5年間の売上ランキングの推移から、この5年間に製薬業界でなにが起きたのか解説

【2022年版】世界の製薬会社ランキング推移で見る製薬業界の5年間

本記事では、世界の製薬会社の5年間の売上ランキングの推移から、この5年間に製薬業界でなにが起きたのか解説をします。ロシュとファイザーで首位が入れ替わり、ランキングに影響を及ぼす大型M&A、そして新型コロナウイルスの影響は?武田薬品もはじめてトップ10入を果たしたこの5年間、世界の製薬業界はどのように動いたのでしょうか?

直近の5年間(2017年度から2021年度)の世界の製薬会社の売上とランキングに注目し、この5年間で製薬業界でなにが起きたのかを解説します。

5年間の世界の製薬会社の売上推移は
ランキングの推移でみる5年間の製薬業界
ランキングの変動に大きな影響を及ぼした要素

世界の製薬会社売上ランキング:5年間の推移(売上単位:億ドル)

順位社名2021年度2020年度2019年度2018年度2017年度
1ファイザー812.88419.08517.5536.47525.46
2ロシュ687.04624.06618.69579.83543.65
3アッヴィ561.97458.04332.66327.53282.16
4ジョンソン&ジョンソン(医薬)520.8455.72421.98407.34362.56
5ノバルティス516.26486.59474.45519491.09
6米メルク487.4479.94468.4422.94401.22
7グラクソ・スミスクライン469.14440.59431.02413389.4
8ブリストル・マイヤーズスクイブ463.85440.59261.45225.61207.76
9サノフィ446.71410.87404.66406.66396.12
10アストラゼネカ374.17266.17243.84220.9224.65
11武田薬品工業321.21287.8302190.85157.57
12イーライ・リリー283.18245.4223.2245.56228.71
13ギリアド・サイエンシズ273.05246.89224.49221.27261.07
14アムジェン259.79254.24223.62237.47228.49
15ベーリンガーインゲルハイム243.91223.05212.79206.48204.03
16ビオンテック224.49
17ノボノルディスク223.87190.42182.96167.75167.54
18バイエル(医薬)217.07196.57201.2197.6190.37
19モデルナ184.71
20ヴィアトリス178.86119.46
21テバ158.78166.59168.87188.54223.85
22大塚ホールディングス134.84128.05128.12117.57110.36
23アステラス製薬116.65112.46119.36118.87115.73
24バイオジェン109.82134.45143.78134.53122.74
25CSL103.1
ラング外アラガンアッヴィと合併160.89157.87159.41
ラング外セルジーンBMSと合併152.81130.03
ラング外シャイアー武田と合併151.61

※ 単位は億ドル。AnswersNewsの100億ドル以上の世界の製薬企業のランキング記事を抜粋、編集して纏めています。

2017年度ロシュが世界首位に

ロシュが、2017年から2020年まで首位をまもりました。2017年に抗体医薬による抗がん剤で売上を伸ばし、前年首位のファイザーから首位を奪還した後、4年間に渡って首位をキープしました。
543億ドルの売上の2017年から毎年売上も伸ばし、首位を譲った2020年(687億ドル)ではあるものの、5年間で26%の成長を果たしている。

2021年度、ファイザーが首位に返り咲き

2021年度、ファイザーが5年ぶりの首位に返り咲きました。実は前年には8位まで交代していました。

これは、特許切れ薬のアップジョン事業部門を切り離し、米大手後発品メーカーのマイランと新会社「ヴィアトリス」を設立したことで前年から19.0%の売り上げが減少したことによります。2017年度に首位を譲った後もこの年度以外はランキング2位を維持していました。

ファイザーの首位奪還を牽引したのは4兆円以上の売上を全世界で上げた新型コロナウイルスワクチン「コミナティ」であることに間違いはありません。ファイザーの2021年度の売上規模は9兆円にまで登りますが、約5割を新型コロナ関連の売上が占めています。

なお、この「コミナティ」2021年度の売上高は368億ドル(約4.2兆円)でした。これは、9年連続でトップだった自己免疫疾患むけの「ヒュミラ」(320億ドル)を抜いています。

2022年度も新型コロナウイルス関連の高い売上で10兆円を超える見込みで首位を守るようです。また、ファイザーが、この売上で得られた豊富な資金を活用し、トリリウム社、アリーナ社、バイオヘイブン社、グローバル・ブラッド社など積極的に買収戦略を展開しています。

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世界の製薬会社5年間のランキングの変動は?

トップ10を含めた上位の製薬会社の顔ぶれには大きな変化はなかったようです。そのような中で順位を上げたのがアッヴィ(8位から3位)、BMS(14位から8位)、武田薬品(19位から11位)が挙げられます。これら3社は、買収によって順位を伸ばしたことでも共通しています。

この5年間で新たに、モデルナ、ビオンテック、CSL3社が100億ドル以上の売上規模を達成しています。これら3社はすべて新型コロナウイルスワクチンが売上に大きく貢献という点で共通しています。

21年度、モデルナは184億ドルで19位、ビオンテックは224億ドルで16位、CSLが103億ドルで25位に新たにランクインしています。

製薬会社ランキングに影響を及ぼした大規模M&A

100億ドル以上の規模同士の会社がM&Aをした場合、ランキングへの影響は大きく、今回対象の5年間で以下の6社がM&Aにより合併しています。

武田薬品とシャイア

2017年度の売上で19位の武田薬品が20位のシャイア社が合併しています。2017年度の売上は、それぞれ、157億ドル、151億ドルでした。2021年度の武田薬品の売上が321億ドルで11位でした。

このことで、武田薬品は日本の製薬会社としてはじめて10位以内を2019年度と2020年度に2年連続で世界の製薬会社ランキングで果たしています。

アッヴィとアラガン

2019年度の売上が160億ドルでランキング19位であったアラガン社をアッヴィが買収しています。この買収で、8位だったアッヴィは2020年度には4位まで順位を伸ばし、21年度には3位に躍進しています。

BMSとセルジーン

BMSが、2018年度売上152億ドルだったセルジーンを買収しています。この買収後、BMSは、2年連続でトップ10入りを果たし、売上規模も450億ドルを超えています。

それぞれが約150億ドル前後の売上規模の製薬会社を買収しています。武田薬品は買収した際の両社の合算金額を21年に達成、アッヴィ、BMSは、ともに、21年には買収当時の両社の合算金額以上の売上を出しています。

コロナ特需

この5年間の売上ランキング推移を見る際に、新型コロナウイルスの影響というのはかなり大きいと言わざるを得ません。

mRNAワクチンが世界ではじめて承認され、その他のワクチンや治療薬も承認され、販売されました。まさに、コロナ特需のような現象が起きたことも特筆するべき期間であったことが言えます。

なお、これは製薬業界でのコロナ特需とも言え、コロナによる影響は残るものの、ある期間のみに限定されるものであることも言えます。

新たな治療法と新薬の市場での拡大

コロナの影響は大きいものの、それ以外でもこの5年間で高い売上を維持した医薬品、特筆するべき新たに承認された治療薬も、売上ランキングに大きな影響を及ぼします。それでは、ランキングに影響を及ぼした治療薬、新規治療薬に注目して解説します。

がん免疫療法

がん領域においては、いくつかの新しい治療が承認され、開発会社、販売会社の成長を支えています。この5年間は、オプジーボ、キイトルーダといったがん免疫療法が市場を席巻した5年間でもありました。

オプジーボの販売開始が2014年、キイトルーダが2016年、それ以降、単剤投与から併用投与、そして対象癌腫の拡大とがん治療に大きな変化を与えているがん免疫療法のポジションを更に確立した5年間でもあったと言えます。

CAR-T療法

ノバルティスが、2017年FDAから世界ではじめてCAR-T療法であるキムリアの承認を得ました。これは、遺伝子治療としてはじめてのFDAによる承認でした。

画期的な治療法に対しては、がん免疫療法でもそうであったように、キムリアの薬価も大きな話題となりましたが、キムリアの承認は遺伝子・細胞治療の大きな一歩で間違いないでしょう。

その後、CAR-T療法の開発はすすみ、BMSの「ブレヤンジ」、第一三共の「イエスカルタ」が承認に至っています。

100億ドル、日本円だと1兆4000億円を超える製品

大型の医薬品としてブロックバスター医薬品という言葉がありますが、10億ドル以上の売上がある医薬品のことを言います。現在は、100億ドル、日本円で換算すると1兆円をゆうに超える規模の売上を上げる製品があります。

つまり今回のランキングでは、売上100億ドルを超える製薬会社であることが条件ですが、このような100億ドルの売上は1つの医薬品でその条件を超えます。企業に与える影響は非常に大きいことがわかります。

21年度はコロナ特需の影響もあり、売上自体はファイザーのコミナティには叶いませんでした(新型コロナウイルスは、政府の買取)が、ヒュミラは過去9年間、売上1位の座にあり、21年度の売上は320億ドルですので、円安の影響も大きいですが、日本円で4兆5千万円の売上ととてつもない規模の売上です。

以下は、2021年度100億ドル以上の売上を記録している医薬品のリストとなります。

製品名社名領域米ドル
コミナティファイザー/ビオンテック新型コロナウイルス367億
ヒュミラアッヴィ自己免疫疾患321億
エリキュースブリストル・マイヤーズスクイブ/ファイザー抗凝固剤213億
キイトルーダ米メルクオンコロジー195億
スパイクバックスモデルナ新型コロナウイルス176億
ステラーラジョンソン&ジョンソン(医薬)自己免疫疾患144億
トルリシティイーライ・リリー糖尿病137億
イグザレルトバイエル抗凝固剤128億
オゼンピックノボノルディスク糖尿病119億
ピクタルビギリアド・サイエンシズHIV113億
ランタスサノフィ糖尿病108億

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