【2023年6月1日 NEJM】内分泌治療の甲斐なく再発/進展した乳癌患者の無増悪生存(PFS)がAstraZenecaのAkt阻害剤capivasertib(カピバセルチブ)で改善した第3相試験(CAPItello-291)結果が論文報告されました。
今回発表の研究は、ホルモン受容体陽性進行性乳癌患者で、アロマターゼ阻害剤治療後に再発または疾患進行があった患者を対象に、AKT経路変異を持つ患者と持たない患者の両方において、AKT阻害剤capivasertibをフルベストラントと併用した場合の無増悪生存期間と安全性を評価することでした。
内分泌療法に対する抵抗性が示されるAKT経路の活性化は、ホルモン受容体陽性進行性乳癌において重要な要因となります。しかし、AKT阻害剤capivasertibをフルベストラント療法に追加した場合の有効性と安全性に関するデータは限られています。
全体で708人の患者が試験に登録され、その中で289人(40.8%)がAKT経路変異を有しており、489人(69.1%)が先にアロマターゼ阻害剤治療に対してCDK4/6阻害剤治療を受けていました。
全体集団において、capivasertib–fulvestrant群の中央無増悪生存期間は3.6カ月のplacebo–fulvestrant群に比べて7.2カ月であり(無増悪または死亡のハザード比0.60、95%信頼区間[CI] 0.51から0.71、P <0.001)、AKT経路変異を持つ患者集団では、capivasertib–fulvestrant群の中央無増悪生存期間はplacebo–fulvestrant群の3.1カ月に対して7.3カ月でした。
capivasertib–fulvestrantを受けた患者で最も頻度の高かったグレード3以上の有害事象は、皮疹(患者の12.1% vs 0.3%のplacebo–fulvestrant群)および下痢(9.3% vs 0.3%)でした。
カピバセルチブを受けた患者の13.0%とplaceboを受けた患者の2.3%で治療中止となる有害事象が報告されました。
このことから、AKT阻害剤capivasertibをフルベストラントと併用することで、アロマターゼ阻害剤治療後の疾患進行または治療後に有無を言わさずCDK4/6阻害剤を受けたホルモン受容体陽性進行性乳癌患者において、有意に長い無増悪生存期間をもたらすことを示すことがわかりました。(ClinicalTrials.gov,NCT04305496)
去年12月のSan Antonio Breast Cancer Symposium (SABCS) での発表の通り同剤と抗エストロゲン薬Faslodex(fulvestrant)併用の無増悪生存(PFS)は7.6か月であり、Faslodex単独の3.6か月を2倍上回りました。
カピバセルチブは、ノーベル賞の予測や製薬業界向けのデータベース「コルテリス」やコンサルティングサービスで有名な「クラリベイト」社の「2023年注目するべき医薬品15選」に選ばれている関心の高い医薬品です。
出典:Capivasertib in Hormone Receptor–Positive Advanced Breast Cancer|NEJM
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