー病
ドナネマブはアミロイドβタンパク質の凝集を防ぎ、脳内アミロイドβの沈着を減少させる抗体医薬品です。主にアルツハイマー病の治療薬として開発されており、現在は第III相臨床試験が進行中です。ドナネマブは、アミロイドβプラークを減少させ、認知機能を改善する可能性があります。
Lenacapavir (Sunlenca®/GS-6207)|ギリアドサイエンス|HIV感染症
レナカパビルは、ファーストインクラスの長時間作用型HIVキャプシド阻害剤で、米国、英国、カナダ、EUにおいて、治療経験の豊富な多剤耐性HIV患者のHIV感染治療として、他の抗レトロウイルス剤との併用で承認されています。
現在、HIV治療および曝露前予防薬(PrEP)としても研究されており、投与回数が少なく、自己投与が可能なことから、治療アドヒアランスに課題を抱える人々にとって好ましい選択肢となる可能性があります。
Mirikizumab (LY-3074828)|イーライリリー|潰瘍性大腸炎、クローン病
ミリキズマブは、IL-23のp19サブユニットを標的とするモノクローナル抗体で、潰瘍性大腸炎ではファーストインクラス、クローン病ではクラス3番目に承認される可能性があります。新規作用機序を持つ一連の新興治療薬の一部であり、これらの治療薬が持つ市場シェアの拡大に貢献することが期待されます。
Pegcetacoplan (EMPAVELI®/ASPAVELI®/APL-2)|アペリスファーマシューティカルズ|PNH、地理的萎縮症
ペグセタコプランは、希少な血液疾患である発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を対象に、すでに欧米で発売されています。
pegcetacoplanは、薬物療法が承認されていない「地理的萎縮症(GA)」または「ドライ型晩期加齢黄斑変性(AMD)」の治療薬として初めて発売される見込みで、GAに対する第3相試験を終了した数少ない薬剤の一つです。
Ritlecitinib (PF-06651600)|ファイザー|脱毛症
Ritlecitinibは、JAK阻害剤の一種で、脱毛症全般に対する治療薬として開発されています。JAK阻害剤は、免疫系や炎症反応などの細胞シグナル伝達に関与しており、Ritlecitinibは、これらのシグナル伝達を抑制することにより、アロペシア患者における毛包の炎症を減少させ、毛髪の再生を促進することが期待されています。
現在、Ritlecitinibは脱毛症全般の治療薬として、第3相臨床試験を実施中です。
Sparsentan|Travere Therapeutics|IgA腎症、FSGS
Sparsentanは、狭窄性および非狭窄性の原発性腎線維症を対象とした、二重の受容体ブロッカーである。Sparsentanは、腎臓において炎症や線維化の進行を抑制し、腎機能を改善することが期待されている。現在、Sparsentanは第III相試験です。
IgA腎症および巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)の治療薬として開発された本薬は、多くの患者さんの進行を止めることが期待され、治療薬の隙間を埋めるものとなっています。
Teclistamab|Janssen Research & Development|多発性骨髄腫
EC(欧州委員会)から条件付き承認を受けたteclistamabは、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするファーストインクラスの二重特異性抗体として、多発性骨髄腫の治療に使用されます。現在進行中の第 3 相試験により、teclistamab の承認設定における臨床的有用性が確認され、他の承認薬剤との併用も含め、他の多発性骨髄腫患者層への適応拡大が期待されます。
Teplizumab|Provention Bio|糖尿病
テプリズマブ(Teplizumab)は、Fc受容体非結合型抗CD3モノクローナル抗体で、1型糖尿病と診断されていないが1型糖尿病の親族を持つ8歳から17歳のリスクの高い小児および青年を対象とした第2相At-Risk試験の結果に基づいて、FDAからブレークスルーセラピー指定がなされました。
この試験では、1型糖尿病の発症を遅延または予防することができました。第3相PROTECT試験では、過去6週間に診断を受けた8歳から17歳の小児および青年を対象に、テプリズマブの有効性と安全性を評価しています。
Valoctocogene roxaparvovec|BioMarin Pharmaceutical|血友病A
2022年8月に欧州委員会(EC)で承認されたvaloctocogene roxaparvovecは、米国で初めて発売される重症血友病Aに対する遺伝子治療薬となる予定です。 治療効果は何年も続き、出血イベントの数を減らし、第VIII因子(FVIII)補充の必要性を最小限に抑え、他の負担の大きい予防治療の使用を不要にすることが期待されています。