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この記事からわかること
- 世界の製薬会社の売上ランキングトップ25
- ランキングの推移でみる5年間の製薬業界
- ランキングの変動に大きな影響を及ぼした要素とは?
本記事では、世界の製薬会社売上ランキングトップ25の推移から、この5年間に製薬業界でなにが起きたのかを解説します。
この5年間で、大型M&A、画期的な新薬の上市、そして新型コロナウイルスのパンデミックなど順位に影響を及ぼす大きな出来事が多くありました。
世界では首位が入れ替わり、日本からは、武田薬品が日本の製薬会社としてはじめてトップ10入りを果たしています。
直近の5年間(2017年度から2021年度)の世界の製薬会社の売上とランキングに注目し、この間に、製薬業界でなにが起きたのかを解説します。
1.世界の製薬会社売上ランキング:5年間の推移
社名 | 21年順位 | 2021年度 | 20年順位 | 19年順位 | 18年順位 | 17年順位 |
ファイザー | 1 | 812.88億ドル | 8 | 2 | 2 | 2 |
ロシュ | 2 | 687.04億ドル | 1 | 1 | 1 | 1 |
アッヴィ | 3 | 561.97億ドル | 4 | 8 | 8 | 8 |
ジョンソン&ジョンソン(医薬) | 4 | 520.8億ドル | 5 | 6 | 6 | 7 |
ノバルティス | 5 | 516.26億ドル | 2 | 3 | 3 | 3 |
米メルク | 6 | 487.4億ドル | 3 | 4 | 4 | 4 |
グラクソ・スミスクライン | 7 | 469.14億ドル | 6 | 5 | 5 | 6 |
ブリストル・マイヤーズスクイブ | 8 | 463.85億ドル | 7 | 10 | 11 | 14 |
サノフィ | 9 | 446.71億ドル | 9 | 7 | 7 | 5 |
アストラゼネカ | 10 | 374.17億ドル | 11 | 11 | 13 | 12 |
武田薬品工業 | 11 | 321.21億ドル | 10 | 9 | 16 | 19 |
イーライリリー | 12 | 283.18億ドル | 14 | 14 | 9 | 10 |
ギリアド・サイエンシズ | 13 | 273.05億ドル | 13 | 13 | 12 | 9 |
アムジェン | 14 | 259.79億ドル | 12 | 12 | 10 | 11 |
ベーリンガーインゲルハイム | 15 | 243.91億ドル | 15 | 15 | 14 | 15 |
ビオンテック | 16 | 224.49億ドル | ||||
ノボノルディスク | 17 | 223.87億ドル | 17 | 17 | 18 | 17 |
バイエル(医薬) | 18 | 217.07億ドル | 16 | 16 | 15 | 16 |
モデルナ | 19 | 184.71億ドル | ||||
ヴィアトリス | 20 | 178.86億ドル | 21 | |||
テバ | 21 | 158.78億ドル | 18 | 18 | 17 | 13 |
大塚HD | 22 | 134.84億ドル | 20 | 21 | 23 | 25 |
アステラス製薬 | 23 | 116.65億ドル | 22 | 22 | 22 | 24 |
バイオジェン | 24 | 109.82億ドル | 19 | 20 | 21 | 22 |
CSL | 25 | 103.1億ドル | ||||
アラガン | 参考 | アッヴィと合併 | 19 | 19 | 18 | |
セルジーン | 参考 | BMSと合併 | 20 | 21 | ||
シャイアー | 参考 | 武田と合併 | 20 |
なお、2022年度の最新の世界の売上ランキングはこちらでご覧いただけます >>>
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2017年から2020年度までロシュが首位をキープ
ロシュが、2017年から2020年まで首位をまもりました。
2017年に抗体医薬による抗がん剤で売上を伸ばし、前年首位のファイザーから首位を奪還した後、4年間に渡って首位をキープしました。
543億ドルの売上の2017年から毎年売上も伸ばし、2020年には、首位を譲ったものの2位の687億ドルの売上を出しています。ロシュは、5年間で売上ベースで26%の成長を果たしています。
2021年度、ファイザーが首位に返り咲き
2021年度、ファイザーが5年ぶりの首位に返り咲きました。実は前年には8位まで後退していました。
後退は、特許切れ薬のアップジョン事業部門を切り離し、米大手後発品メーカーのマイランと新会社「ヴィアトリス」を設立したことで前年から19.0%の売り上げが減少したことによります。
2017年度に首位を譲った後も、この年度以外はランキング2位を維持していました。
ファイザーの首位奪還を牽引したのは4兆円以上の売上を全世界で上げた新型コロナウイルスワクチン「コミナティ」。2021年度の9兆円の売上の約5割を新型コロナ関連が占めています。
なお、この「コミナティ」2021年度の売上高は368億ドル(約4.2兆円)でした。これは、9年連続でトップだった自己免疫疾患むけの「ヒュミラ」(320億ドル)を抜いています。
ファイザーが、この売上で得られた豊富な資金を活用し、トリリウム社、アリーナ社、バイオヘイブン社、グローバル・ブラッド社など積極的に買収戦略を展開しています。
順位を上げた企業、新たにトップ25へ登場した企業
トップ10を含めた上位の製薬会社の顔ぶれには大きな変化はありませんでした。
そのような中で順位を上げたのがアッヴィ(8位から3位)、BMS(14位から8位)、武田薬品(19位から11位)が挙げられます。これら3社は、買収によって順位を伸ばしたことでも共通しています。
この5年間で新たに、モデルナ、ビオンテック、CSL3社が100億ドル以上の売上規模を達成しています。これら3社はすべて新型コロナウイルスワクチンが売上に大きく貢献という点で共通しています。
21年度、モデルナは184億ドルで19位、ビオンテックは224億ドルで16位、CSLが103億ドルで25位に新たにランクインしています。
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2.大型のM&A
100億ドル以上の規模同士の会社がM&Aをした場合、ランキングへの影響は大きく、今回対象の5年間で以下の6社がM&Aにより合併しています。
武田薬品とシャイア
21年ランキング | 17年のランキング | |
武田薬品工業 | 11位(+8) | 19位 |
シャイア | 20位 |
2017年度の売上で19位の武田薬品が20位のシャイア社が合併しています。2017年度の売上は、それぞれ、157億ドル、151億ドルでした。2021年度の武田薬品の売上が321億ドルで11位でした。
このことで、武田薬品は日本の製薬会社としてはじめて10位以内を2019年度と2020年度に2年連続で世界の製薬会社ランキングで果たしています。
アッヴィとアラガン
21年ランキング | 17年のランキング | |
アッヴィ | 3位(+5) | 8位 |
アラガン | 19位 |
2019年度の売上が160億ドルでランキング19位であったアラガン社をアッヴィが買収しています。この買収で、8位だったアッヴィは2020年度には4位まで順位を伸ばし、21年度には3位に躍進しています。
BMSとセルジーン
21年ランキング | 17年のランキング | |
ブリストル・マイヤーズスクイブ | 8位(+6) | 14位 |
セルジーン | 21位 |
BMSが、2018年度売上152億ドルだったセルジーンを買収。この買収後、BMSは、2年連続でトップ10入りを果たし、売上規模も450億ドルを超えています。
それぞれが約150億ドル前後の売上規模の製薬会社を買収。武田薬品は買収した際の両社の合算金額を21年に達成、アッヴィ、BMSは、ともに、21年には買収当時の両社の合算金額以上の売上を出しています。
3.新たな治療法
大型の医薬品の登場は、販売する製薬会社の売上に大きく貢献し、ランキングにも大きな影響を及ぼします。
10億ドル以上の売上の医薬品をブロックバスター医薬品と言いますが、現在は、100億ドル、日本円で1兆円をゆうに超える規模の売上を上げる製品があります。
新たな治療薬や治療方法は、製薬会社の売上ランキングにも大きな影響をおよぼしています。
コロナ特需:新型コロナウイルスのワクチン、治療薬
この5年間の売上ランキング推移を見る際に、新型コロナウイルスの影響は無視できません。
この間に、mrna 治療とはワクチンが世界ではじめて承認され、その他のワクチンや治療薬も承認され、販売されました。まさに、コロナ特需のような現象が起きたことも特筆するべき期間であったことが言えます。
一方で、コロナ特需とも言え、ある期間のみに限定されるものであることも言えます。
がん免疫療法
がん領域においては、いくつかの画期的な治療薬が承認されています。オプジーボ、キイトルーダといったがん免疫療法が市場を席巻した5年間であったと言えます。
オプジーボの販売開始が2014年、キイトルーダが2016年、それ以降、単剤投与から併用投与、そして対象癌腫の拡大とがん治療に大きな変化を与えているがん免疫療法のポジションを更に確立した5年間でもあったと言えます。
CAR-T療法
ノバルティスが、2017年FDAから世界ではじめてCAR-T療法であるキムリアの承認を得ました。これは、遺伝子治療としてはじめてのFDAによる承認でした。
画期的な治療法に対しては、がん免疫療法でもそうであったように、キムリアの薬価も大きな話題となりましたが、キムリアの承認は遺伝子・細胞治療の大きな一歩で間違いないでしょう。
その後、CAR-T療法の開発はすすみ、BMSの「ブレヤンジ」、第一三共の「イエスカルタ」が承認に至っています。
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売上ランキング推移からみた世界の製薬業界の5年間のまとめ
世界の製薬業界を過去5年間の世界の製薬会社売上ランキングの動向からどのような起きたのかを解説しました。
2017年から2020年までロシュが首位を維持していましたが、2021年にファイザーが首位に返り咲きました。これはファイザーの新型コロナワクチンの影響が大きいもののファイザーは製薬会社としてはじめて800億ドル超えを記録しています。
ランキングの中に、新たに上位25社に登場したモデルナ社、ビオンテック社もコロナ関連での大きな売上の伸びが影響をしています。まさにコロナ特需であったと言えます。
ランキングの変動に影響を与えた要因で忘れてはならないのが、大規模なM&Aです。武田薬品とシャイア、アッヴィとアラガン、BMSとセルジーンなどトップ25にランクインしている製薬会社の合併は順位に大きな影響を及ぼています。
ランキングに影響を及ぼす要素として、新たな治療法があります。特需とも言える新型コロナウイルスのワクチンや治療薬の需要が急増し、その特需がランキングに反映されました。
新たな画期的な治療薬として、がん免疫療法やCAR-T療法なども大きな注目を集めた期間とも言えます。
世界の製薬業界を過去5年間の世界の製薬会社売上ランキングの動向からどのような起きたのかを解説しました。
2017年から2020年までロシュが首位を維持していましたが、2021年にファイザーが首位に返り咲きました。これはファイザーの新型コロナワクチンの影響が大きいもののファイザーは製薬会社としてはじめて800億ドル超えを記録しています。
ランキングの中に、新たに上位25社に登場したモデルナ社、ビオンテック社もコロナ関連での大きな売上の伸びが影響をしています。まさにコロナ特需であったと言えます。
ランキングの変動に影響を与えた要因で忘れてはならないのが、大規模なM&Aです。武田薬品とシャイア、アッヴィとアラガン、BMSとセルジーンなどトップ25にランクインしている製薬会社の合併は順位に大きな影響を及ぼています。
ランキングに影響を及ぼす要素として、新たな治療法があります。特需とも言える新型コロナウイルスのワクチンや治療薬の需要が急増し、その特需がランキングに反映されました。
新たな画期的な治療薬として、がん免疫療法やCAR-T療法なども大きな注目を集めた期間とも言えます。