デュクラバシチニブ、全身性エリテマトーデス(SLE)への第II相試験の成功をBMS社が発表

SLE

ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)は、経口TYK2阻害薬デュクラバシチニブが、全身性エリテマトーデス(SLE)患者を対象とした第II相試験で、主要評価項目である奏効率を達成したと発表した。

デュクラバシチニブ、全身性エリテマトーデス(SLE)への第II相試験の成功

BMS社の免疫・線維症開発責任者であるJonathan Sadeh氏は、「PAISLEY試験の結果に基づき、当社はデュクラバシチニブをSLEの第III相試験に進めるとともに、現在進行中の関節症性乾癬、炎症性腸疾患およびその他の自己免疫性疾患における開発プログラムにも利用を検討していきます」と述べています。

全身性エリテマトーデスとは

全身性エリテマトーデス(SLE)とは、自身の免疫システムが体内の複数の臓器を攻撃してしまう慢性的で複雑な免疫介在性疾患であるLupusの中で、最も患者数が多く、Lupus患者の約70%を占めます。Lupusは、世界中で500万人以上の人々がSLEに罹患しており、15歳から44歳までの若い女性が最も多く発症しています。皮膚、関節、腎臓、血管、血球、脳、肺などが侵されることが多く、侵された臓器に広範囲な炎症と組織障害を引き起こします。

特定の人種や民族の女性に圧倒的に多く発症しています。SLE患者の40〜60%が発症から5年以内にループス腎炎(腎臓病)を発症しており、ループス腎炎は、SLEの罹患率と死亡率に最も影響を与える因子となっています。

SLE患者363を対象とした第2相PAISLEY試験

PAISLEY試験では、中等から重度のSLE患者363名を3つのデュクラバシチニブ投与群およびプラセボ群に無作為に割り付けました。3つのデュクラバシチニブ投与群は、3mgを1日2回、6mgを1日2回、および12mgを1日1回投与のグループで、患者は基礎治療薬の継続が許されています。主要評価項目は、32週時点の病状指標SLE Responder Index-4(SRI-4)達成でした。

1日2回デュクラバシチニブ投与群では50%以上の奏効率

この結果は、6月1日に開催された欧州リウマチ学会(EULAR)において、一般演題募集後に発表可能となった最新の研究成果として発表されました。

BMS社によると、1日2回のデュクラバシチニブ投与群のうちそれぞれ3mgは58.2%、6mgは49.5%がSRI-4反応を達成し、プラセボ群の達成率34.4%を上回りました。1日1回12mg投与群には、プラセボ群との統計的な有意差は認められませんでした。

BMS社は、本試験の多くの副次評価項目(他の評価ツールを用いてLupusの疾患活動性と重症度を測定するいくつかの評価項目)の1つである48週目まで、デュクラバシチニブ投与の全群でSRI-4反応が持続したことに言及しています。

忍容性は良好、他の試験と同様の安全性プロファイル

一方でBMS社は、PAISLEY試験におけるデュクラバシチニブの忍容性は良好であり、乾癬および関節症性乾癬を対象とした以前の試験と同様の安全性プロファイルであったとしています。また、抗マラリア薬、コルチコステロイド、免疫抑制剤を大量に併用したにもかかわらず、JAK阻害剤に特徴的な臨床検査値異常の兆候は見られなかったことにも言及しています。

デュクラバシチニブについて

デュクラバシチニブは、ユニークな作用機序を有する経口の選択的アロステリック・チロシンキナーゼ2(TYK2)阻害剤で、新しいクラスの低分子を代表する薬剤です。

本剤は、複数の免疫疾患を対象に臨床研究が行われている初の選択的 TYK2 阻害剤です。BMS社の研究者は、デュクラバシチニブがTYK2を選択的に標的とし、複数の免疫介在性疾患の発症に関与するインターロイキン(IL)-23、IL-12、1型インターフェロン(IFN)などのサイトカインのシグナル伝達を阻害するように設計しており、デュクラバシチニブがTYK2の制御ドメインに結合することにより、TYK2およびその下流の機能をアロステリックに阻害し、高い選択性を実現しています。デュクラバシチニブは、生理的に適切な濃度でTYK2を選択的に阻害しますが、治療用量においては、JAK1、JAK2、JAK3を阻害しません。

その他の自己免疫性疾患で臨床試験が継続中。乾癬治療での承認審査中

デュクラバシチニブについては、乾癬、関節症性乾癬、活動性円板状および/または亜急性皮膚エリテマトーデス、炎症性腸疾患など、複数の自己免疫性疾患において国際共同治験で評価が行われています。

中等から重症の尋常性乾癬の治療薬として米国食品医薬品局(FDA)および欧州医師会(EMA)、また世界の保険当局が承認審査中であり、また日本の厚生労働省は成人の中等度から重症の尋常性乾癬、全身性膿疱性乾癬および紅斑性乾癬の治療薬として承認審査をしています。なおデュクラバシチニブは、潰瘍性大腸炎を対象とした第II相試験では失敗に終わっています。

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