リリー社のミリキズマブ、潰瘍性大腸炎対象の維持療法試験で良好な結果。50%が1年後も寛解達成

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リリー社が5月24日、潰瘍性大腸炎(UC)対象としたミリキズマブの第3相維持療法試験LUCENT-2の詳細な結果を発表しました。同社はすでにこのIL-23p19モノクローナル抗体が、本試験において主要評価項目を達成していることを報告していますが、今回、米国消化器病週間(Digestive Disease Week、DDW)で発表された1年後に臨床的寛解を達成した患者に関する最新の結果では、プラセボ投与群の4分の1にとどまるのに対し、ミリキズマブ投与群の約半数に達したことが示されました。

Fifty Percent of Patients with Ulcerative Colitis Treated with Mirikizumab Achieved Clinical Remission at One Year in Lilly’s Pivotal Phase 3 Study [PR Newswire]

IL-23のp19サブユニットに結合するミリキズマブは、第3相のLUCENT-1試験において、プラセボに比べ有意に高い臨床的寛解率を得ることに成功しています。LUCENTプログラムの知見に基づき、Eli Lilly社は最近、中等度から重度の活動性を有する成人患者を対象にFDAに承認申請を行い、承認されれば、ミリキズマブはこの疾患の患者にとって初のIL23p19モノクローナル抗体治療薬となります。

第3相維持療法試験LUCENT-2の試験内容と結果

今回発表された第3相維持療法試験LUCENT-2では、12週間の導入試験でミリキズマブが奏効した患者を無作為に割り付けています。

リリー社は、約3分の2が重度の腸粘膜炎症を有しており、約3分の1は過去に1種類以上の生物製剤またはファイザー社のJAK阻害剤ゼルヤンツ(トファシチニブ)が無効であった患者544人がLUCENT-2試験の対象であったと述べています。さらに、37%強がベースラインでコルチコステロイドを使用していました。

臨床試験結果詳細。ほぼ全員がステロイドを使用していなかった

同社は、「ミリキズマブは、TNF阻害剤、ゼルヤンツ、その他の生物学的製剤の使用歴にかかわらず、臨床、症状、内視鏡、組織学的エンドポイントにおいてプラセボより優れていました」と述べています。発表データによると、ミリキズマブによる12週間の導入療法が奏効した患者のうち、1年後の臨床的寛解を達成したのはミリキズマブ維持療法群で49.9%、プラセボ群で25.1%であった。

また、12週時点で既に臨床的寛解を達成していた患者において、1年後の時点で寛解を維持していたのは、ミリキズマブ投与群では63.6%、プラセボ投与群では36.9%であった。

1年後に寛解を示したミリキズマブ投与患者の98%近くが、維持療法終了前の少なくとも3カ月間、「副腎皮質ホルモンを服用する必要がなかった」と述べている。

同社は、腸の緊急性の変化を評価するために、「ペイシェントセントリック」の11段階評価スケールを開発しています。この尺度を用いて、LUCENT-1の臨床効果が認められた患者のうち、ベースラインの便意切迫度が3以上であった患者の42.9%が、1年後に便意切迫度が消失またはほぼ消失しました。これに対し、プラセボでは25%でした。

これらの患者さんが1年後に同材を服用した場合、腸の切迫感の重症度が統計的に有意に平均3.80減少したのに対して、プラセボ群では2.74減少していました。

有害事象に関して、プラセボに比べて低い

一方、ミリキズマブの重篤な有害事象(AE)の発生率もプラセボに比べ少なく、それぞれ3.3%、7.8%だった。さらに、AEによる脱落率はE1.5%であったのに対し、プラセボは8.3%であった。

同社は、安全性プロファイルは、UCを対象としたこれまでのミリキズマブ試験や他の治療領域における他の抗IL23p19抗体と「一致」していると述べています。

さらなる延長試験結果発表、来年には当局による決定

Eli Lilly社のグローバル免疫開発・医療担当副社長であるLotus Mallbris氏は、「来年には、薬事承認決定できるよう期待しています」と述べています。

ミリキズマブは、ミリキズマブUC試験に参加した患者を対象としたLUCENT-3非盲検延長試験でも評価されている。Eli Lilly社は、第III相LUCENTプログラムの追加データは、今年中に開催される学会や出版物で開示される予定であると述べています。

市場の成長と競争:潰瘍性大腸炎の市場規模は5年後に128億ドルに

Bristol joins fast-growing ulcerative colitis market

Bristol joins fast-growing ulcerative colitis market: Evaluate Pharma

潰瘍性大腸炎市場は、今後も安定的に成長すると考えています。非TNF製剤(武田薬品のエンタイビオ、ヤンセンのステラーラなど)や経口JAK阻害剤(ファイザーのゼルヤンツ /ゼルヤンツ XR)の登場により、BMS社のZeposia、ギリアド/ガラパボス社のジセレカが最近承認され、医師の治療手段が広がり、市場の競争は激化しています。

されに、今後、アッヴィのリンヴォック、リンリジ、ヤンセンのトレムフィア、そして、リリーのミリキズマブなど次々と新薬が参入していくものと予想されます。

Evaluate Pharmaは、2021年5月の発表で、潰瘍性大腸炎の市場規模は5年後に128億ドルに達すると予測しており、アッヴィのリンボックがその主流となるとみています。市場全体の売上の半分近くが、まだフェーズ3の段階にあるこのJAK阻害剤に割り当てられています。

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