このような方におすすめ
- 日本と世界の大手製薬業界の様々あるランキングを効率よく調べたい
- 最新の製薬会社の売上、将来性、年収、勢力図をまとめて把握したい
- これから伸びる製薬会社は?転職先の製薬会社どこがいい?
製薬業界の転職で希望する会社の選択などに便利なランキング情報。
ランキング情報を正しく活用することで、業界の勢力図や将来性もしっかりと見ることが出来ます。様々な角度から出される製薬業界のランキング情報の種類やメリットをわかりやすく解説します。
この記事では、転職の際の情報収集や会社選定にも便利に活用できるランキング情報を解説、ご紹介します。
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日本の大手製薬会社の売上ランキング
製薬業界のランキング、まずはもっとも活用される機会が多い日本の製薬会社の売上ランキングです。
製薬会社が発表する決算情報など公式な情報が元になっており、会社規模や業界内での勢力分析などに幅広く活用されています。
日本の製薬会社売上ランキング活用のメリット
日本の製薬会社の規模を比較
業界動向の理解を深める
興味がある会社、転職先候補検討に参考になるデータ
日本の製薬会社の売上ランキング、全世界での売上から、総合的なつよさを比較出来ます。
日本の大手製薬会社売上ランキングトップ10(2022年度)
ランク | 会社名 | 2022年度売上 | 海外売上 | 海外売上比率 | 21年度売上 |
1(-) | 武田薬品工業 | 4兆275億円 (+12.8%) | 3兆5,154億円 | 87.3% | 3兆 5,690 億円 |
2(-) | 大塚HD | 1兆7,380億円 (+16.0%) | 1兆833億円 | 62.3% | 1兆 4,983 億円 |
3(-) | アステラス製薬 | 1兆5,186億円 (+17.2%) | 1兆2,563億円 | 82.7% | 1兆 2,962 億円 |
4(-) | 第一三共 | 1兆2,785億円 (+22.4%) | 7,450億円 | 58.3% | 1兆 449 億円 |
5(-) | 中外製薬 | 1兆2,599億円(+26.0%) | 6,027億円 | 47.8% | 9,998 億円 |
6(-) | エーザイ | 7,444億円 (▲1.6%) | 4,943億円 | 66.4% | 7,562 億円 |
7(-) | 住友ファーマ | 5,555億円 (▲0.8%) | 3,854億円 | 69.4% | 5,600 億円 |
8(-) | 田辺三菱製薬 | 5,354億円 (+38.8%) | 2,164億円 | 40.4% | 3,859 億円 |
9(-) | 小野薬品工業 | 4,472億円 (+23.8%) | 1,590億円 | 35.6% | 3,614 億円 |
10(+1) | 塩野義製薬 | 4,267億円 (+27.3%) | 2,172億円 | 50.9% | 3,351 億円 |
11(▲1) | 協和キリン | 3,984 億円 (+13.1%) | 3,522 億円 |
日本の製薬会社の売上のランキングトップは、武田薬品工業がダントツ。世界での売上は4兆円を超えます。
総売上で1兆円を超える製薬会社は全部で5社。
前年の2021年度には第一三共が久しぶりに1兆円を突破、22年度には中外製薬が1兆円突破企業の仲間入りを果たしています。
なお、トップ5の21年度と22年度では順位の変動はありませんでした。
日本の製薬会社の売上に関しては、別途記事「日本の製薬会社売上ランキングトップ40|5年間で製薬業界はどう変化したのか?」で、40位までのランキングと過去5年間のランキング推移を分析をしています。
日本の製薬会社40社の5年間の売上ランキング分析
- 失敗しない製薬業界の転職のヒント
- 売上ランキング上位の製薬会社への転職には準備とタイミングが大切。製薬業界で実績のある転職エージェントに複数登録するなどして自分にあったコンサルタントとじっくり相談しましょう。
世界の大手製薬会社売上ランキング
日本の製薬会社のランキング同様に、世界の製薬業界の動向を理解するために活用されている世界の製薬会社の売上ランキング。
この記事では、22年度の売上トップ5社のランキングに加えて研究開発費もご紹介します。
グローバルの製薬業界、どの製薬会社が業界を牽引しているのでしょうか?
世界の製薬会社売上ランキング活用のメリット
全世界での製薬会社の規模を比較
全世界の製薬業界の動向を理解
日本企業の順位をグローバルで把握できる
ダントツトップの武田薬品でも難しいトップ10。過去のM&Aを通じても世界の製薬会社の規模はどんどん大きくなっています
世界の大手製薬会社売上ランキングトップ5(2022年度)
ランク | 会社名 | 売上 | 研究開発費 | 研開費% |
1 | ファイザー | 1,003.3億ドル | 114.28億ドル | 11.3% |
2 | ロシュ | 663.2億ドル | 167.92億ドル | 25.3% |
3 | 米メルク | 592.8億ドル | 135.48億ドル | 22.8% |
4 | アッヴィ | 580.5億ドル | 65.10億ドル | 11.2% |
5 | J&J(医薬) | 525.6億ドル | 116.22億ドル | 22.1% |
22年のトップは2年連続でファイザー。業界ではじめて1000億ドル突破しました。
1000億ドルの売上は記録的な数字です。日本企業でダントツ1位の武田薬品工業が330億ドル(4兆円)なのでとてつもない金額であることがわかります。
ただ、ファイザーの半分以上の売上が新型コロナ関連。
つまり、コロナ関連の売上を除くとランキングでは5位以下になってしまいます。
別記事「世界の製薬業界は5年間|トップ25社のランキング分析でわかった3つの要素とは?」では、世界の売上ランキング25位までのランキングを5年間比較、コロナ前、コロナ禍の最中の5年間で世界の製薬業界にどのような要素が影響をしているのか分析をしています。
ファイザーがコロナ特需でトップになる前には7年連続で首位だったロシュをはじめランキング上位の製薬企業も着実に成長しています。「2028年の将来予測」ランキングとの比較もおもしろいでしょう。
コロナ前からコロナ期間で製薬業界の勢力図はどう変わったのか?
- 失敗しない製薬業界の転職のヒント
- 全世界の製薬トップ企業は日本の製薬会社の規模を遥かに凌ぐ規模。これらのトップ企業の多くが日本市場に進出しています。外資系製薬会社への転職は人気が高く、自分のスキルや経験を活かすことと外資系に強い転職エージェントへ複数登録するなどしっかりとした対策が大事です。
これから伸びる製薬会社は?世界と日本の製薬会社の将来性
世界と日本の製薬会社の売上ランキング、製品である医薬品の売上ランキングをご覧いただきましたが、製薬会社の将来性はどうでしょうか?
製薬会社の将来性を見てみるために2つのランキング情報を紹介します。
まずは、世界の製薬会社が活用している調査会社Evaluate Pharmaが5年後の2028年の売上と医薬品のランキングを公開しています。
これから伸びる製薬会社を含めて、それぞれの製薬会社の将来性と売れる医薬品がわかります。
2028年世界の売上予測ランキングでみる製薬会社の将来性
製薬会社の将来性に関して、製薬会社が活用している調査会社が分析、発表している予測データから将来性を見ることができます。
これから伸びる会社として、トップ10入りを果たす「ノボノルディスクファーマ」と「イーライリリー」に注目したいと思います。
売上予測は必ずしも100%あたるわけではないものの、将来の製薬業界の勢力図やこれから上市、売上を伸ばす医薬品の把握には便利な情報です。
2028年の世界の製薬会社売上ランキングトップ10
会社名 | 2028年ランキング | 2028年売上予測 | 2022年売上 | 2022年ランキング |
ロシュ | 1 | 650億ドル | 663.2億ドル | 2 |
メルク | 2 | 640億ドル | 592.8億ドル | 3 |
アッヴィ | 3 | 630億ドル | 580.5億ドル | 4 |
J&J(医薬) | 4 | 600億ドル | 525.6億ドル | 5 |
ファイザー | 5 | 590億ドル | 1,003.3億ドル | 1 |
ノバルティス | 6 | 580億ドル | 505.5億ドル | 6 |
アストラゼネカ | 7 | 550億ドル | 443.5億ドル | 9 |
サノフィ | 8 | 540億ドル | 453.5億ドル | 8 |
ノボノルディスク | 9 | 500億ドル | 251.3億ドル | 16 |
イーライリリー | 10 | 480億ドル | 285.4億ドル | 12 |
2028年の売上予測データをみることでこれから伸びる製薬会社や将来性を見ることができます。
22年度の売上で首位だったファイザーは5位に後退、ロシュ、メルク、アッヴィが上位3社に食い込む見込みです。
それぞれの企業の売上予測値は拮抗、どの企業が最終的に1位になってもおかしくない状況で、確実に将来性が期待されています。
あらたにトップ10入りするノボノルディスクとイーライリリーですが、将来性の潜在性が非常に高いことが言えます。
2028年の世界の医薬品売上予測とランキングでみる製薬会社の将来性
医薬品名 | 順位 | 28年売上予測 | 製薬会社 | 疾患・領域 | 22年順位 | 22年売上 |
キイトルーダ | 1 | 309 | メルク | オンコロジー | 3 | 238 |
デュピクセント | 2 | 190 | サノフィ | アトピー性皮膚炎 | 10 | 100 |
オゼンピック | 3 | 180 | ノボノルディスク | 2型糖尿病 | ランク外 | 87 |
マンジャロ | 4 | 170 | リリー | 2型糖尿病 | ランク外 | – |
ダラザレックス | 5 | 165 | J&J | 多発性骨髄腫 | ランク外 | 79 |
オプジーボ | 6 | 157 | BMS 小野薬品 | オンコロジー | ランク外 | 99 |
スキリージ | 7 | 150 | アッヴィ | 乾癬 | ランク外 | 13 |
ビクテグラビル | 8 | 120 | ギリアド・サイエンシズ | HIV | 8 | 134 |
ガーダシル | 9 | 100 | メルク・CSL | HPVワクチン | ランク外 | 60 |
トライカフタ | 10 | 95 | バーテックス | 嚢胞性線維症治療薬 | ランク外 | 60 |
GLP-1受容体作動薬セマグルチド | 参考値 | 330 | ノボノルディスク | 2型糖尿病、肥満 | オゼンピック リベルサス ウゴービ | 同成分で3剤をまとめた場合 |
医薬品の将来予測から、製薬会社それぞれの将来性が更に詳しく予測できます。
5年後、キイトルーダが最も売れている医薬品で300億ドルもの売上と予想されています。
ほとんどのトップ10にランクインしている医薬品は23年にはランク外にあった医薬品ですが、その中でも特に注目は、ノボノルディスクの「オゼンピック」、イーライリリーの「マンジャロ」という2型糖尿病治療薬の「持続性GLP-1受容体作動薬」です。
2028年には、どちらの医薬品も150億ドル以上の売上が見込まれており、新たに売上ランキングでもトップ10入り原動力となりそうです。
別の記事「【2028年】5年後の製薬業界|製薬会社の売上ランキングと最も売れる医薬品は?」では、医薬品の売上予測で上位に食い込むノボノルディスクとイーライリリーの動向も含めた製薬会社と医薬品のトップ10と将来性をさらに詳しく解説しています。
- 失敗しない転職のヒント
- 製薬会社の将来性は転職をする人にとってもとても関心が高い情報。将来性はあくまでも予測ですが、転職を考える際は、最新の情報を把握しつつ、業界に詳しい特化型と外資系に強いエージェントの複数登録してじっくりと転職活動をすることが大事です。
株価時価総額ランキングでみる製薬会社の将来性
もう一つの製薬会社の将来性を見るランキングとして、株価の時価総額ランキングを紹介します。
投資家は現在のランキングや売上だけではなく、現在のパイプラインを含めた将来性を見込んで投資する製薬会社を決定します。
投資家はパイプラインや戦略を含めた製薬会社の将来性を含めて投資をします。株価の時価総額を見ることで企業価値と製薬会社の将来性を見ることも出来ます。
2023年11月時点での日本と世界の製薬会社の株価時価総額をランキングにしました。
日本の製薬会社:株価時価総額トップ10
時価総額順位 | 会社名 | 時価総額 | 売上順位 | 研開費順位 | 海外売上 |
1 | 中外製薬 | 8兆1,938億円 | 5位 | 6位 | 5位 |
2 | 第一三共 | 7兆6,849億円 | 4位 | 2位 | 4位 |
3 | 武田薬品工業 | 6兆6,301億円 | 1位 | 1位 | 1位 |
4 | アステラス製薬 | 3兆2,727億円 | 3位 | 3位 | 2位 |
5 | 大塚HD | 3兆541億円 | 2位 | 4位 | 3位 |
6 | エーザイ | 2兆2,897億円 | 6位 | 5位 | 6位 |
7 | 塩野義製薬 | 2兆1,815億円 | 10位 | 8位 | 9位 |
8 | 小野薬品工業 | 1兆4,236億円 | 9位 | 9位 | 11位 |
9 | 協和キリン | 1兆3,181億円 | 11位 | 11位 | 8位 |
10 | 田辺三菱製薬 | 1兆1,262億円 | 8位 | 10位 | 10位 |
住友ファーマ | 7位 | 7位 | 7位 |
売上高とは若干異なる時価総額でのランキングを、研究開発品、海外売上のランキングとあわせてまとめています。
世界の製薬会社:株価時価総額トップ10
ランク | 会社名 | 時価総額 | グローバル売上ランキング |
1 | イーライリリー | 5,583億ドル | 12 |
2 | ノボノルディスク | 4,586億ドル | 16 |
3 | J&J・ヤンセンファーマ | 3,824億ドル | 5 |
4 | メルク | 2,691億ドル | 3 |
5 | アッヴィ | 2,552億ドル | 4 |
6 | ロシュ | 2,266億ドル | 2 |
7 | ノバルティス | 2,027億ドル | 6 |
8 | アストラゼネカ | 2,006億ドル | 9 |
9 | ファイザー | 1,653億ドル | 1 |
10 | アムジェン | 1,458億ドル | 14 |
21 | 中外製薬 | 609億ドル | ー |
22 | 第一三共 | 543億ドル | 25 |
23 | 武田薬品工業 | 440億ドル | 11 |
23年の12月時点では、トップがイーライリリーが2位に1000億ドルほどの差をつけてのダントツトップ、それに続くのがノボノルディスクファーマでした。
2028年の予測売上のランキングでトップ10入りが予測されているイーライリリー社とノボノルディスクが株価がベースとなる時価総額の価値でトップ2にランクインしているのは非常に興味深いところです。
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医薬品の売上ランキングでみる製薬業界
世界と日本の製薬会社の売上を見てきましたが、製薬会社の製品である「医薬品」のランキングからも製薬業界を見てみたいと思います。
日本と世界の医薬品売上ランキング活用のメリット
日本と世界で売れている医薬品の比較ができる
医療ニーズ、患者数の高い医薬品が上位を占める
医薬品の高い売上が、各製薬会社の動向や評価につながっている
製薬会社を支える大型の医薬品。日本国内では1000億以上の売上を上げる医薬品が上位を占めます。なお、全世界では1兆円を超えてもトップ10に入れません。
日本の医薬品売上ランキングトップ10 【2022年】
順位 | ブランド | 領域 | 会社名 | 売上(億円) |
1 | オプジーボ | オンコロジー | 小野薬品工業 | 1,662 |
2 | キイトルーダ | オンコロジー | MSD | 1,592 |
3 | リクシアナ | 循環器系疾患 | 第一三共 | 1,316 |
4 | タケキャブ | 消化器系疾患 | 武田薬品工業 | 1,155 |
5 | イミフィンジ | オンコロジー | アストラゼネカ | 1,098 |
6 | タグリッソ | オンコロジー | アストラゼネカ | 1,087 |
7 | アイリーア | 眼科 | バイエル薬品 | 888 |
8 | フォシーガ | 糖尿病 | アストラゼネカ | 821 |
9 | テセントリク | オンコロジー | 中外製薬 | 813 |
10 | デュピクセント | 自己免疫疾患 | サノフィ | 777 |
日本で2022年に最も高い売上を上げた医薬品は小野薬品工業のオプジーボですが、2位のMSDのキイトルーダとの差は僅差です。
医薬品トップ10の中で5品目がオンコロジー領域。これらすべてが免疫チェックポイント阻害薬です。
5位と6位に位置するイミフィンジとタグリッソはオンコロジー領域の治療薬で、いずれもアストラゼネカの医薬品で、2品で2000億以上の売上を上げています。
なお、このランキングでは、新型コロナウイルスワクチンと再生医療等の治療薬の売上は含んでいません。
なお、製薬会社の売上ランキングにも影響する主力製品の売上、国内での後期開発品の情報は別途記事「日本の製薬会社売上トップ10の主力製品と後期開発品」でまとめています。
世界の医薬品売上ランキングトップ10【2022年】
順位 | ブランド | 治療領域 | 会社名 | 売上(億ドル) |
1 | ヒュミラ | 炎症性疾患 | アッヴィ | 349.66 |
2 | エリキュース | 循環器系疾患 | BMS ファイザー | 240.55 |
3 | キイトルーダ | オンコロジー | メルク | 238.89 |
4 | オゼンピック | 糖尿病 | ノボノルディスク | 211.62 |
5 | ステラーラ | 炎症性疾患 | J&J | 179.36 |
6 | トルリシティ | 炎症性疾患 | イーライリリー | 171.94 |
7 | ジャディアンス | 糖尿病 | BI イーライリリー | 139.62 |
8 | ビクタルビ | 抗HIV | ギリアド | 134.76 |
9 | イグザレルト | 循環器系疾患 | バイエル | 129.41 |
10 | デュピクセント | 自己免疫疾患 | サノフィ リジェネロン | 100.62 |
それでは世界ではどうでしょうか?
世界の医薬品ランキングトップ10に入る医薬品はすべてが100億ドル以上の売上を上げています。つまり為替の影響を受けますが円換算だと1兆円を軽く超える売上を全世界で上げていることになります。
日本のトップ10では5品目がオンコロジー、免疫チェックポイント阻害薬でしたが、世界のトップ10では、米メルクのキイトルーダのみがランキング入りしています。
世界で2022年最も高い売上を上げた医薬品はアッヴィのヒュミラで約350億ドルの売上を上げています。TNFαモノクローナル抗体であるヒュミラは、関節リウマチ、乾癬、強直性脊椎炎などの炎症性疾患を対象として長い間世界で最も売上の高い医薬品の地位を維持しています。
なお、ヒュミラの主要な特許は2016年に失効しています。しかしながら、アッヴィによるパテント対策もあり、米国では23年までバイオシミラーとの競争に直面はしません。
特許対策は、製薬会社の大きな戦略です。ヒュミラを含め2023年には多くのブロックバスターが特許切れをむかえます。詳しくは、別記事「【2023年版】米国で特許切れの大型医薬品ランキングTOP10|ヒュミラだけではない!」を御覧ください。
日本国内の売上ランキング|日本市場での勢力図は?
次は、日本市場に限っての売上ランキングに注目しましょう。実は、日本市場の売上ランキングは、世界の売上ランキングとは異なります。
例えば、世界ランクトップのファイザーは日本市場では販売会社ベース、販促会社ベースいずれのランキングトップ5にすら入ってきません。
日本市場のみに注目した製薬会社の勢力図。世界とは異なります。
なお、日本市場での売上ランキングには、IQVIA社が、医薬品市場統計として2種類のランキングが発表されています。
- 【販売会社ベース】:製薬会社が卸に製品を販売し、卸から回収した金額
- 【販促会社ベース】:販促会社が2社以上の場合オリジネーター企業に売上をまとめる
日本市場での2つの製薬会社売上ランキング比較
販売会社ベース ランキング | 会社名 | 売上 | 販促会社ベース ランキング | 会社名 | 売上 |
1 | 武田薬品工業 | 7401億4300万円 | 1 | 中外製薬 | 5323億5200万円 |
2 | 第一三共 | 5866億6300万円 | 2 | 武田薬品工業 | 4976億3900万円 |
3 | 中外製薬 | 5323億5200万円 | 3 | アストラゼネカ | 4544億6500万円 |
4 | アストラゼネカ | 3902億7300万円 | 4 | 第一三共 | 4288億1900万円 |
5 | MSD | 3779億5700万円 | 5 | ヤンセンファーマ | 4020億6200万円 |
IQVIAが毎年発表している2つの国内売上ランキングを一つのテーブルにまとめました。ランキングにはかなりの違いがありますので比較してみてください。
なお、国内の売上データのランキングの見方とトップ10ランキングデータは、別記事「【徹底解説】製薬会社の販売力と製品力を明らかにするIQVIAの2つの国内売上ランキング」で詳しく解説しています。
販売会社レベルの売上ランキングでは、武田薬品工業がトップ、第一三共がそれに続き、3位に中外製薬が入っています。
実は、販売会社ベースのランキングは販売力の強い会社が有利です。武田薬品、第一三共といった日本の製薬会社のつよさが発揮されます。
一方で、販促会社ベースは、協力している販促会社の売上もオリジネーター(もしくはオリジネーターに近い会社)の売上に一括して計上します。そのため、販促会社ランキングでは製品力に強い会社が上位を示す傾向があります。
注目は、販売会社ベースでは3位、日本企業の売上高では5位の中外製薬が販促会社ランキングではトップとなり武田薬品工業を超えています。
中外製薬はロシュグループとしての充実した医薬品のパイプラインの強さを示した結果と言えます。
販促会社ベースの売上で強い外資系製薬会社がわかる
販促ベースの売上ランキングから日本市場で強い外資系製薬会社がわかります。
オリジナルの医薬品を保有する外資系製薬会社はパートナー会社と独自の営業力を通じて国内で販売する医薬品の売上が「販促ベースの売上」では反映されます。
そのため、販促ベースでの売上だと外資系製薬会社がランキングでも上位をしめます。
22年の売上ランキングでは、アストラゼネカ、MSD、ヤンセンファーマ、ノバルティス、バイエル、ブリストル・マイヤーズスクイブと6社がトップ10に入っています。
以下は、販促ベースでの日本国内の外資系製薬会社のみをピックアップした売上ランキングトップ10です。
世界の売上ランキングと異なることも注目ですが、どの外資系製薬会社が日本市場において強いか?という質問には、販売力、製品力の総合力を反映するこのランキングが現状を表していると言えます。
国内ランキング | 会社名 | 販促会社ベース国内売上 |
1 | アストラゼネカ | 4544億6500万円 |
2 | ヤンセンファーマ | 4020億6200万円 |
3 | MSD | 3954億6000万円 |
4 | ノバルティス | 3187億8900万円 |
5 | バイエル薬品 | 2929億8800万円 |
6 | ブリストル・マイヤーズスクイブ | 2728億500万円 |
7 | ファイザー | 2375億2300万円 |
8 | 日本イーライリリー | 2366億400万円 |
9 | GSK | 2340億9700万円 |
10 | 日本ベーリンガーインゲルハイム | 2195億6300万円 |
別途記事では、医薬品も含めて更に日本国内でつよい外資系製薬会社を解説しています。
別記事「外資系製薬会社の販促会社ベース売上比較|日本国内で本当に強い製薬会社は?」もご活用下さい。
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製薬業界の年収に関するランキング
日本の製薬業界を牽引する新薬大手の製薬会社は、就職先、転職先としても大変人気で、狭き門となっています。このような新薬大手の製薬会社にしぼって平均年収をランキングでまとめました。
製薬会社の年収どこがいい?|「新薬大手」平均年収ランキング
ランク | 会社名 | 平均年収 | 平均年齢 | 勤続年数 |
1 | 中外製薬 | 1,214万円 | 43.4歳 | 16.8年 |
2 | 第一三共 | 1,112万円 | 45.3歳 | 20.3年 |
3 | 武田薬品工業 | 1,097万円 | 42.8歳 | 14.0年 |
4 | アステラス製薬 | 1061万円 | 42.4歳 | 16.2年 |
5 | エーザイ | 1,050万円 | 43.6歳 | 17.9年 |
6 | 大塚HD | 1,041万円 | 43.6歳 | 4.1年 |
7 | 小野薬品工業 | 962万円 | 43.5歳 | 16.8年 |
8 | あすか製薬 | 958万円 | 47.3歳 | 21.0年 |
9 | 塩野義製薬 | 910万円 | 42.1歳 | 16.5年 |
10 | 住友ファーマ | 904万円 | 43.8歳 | 18.3年 |
ランク | 会社名 | 平均年収 | 平均年齢 | 勤続年数 |
1 | そーせいG | 1,344万円 | 43.0歳 | 2.9年 |
2 | モダリス | 1,340万円 | 47歳 | 3.9年 |
3 | ソレイジア・ファーマ | 1,310万円 | 52.2歳 | 5.5年 |
興味深いのがトップ3が、時価総額のトップ3と一緒ということです。また、売上トップの武田薬品工業は、平均年収のランキングでは3位となっています。
公表されている平均年収にあわせて、同様に公表の平均年齢、勤続年数もまとめています。
製薬業界で最も平均年収が高い製薬会社は、これらの新薬大手ではなく、より小規模の創薬ベンチャー企業です。業界内の平均年収のトップ3も比較としてテーブル下部に入れています。ご参照ください。
年収は転職やキャリアップの参考とする情報としてとても重要です。一方で、年収だけで候補先を選ぶのは危険です。
年収以外の情報収集や製薬業界で実際に実績のある転職エージェントの活用も転職で失敗しないためには重要です。
製薬業界の年収を徹底調査、ランキングにまとめました
製薬業界の転職におすすめ転職エージェント3選 |
外資系製薬会社の年収はどこがいい?|国内大手外資系製薬会社の平均年収は?
国内ランキング | 会社名 | 平均給与 | 回答数 | 平均年齢 |
1 | アストラゼネカ | 787万円 | 111人 | 37.2歳 |
2 | ヤンセンファーマ | 1083万円 | 86人 | 41.8歳 |
3 | MSD | 932万円 | 53人 | 43.9歳 |
4 | ノバルティス | 975万円 | 113人 | 42.2歳 |
5 | バイエル薬品 | 964万円 | 94人 | 41.9歳 |
6 | ブリストル | 900万円 | 77人 | 40.3歳 |
7 | ファイザー | 1069万円 | 19人 | 46.3歳 |
8 | 日本イーライリリー | 862万円 | 126人 | 38.7歳 |
9 | GSK | 975万円 | 56人 | 44.7歳 |
10 | 日本ベーリンガーインゲルハイム | 900万円 | 75人 | 38.9歳 |
参考 | アッヴィ | 946万円 | 41人 | 39.1歳 |
国内売上外資系トップ10の中で平均給与が最も高いのがヤンセンファーマです。ヤンセンファーマは、国内の販促会社ベースの売上で外資系製薬会社の中で2位にランクインしています。
一方で、1000万円を超えているもう1社がファイザーです。ファイザーは、日本において販促会社ベースの売上で総合で10位、外資系製薬会社では7位の位置にいます。
ファイザーのランキングから見る平均給与は他のランキング企業に比べるでも相対的に高いと言えます。
外資系製薬会社は国際的な競争において高い地位にあります。このグローバルな競争環境では、優秀な人材を引きつけ、維持するために高水準の給与を提供する必要があります。
国際的な市場で競争するためには、高度なスキルや経験を持つ従業員が不可欠です。
外資系製薬会社は多国籍であり、異なる国や地域でのビジネス展開をしています。異なる文化や法制度に対応できる人材を確保するためには、高い給与が必要なことから給与水準も高いと考えられます。
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製薬業界役員報酬トップ10|日本国内
ランク | 氏名 | 報酬 | 会社名 | 役職 | 年齢 | 国内順位 |
1 | クリストファー・ウェバー | 17億2300万円 | 武田薬品工業 | CEO | 56歳 | 4位 |
2 | アンドリュー・プランプ | 9億7300万円 | 武田薬品工業 | 取締役 | 57歳 | 12位 |
3 | コスタ・サルウコス | 6億9100万円 | 武田薬品工業 | CFO | 52歳 | 24位 |
4 | 安川 健司 | 4億5200万円 | アステラス製薬 | 会長 | 63歳 | 60位 |
5 | 眞鍋 淳 | 4億200万円 | 第一三共 | 会長 | 69歳 | 76位 |
6 | 田村 眞一 | 3億3200万円 | そーせいG | 会長 | 73歳 | 114位 |
7 | 奥田 修 | 2億9900万円 | 中外製薬 | 社長 | 60歳 | 141位 |
8 | 手代木 功 | 2億9200万円 | 塩野義製薬 | 社長 | 63歳 | 151位 |
8 | クリス・カーギル | 2億9200万円 | そーせいG | 社長 | 39歳 | 151位 |
10 | 樋口 達夫 | 2億8400万円 | 大塚HD | 社長 | 73歳 | 161位 |
日本の上場企業役員の役員報酬は公開されています。実は、2億円以上の報酬を得ている人は200人以上います。
その中から、製薬会社にしぼって役員報酬額トップ10をランキングにまとめました。
役員報酬のランキングでは、武田薬品工業の3名がトップ3でもあり金額も突出しています。
武田薬品工業のCEOであるクリストファー・ウェバー氏の役員報酬は17億円強と大きく2位を引き離していますが、この報酬金額は日本全体のランキングでも4位と高いランクに位置します。
そのほか、トップ10に入る方々ですが、さすがに、日本国内の製薬トップ企業の社長、会長レベルの方々ばかりですね。
なお、規模的にも更に大きな会社がある世界の製薬業界ですが、世界で最も年収が高いのがファイザーCEOである「アルバート・ブーラ氏」です。
ブーラ氏の2022年のベースサラリーは、$173万ドル(約2億5950万円)ですが、ボーナス、株式などの報酬が加わり総額で3,300万ドル(約50億円)もの報酬に跳ね上がります。上には上がいるものです。(出典:Salary.comから)
海外市場調査会社発表のデータで見る製薬業界
製薬業界を研究するデータとして、海外の市場調査会社が発表している情報も活用ができます。
その中でも製薬会社の方々も興味がある内容のまとめ記事をご紹介致します。
2023年「注目するべき医薬品15選」|クラリベイト発表
医薬品名 | 開発会社 | 疾患名 | 作用機序 |
ビメキズマブ Bimekizumab (BIMZELX®) | UCB | 中等度から重度の乾癬 | IL-17A/Fの双方を抑制する最初の医薬品 |
カピバセルチブ Capivasertib (AZD5363) | アストラゼネカ | 乳がん | AKTキナーゼの阻害剤 |
ダプロデュスタット Daprodustat (GSK1278863/Duvroq) | GSK | 慢性腎臓病関連の貧血 | HIF-PHI |
デュークラバシチニブ Deucravacitinib (SOTYKTU™/BMS-986165) | BMS | 乾癬 | TYK2の選択的阻害剤 |
ヴィアレブ Foscarbidopa/foslevodopa (ABBV-951) | アッヴィ | 進行性パーキンソン病 | カルビドパ/レボドパの新しい投与法 |
レカネマブ LEQEMBI™ (BAN2401) | エーザイ バイオジェン | 早期アルツハイマー病 | Aβモノクローナル抗体 |
ドナネマブ Donanemab (LY-3002813) | イーライリリー | 早期アルツハイマー病 | Aβモノクローナル抗体 |
Lenacapavir (Sunlenca®/GS-6207) | ギリアド | HIV感染症 | HIVカプシド阻害剤 |
ミリキズマブ Mirikizumab (LY-3074828) | イーライリリー | 潰瘍性大腸炎、クローン病 | IL-23のp19サブユニットを標的とするモノクローナル抗体 |
Pegcetacoplan (EMPAVELI®/ASPAVELI®/APL-2) | アペリスファーマシューティカルズ | 非典型的溶血性貧血、地理的萎縮 | C3変換酵素阻害剤 |
リトレシチニブ Ritlecitinib (PF-06651600) | ファイザー | 脱毛症 | JAK阻害剤 |
スパルセンタン Sparsentan | Travere Therapeutics | IgA腎症、FSGS | ETAとAT1の二重アンタゴニスト |
テクリスタマブ Teclistamab | ヤンセンファーマ | 多発性骨髄腫 | B細胞成熟抗原(BCMA)に結合して、腫瘍細胞を認識・攻撃 |
テプリズマブ Teplizumab | プロヴェンション・バイオ | 1型糖尿病 | 抗CD3モノクローナル抗体 |
ロクタビアン Roctavian, Valoctocogene roxaparvovec | バイオマリン | 血友病A | ファクターVIIIの遺伝子を欠損している患者に対して、ファクターVIIIを生産するための正常な遺伝子を導入 |
クラリベイトが毎年発表している「注目するべき医薬品」(Drugs to Watch) は、今後数年をふくめ将来の製薬・医薬品業界に影響を及ぼす開発品を発表しています。
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2023年米国で特許切れの大型医薬品」トップ10
医薬品名 | 疾患 | 会社 | US Sales 2022 | Entry of Generic/Biosimilar |
ヒュミラ Humira (adalimumab) | 関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、クローン病、乾癬 | アッヴィ | 186.2億 | 2023年1月 |
ステラーラ Stelara (ustekinumab) | 乾癬、乾癬性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎 | J&J | 63.9億 | 2023年下半期 |
ビバンセ Vyvanse (lisdexamfetamine) | 注意欠陥多動性障害 | 武田薬品工業 | 25.3億 | 2023年8月 |
オーバジオ Aubagio (teriflunomide) | 多発性硬化症 | サノフィ | 15億 | 2023年3月 |
アクテムラ Actemra (tocilizumab) | 関節リウマチ、巨細胞性動脈炎、若年性特発性関節炎、サイトカイン放出症候群、COVID-19 | ロシュ | 12億 | 2023年下半期 |
Xyrem (sodium oxybate) | ナルコレプシー | JAZZ | 10.2億 | 2023年1月3日 |
シムビコート Symbicort (budesonide/formoterol) | 喘息、慢性閉塞性肺疾患 | アストラゼネカ | 9.73億 | 2023年7月 |
レキスキャン Lexiscan (regadenoson) | 心機能検査補助剤 | アステラス製薬、 ギリアド | 7.2億 | 2023年中 |
レベスティブ Gattex (teduglutide) | 短腸症候群 | 武田薬品工業 | 5.4億 | 2023年3月 |
トピラマート Trokendi XR (topiramate) | 癲癇、片頭痛予防 | Supernus | 2.61億 | 2023年1月 |
2023年、アメリカで特許切れとなる注目の医薬品TOP10をまとめています。
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ランキングでみる製薬業界まとめ
製薬業界がよくわかるランキング情報をまとめましたがいかがでしょうか?
世界の製薬会社、日本の製薬会社の売上ランキングからはそれぞれのトッププレーヤーを売上ベースでランキングと売上高をまとめています。
日本の製薬会社、日本市場に関してはさらに詳細なランキング情報も提供しました。
売上ランキングのみならず、時価総額や年収、そして役員報酬のランキングなどは更なる業界の理解をサポートします。
外資系企業の日本法人の売上も市場での比重は高く、存在感を増しています。ランキングに合わせて売上高も関心が高いことでしょう。
海外の市場調査会社ではさらに異なるアングルでランキング情報やデータも発表しておりますので、これらの情報も製薬業界を知る上でご利用いただけましたら幸いです。
世界と日本の製薬業界に関するランキング情報をまとめてみましたので、業界の更なる理解にご活用ください。