【外資系製薬会社】日本売上ランキング徹底比較|国内で本当に強い外資系製薬会社は?

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製薬会社の転職、人気だけではなくしっかりと日本国内で実績のある外資系製薬会社を選びたい。世界の売上ランキングとは日本国内の勢力図は違うと聞いたけど本当?

日本市場での外資系製薬会社の売上ランキング、実はグローバルの売上ランキングとは異なります。世界でトップランキングの製薬会社が、必ずしも日本国内でも売上ランキング上位とは限りません。

この記事では、IQVIA社が発表している国内の販促会社ベース基づくランキングを活用。日本市場で本当につよい外資系製薬会社はどこか?を解説します。

日本国内の外資系製薬会社ランキングでよくある質問

  • 日本での外資製薬で大手はどこですか?
  • 日本法人がある外資系製薬会社一覧は?
  • 国内市場で本当につよい外資系製薬会社、つよさの秘密は?

国内市場での外資系製薬会社の勢力図を理解、MR職をはじめとする国内向けの業務で外資系製薬会社への転職を検討する人にとってはおさえておきたい情報です。

なお、外資系の製薬会社への転職には、転職エージェントの効果的な活用が大切です。多くの求職者は、製薬業界で実績のある転職エージェント複数登録しています。さらに、英語に強い人は、外資系で英語を使う求人を多く持つ英語に強い転職エージェントを活用しています。

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外資系製薬企業の日本国内売上ランキングを活用する際の注意点

日本国内の外資系製薬企業の売上ランキングを活用する上で、いつくかの注意点があります。

1.外資系製薬会社の日本でのつよさは販促会社ベースの売上ランキングがおすすめ

外資系製薬会社のつよさを調べる場合使われる売上ランキングデータは複数あり、以下にまとめています。

ランキングメリットデメリット参照リンク
世界の売上
ランキング
グローバルでの勢力図日本市場の勢力図とは異なる
進出していない企業もある
詳細を見る
時価総額
ランキング
企業価値の把握日本市場の勢力図とは異なる
株価による変動がある
非上場企業は含まれない
詳細を見る
日本法人
売上ランキング
現地法人発表の決算
公式売上
会社によって会計基準が異なる
ライセンス収入、為替の影響がある
詳細を見る
IQVIA発表
国内売上ランキング
卸業者からの回収金額
日本市場をほぼ網羅
卸業者を通さない売上(コロナワクチンなど)は含まれない
販売会社ベース、販促会社ベースの売上がある
詳細を見る

日本市場での外資系企業のつよさを知るためには、IQVIAが発表している医薬品卸への売上データをもとにした販促会社ベースの売上ランキングがおすすめです。

「世界の売上ランキング」「時価総額ランキング」「日本法人の売上ランキング」は、日本での強さを分析するには一長一短があり、必ずしも日本市場での勢力図やランキングを反映していません。

IQVIAの発表する2種類の売上データの違いと特徴は。以下の記事で詳しく解説しています。

2.日本と世界で会社の名称が異なる場合がある

会社によって、グローバルでの会社と日本での名称が異なる場合があります。M&Aや資本提携、会社の取り決めなどで日本での運営会社が別名の場合がありますので、注意が必要です。

グローバル日本       説明

ロシュ

中外製薬
中外製薬が日本市場担当の役割
ロシュは外資系製薬会社の売上ランキングには入ってません

米メルク

MSD
グローバルトップ10常連の米メルクの日本市場はMSDが担当
MSDはもとは万有製薬ですが、外資系製薬会社のカテゴリー
日本にはメルク株式会社がありますが、こちらは独メルクの子会社。


ジョンソン・エンド・ジョンソン



ヤンセンファーマ
グローバルトップ10常連のジョンソン・エンド・ジョンソン。
日本市場での医薬品販売はヤンセンファーマが担っています。

3.コロナ関連の売上

IQVIAでは医薬品卸からのデータに基づくため、今回の医薬品市場統計データには、政府買い取りのコロナ関連の売上データは含まれません。

コロナ関連のワクチンや治療薬の多くは、政府が買い取りという一般とは異なる流通経路で販売。ランキングを比較する際には、コロナ関連の売上が含まれるかどうか注意が必要です。

外資系製薬会社の日本国内売上ランキング

外資系製薬会社の日本国内売上ランキングは、日本法人の日本での市場シェアや競争力を理解するために便利です。日本市場での企業の実力や魅力を把握するために欠かせないツールと言えます。

国内売上ランキングを参照することで、グローバルな売上ランキングとは異なる視点が得られます。

必ずしもグローバルでの売上ランキングや勢力図が日本市場では同じとは限らないからです。日本市場に対する戦略、開発やアライアンスなどにより、それぞれの外資系企業によって様々な戦略が浮かび上がります。

外資系製薬会社の日本市場での戦略を知ることは、その会社の日本市場に対するコミットメントを理解することで、日本でのキャリアを考える際、日本市場で強い企業は、経済的な安定性や成長機会を提供、魅力的なキャリアパスを描ける可能性が高いと言えます。

販促会社ベースの国内売上ランキングトップ10

国内ランキング会社名販促会社ベース国内売上世界売上ランキング国内と世界の比較
アストラゼネカ4544億6500万円8ランクアップ
ヤンセンファーマ4020億6200万円3ランクアップ
MSD3954億6000万円
ノバルティス3187億8900万円2ランクアップ
バイエル薬品2929億8800万円1712ランクアップ
ブリストル・マイヤーズスクイブ2728億500万円1ランクアップ
ファイザー2375億2300万円6ランクダウン
日本イーライリリー2366億400万円124ランクアップ
GSK2340億9700万円101ランクアップ
10日本ベーリンガーインゲルハイム2195億6300万円155ランクアップ
出典:22年度 IQVIA医薬品市場統計【販促会社レベル】

外資系製薬会社日本国内売上ランキングトップ3

日本国内市場でのランキング上位の外資系製薬会社のほとんどがグローバルの売上ランキングよりランキングを上げている傾向が強いことがわかります。

日本国内トップ3の外資系製薬会社と、世界でのトップ3の製薬企業が日本市場でどのように活動しているか、その他にも注目するべき日本市場で強い外資系製薬会社に関して、その特長や強み、製品力について詳しく紹介します。

1位:アストラゼネカ

日本国内トップ1にランクインしているアストラゼネカは、日本市場において、非常につよい外資系製薬会社と言えます

国内の販促会社ベースで4544億円の売上で、日本の大手製薬企業にも匹敵する規模で、販促会社ベース、日本国内全体でも、中外製薬、武田薬品に次いでも3位に位置します。

アストラゼネカの主なランキング情報

ランキングランク売上備考
世界の売上ランキング9位443.5億ドル2022年度
日本売上ランキング(販促ベース)3位4544億円22年度(外資系では1位)
国内売上ランキング(販売ベース)4位3902億22年度(外資系では1位)
参照【製薬会社ランキングのまとめ】世界と日本の製薬会社の将来性、価値総額、売上、年収ランキング

全世界の売上ランキングでは9位(2022年度)ですので、日本市場1位というのが、他のグローバル製薬会社と比較しても高いランキングであることが言えます。

なお、アストラゼネカは21年7月に米アレクシオン・ファーマシューティカルズを買収しましたが、日本では別法人として活動しており、22年度の売上には含まれていません。将来的には2025年に統合する計画も発表されています。

アストラゼネカの強い製品力

疾患領域主要製品
オンコロジータグリッソ、イミフィンジ、リムパーザ
循環器・腎・代謝疾患フォシーガ、ロケルマ、オンデキサ
ワクチン・免疫療法シナジス、エバシェルド
参照:「アストラゼネカ「25年に国内トップ」は実現するか」アンサーズ

アストラゼネカの製品力はどうでしょうか?

最も高い売上は、抗がん剤の「タグリッソ」です。22年度、1094億円をあげ、日本国内の医薬品売上高ランキングでは5番目に高い売上にランクインしています。(出典:22年度 IQVIA医薬品市場統計

「タグリッソ」に続き、SGLT2阻害薬の「フォシーガ」をふくめ上記の製品が日本市場での売上をけん引しています。

新型コロナ関連で、政府による買上げがあるため、販促会社ベースの売上には反映されていませんが、新型コロナ治療薬の「エバシェルド」も大きな売上を上げています。

アストラゼネカは、大阪に本社を構え、従業員数は約3600名です。2022年度において、外資系製薬会社の中で最も高い売上をあげたアストラゼネカ世界ではランク9位ですが、日本市場において非常につよい外資系製薬企業と言えます。

2位:ヤンセンファーマ

ヤンセンファーマは、ジョンソン・エンド・ジョンソンのグループ企業です。日本国内の外資系製薬会社の売上ランキング(販促ベース)で、堂々の2位、売上も4000億円を超えます。

ジョンソン・エンド・ジョンソン|ヤンセンファーマの主なランキング情報

ランキングランク売上備考
世界の売上ランキング5位525.6億ドル2022年度
日本売上ランキング(販促ベース)5位4020億円22年度(外資系では2位)
国内売上ランキング(販売ベース)11位2629億22年度(外資系では4位)
参照【製薬会社ランキングのまとめ】世界と日本の製薬会社の将来性、価値総額、売上、年収ランキング

世界ランキングでは、2022年版の製薬会社世界ランキングでは、ジョンソン・エンド・ジョンソンが525億ドルをあげて5位にランクインしています

主力製品で、乾癬、クローン病や潰瘍性大腸炎などを適応とする「ステラーラ」は、田辺三菱製薬と提携している営業戦略を取っていることで販売会社ベースのランキングでは11位となっていますが、粒ぞろいの製品群は国内市場でも存在感があります。

ヤンセンファーマの製品力

製品名治療領域
ステラーラ乾癬、クローン病、潰瘍性大腸炎
ダラザレックス多発性骨髄腫
ダラキューロ多発性骨髄腫
インヴェガ統合失調症
イムブルビカオンコロジー
トレムフィア乾癬 ほか
シンポニー関節リウマチほか
プリジスタHIV

上記のテーブルは、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ヤンセンファーマが全世界で10億ドル以上の売上をあげている医薬品で日本国内でも製造販売をしている医薬品です。

ヤンセンファーマは、日本市場で、6つの治療領域(神経科学、感染症、腫瘍(がん)、免疫疾患、心血管/代謝系疾患、肺高血圧症)における新たな製品開発に重点を置いています。国内市場での販売医薬品からも理解できます。

世界の売上ランキング、日本での売上ランキングでも2022年度はともに5位と、世界でも日本でも強い外資系製薬会社の一つです。

ヤンセンファーマは、外資系製薬会社のランキングでは国内2位、充実の製品を揃え国内市場でも高い存在感があると言えます

ランキングでみる外資系製薬企業

3位:MSD

外資系製薬会社の日本国内販促会社ベースで3位はMSDです。MSDは米メルクの日本での子会社となります。

米メルクは、全世界の売上で堂々の3位に位置し、2028年の予測でもロシュ、アッヴィとともにトップ3の中に入ることが予想され、今後も全世界で高いランキングをキープされている最大手の製薬会社です。

MSD(米メルク)の主なランキング

ランキングランク売上備考
世界の売上ランキング3位592.8億ドル2022年度
日本売上ランキング(販促ベース)6位3954億円22年度(外資系では3位)
国内売上ランキング(販売ベース)5位3779億円22年度(外資系では2位)
参照【製薬会社ランキングのまとめ】世界と日本の製薬会社の将来性、価値総額、売上、年収ランキング

メルク/MSDは、世界の売上ランキングではトップ10が常連で、22年度は3位に躍進。日本国内での外資系製薬会社の中でのトップ3入りは納得の順位と言えます。

国内売上高は販促ベースで4000億円を超え全体でも6位と日本の大手製薬企業にも匹敵する規模です。

MSDの日本での歴史は古く、1915年創立の万有製薬株式会社がはじまりです。

2004年に米メルクの完全子会社となり、2010年に万有製薬とシェリング・プラウが統合してMSD株式会社が発足しました。なお、メルク株式会社は、こちらは独メルクの子会社ですので別会社です。

MSDの主力製品

製品名治療領域
キイトルーダオンコロジー
ジャヌビア / ジャヌメット闘病病
ガーダシル子宮頸がんワクチン
ブリディオン筋弛緩回復薬
ニューモバックス肺炎球菌ワクチン

上記のテーブルは世界で10億ドル以上の売上をあげて、日本でも販売されている医薬品のリストです。

MSDは、世界で最も高い売上を上げている医薬品の一つ免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」を有します。キイトルーダは国内で1283億円(22年)で、国内で2位の売上を上げています。

キイトルーダは、今後も全世界での売上を伸ばすと予測され、2028年には300億ドル以上で世界でも最も高い売上の医薬品に成長、メルク/MSDの成長を強く支えます。

売上ではもちろんキイトルーダが高い売上高ですが、糖尿病治療薬のDPP-4阻害薬「ジャヌビア」、子宮頸がんワクチン「ガーダシル」もMSDの高い売上を牽引しています。

キイトルーダをはじめとした世界でも高い評価を得ている医薬品を日本でも販売しているMSDは、世界と同様に日本でもつよい外資系製薬会社の1社であることに間違いはありません。

世界のトップ2の日本での外資系製薬会社のランキングは?

会社名世界の売上ランキング(22年度)国内外資系製薬会社
売上ランキング
ファイザー1位7位
ロシュ2位ロシュとしてランキングなし
(中外製薬が国内で1位)
米メルク3位3位(MSD)

ファイザー:22年の世界売上ランクングではトップも日本では7位

世界の売上トップのファイザー。日本国内の販促会社ベースでの外資系製薬会社のランキングでは7位と順位を大きく下げます

ファイザーの主なランキング情報

ランキングランク売上備考
世界の売上ランキング1位1003.3億ドル2022年度
日本売上ランキング(販促ベース)11位2522億円22年度(外資系では7位)
国内売上ランキング(販売ベース)10位3138億円22年度(外資系では4位)
参照【製薬会社ランキングのまとめ】世界と日本の製薬会社の将来性、価値総額、売上、年収ランキング

コロナ特需による売上の増加はランキングによるファイザーの過大評価とも言え、日本の販促ベースで外資系製薬企業で7位、全体で11位(コロナを除く)というのは、ファイザー社の現状のつよさをそのまま表していると考えます。

世界のランキングで1000億ドル超えのトップも半分以上の売上が新型コロナ関連の売上。グローバルにおいてもコロナ分を除くと順位は5位前後、もしくはもっと下がるものと考えられます。

売上のランキングで世界でトップのファイザーではありますが、新型コロナの特需によるものであり、日本でのちからを分析する場合、あまり世界トップの売上であることを強く考える必要はないと分析できます。

なお、ファイザーは、新型コロナ関連のワクチン「コミナティ」と経口抗ウイルス薬「パキロビッド」の日本国内での売上は22年度公表していません

また、ファイザーに限らず、コロナ特需はすでにピークを超えています。特需に潤った製薬会社は今後急激なコロナクリフに対応することが求められています。

主要医薬品の売上と年収・口コミまとめ

外資系製薬会社かくれ1位?:ロシュ、グループの中外製薬が国内トップ

外資系製薬会社の中で最もつよい製薬会社は?ということで国内での売上ランキングを見ていますが、じつはランキングにないロシュが外資系製薬会社の中の「かくれ1位」であるとも言えます。

日本においては、ロシュグループの中外製薬が、研究・開発から販売まで責任を担っています。世界ではロシュ、日本では中外製薬で主な売上ランキングを比較してい見ます。

ロシュ・中外製薬の主な売上ランキング情報

ランキングランク売上備考
世界の売上ランキング2位(ロシュ)663.2億ドル2022年度
日本売上ランキング(販促ベース)1位(中外製薬)5323億円22年度
国内売上ランキング(販売ベース)3位(中外製薬)5323億円22年度
参照【製薬会社ランキングのまとめ】世界と日本の製薬会社の将来性、価値総額、売上、年収ランキング

ロシュは、世界において22年はコロナ特需で大きく売上を伸ばしたファイザーには全売上では及ばず2位でしたが、ファイザーの前は4年連続で世界1位の座を守っていました

コロナクリフへの対応にもよりますが、ファイザーの首位堅持は難しく、2028年の予測では、ロシュ、米メルク、アッヴィがトップ3を占めることになるとEvaluate Pharmaは予測しています。

世界においてはロシュは最も強い製薬会社のひとつであると言えます。

日本におけるロシュ/中外製薬の製品力は?

それでは、日本における製品力はどうでしょうか?

ロシュの製品は、中外製薬が、独自の医薬品はもちろん、ロシュがオリジネーターである医薬品の多くを日本で販売しています。

中外製薬の販売する医薬品で見てみましょう。

オリジネーター領域医薬品名
中外製薬関節リウマチ ほかアクテムラ
中外製薬骨粗鬆症エディロール
中外製薬視神経脊髄炎スペクトラム障害エンスプリング
中外製薬⼆次性副甲状腺機能亢進症オキサロール
中外製薬後天性⾎友病 Aヘムライブラ
ロシュオンコロジーアバスチン
ロシュオンコロジーアレセンサ
ロシュオンコロジーガザイバ
ロシュオンコロジーカドサイラ
ロシュオンコロジーテセントリク
ロシュオンコロジーハーセプチン
ロシュオンコロジーパージェタ
ロシュオンコロジーポライビー
ロシュオンコロジーリツキサン
ロシュオンコロジーロズリートレク
ロシュ脊髄性筋萎縮症エブリスティ
ロシュ腎移植後の難治性拒絶反応の治療セルセプト
ロシュA 型又は B 型インフルエンザタミフル
ロシュ加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫バビースモ
ロシュ腎性貧⾎ミルセラ
ロシュSARS-CoV-2 による感染症及び発症抑制ロナプリーブ
出典:中外製薬主な製品|中外製薬

ロシュのグループ会社である中外製薬は、日本国内販促会社ベースで1位、販売会社ベースでも3位に位置します。

日本において、ロシュがオリジナルの「ロナプリーブ(2000億円以上)」「アバスチン(675億円)」「テセントリク(609億円)」が中外製薬の医薬品売上トップ3を占めます。(ロナプリーブは新型コロナ治療薬で政府買い取り)

一方で、中外製薬の自社品「ヘムライブラ(493億円)」「アクテムラ(428億円)」も売上で貢献しています。(出典:中外製薬決算レポート)

ロシュのオリジナル品を中外が日本で販売する一方で、中外の開発品を海外ではロシュグループが販売するという独自のビジネスモデルを展開しています。

同様のビジネスモデルは日本でも非常に良く機能していていることが、中外製薬が販促会社ベースで国内外のトップ企業をおさえて1位ということでも良くわかります。

ロシュは、中外製薬が、グループの中でも独立性を維持、日本でも株式市場に上場をしているのでロシュとしての国内の売上やランキングには入ってきませんが、中外製薬がそのグループとしての役割を十分に国内では果たしています。

実は、ロシュと中外製薬が、日本国内で最もつよい外資系製薬会社の1つであると言っても言い過ぎではないかもしれません。

日本国内の売上ランキングでランクインの外資系製薬会社、でもグローバルでは?

会社名日本の売上ランキング(外資のみ)世界の売上ランキング
バイエル薬品5位17位
日本イーライリリー8位12位
日本ベーリンガーインゲルハイム10位15位

日本国内の販促会社ベースの売上のランキングの中には、世界での売上ランキングがトップ10に入らない製薬会社にもかかわらず日本国内の売上ではトップ10入りをしている外資系製薬会社が3社もあります。

これらの外資系製薬会社は、日本において世界に比べ相対的につよいことが言えます。

日本で外資系製薬会社への転職を検討するさいには、単に世界ランキングだけを参考にしていると日本での本当の存在感を知ることはできません。

それでは世界ランクよりも高い存在感を国内で示している3社の日本市場での世界ランクと主要製品をまとめてみます。

5位:バイエル薬品

ランキングランク売上備考
世界の売上ランキング17位202.9億ドル2022年度
日本売上ランキング(販促ベース)9位2955億円22年度(外資系では5位)
国内売上ランキング(販売ベース)17位1977億円22年度(外資系では10位)
参照【製薬会社ランキングのまとめ】世界と日本の製薬会社の将来性、価値総額、売上、年収ランキング

バイエル薬品は、世界では17位にもかかわらず日本市場で、外資系製薬会社のランキング5位(全体でも9位)のポジションにいます。

バイエル薬品は、ヘルスケアと農業の分野で150年以上の歴史がり、日本でもバイエルの医薬品は1899年から輸入されています。バイエル薬品株式会社は1973年に設立。肺疾患、オンコロジー、血液疾患、循環器系疾患、女性の健康、眼科など、幅広い治療領域をカバーしています。

バイエル薬品は数多くの医薬品を日本で製造、販売をしていますが、その中でも全世界で売上10億ドルを超えている医薬品をまとめました(22年度) (出典:バイエル薬品ホームページ)

バイエル薬品の日本での主要製品

製品名治療領域
イグザレルト抗凝固剤
アイリーア眼科
ミレーナ避妊リング
出典:バイエル社HP, 2022年世界での売上が10億ドル以上の製品で日本でも発売の製品

イグザレルトは、日本の経口抗凝固薬市場において、売上2位。2021年には、小児の血栓塞栓症への適応が追加されています。加齢性黄斑変性の治療薬アイリーアは海外・国内の眼科市場で長く売上トップの製品です。

両製品とも2023年に特許が切れており、2022年にはアイリーアのバイオAGが承認を受けました。

バイエル薬品としては、特許切れとなるイグザレルトに代わり、新しい抗凝固剤「アスンデキサン」が日本で次の売上の柱として期待されています。

8位:日本イーライリリー

ランキングランク売上備考
世界の売上ランキング12位285.4億ドル2022年度
日本売上ランキング(販促ベース)13位2388億円22年度(外資系では8位)
国内売上ランキング(販売ベース)16位1984億円22年度(外資系では9位)
参照【製薬会社ランキングのまとめ】世界と日本の製薬会社の将来性、価値総額、売上、年収ランキング

イーライリリーは、世界での売上ランキングは12位ですが、日本国内の外資系製薬会社の売上ランキングでは8位に位置しています。

グローバルの本社は、米国インディアナポリス市で、日本法人の日本イーライリリー株式会社は神戸市に本社を置いています。

イーライリリー社は、1923年、インスリン製剤の実用化に世界で初めて成功、1982年には、世界で最初の遺伝子組み替え製剤・ヒトインスリンの開発に成功するなど、現在も糖尿病の治療領域で高い存在感を示しています。

日本イーライリリーの日本での主要製品

製品名治療領域
トルリシティ 2型糖尿病
ベージニオ再発性乳がん
トルツ乾癬
ジャディアンス2型糖尿病
ヒューマログ糖尿病
ヒューマリン糖尿病
出典:Lilly Homepage, 2022年世界での売上が10億ドル以上の製品で日本でも発売の製品

日本イーライリリーは、世界で10億ドル以上の売上(22年度)を上げている医薬品を日本でも販売をしています。とくに、トルリシティ をはじめとした糖尿病領域で強いことがわかります。

なお、最新の2028年の世界の売上ランキング(Evaluate Pharma)によると、リリーは世界の売上ランキング10位に躍進すると予測されています。

これには、22年に承認され、世界で150億ドル以上の売上になると予測されている糖尿病および肥満の治療薬「マンジャロ」が大きく牽引すると見られています。

10位:日本ベーリンガーインゲルハイム

ランキングランク売上備考
世界の売上ランキング15位254.4億ドル2022年度
日本売上ランキング(販促ベース)17位2167億円22年度(外資系では10位)
国内売上ランキング(販売ベース)14位2167億円22年度(外資系では7位)
参照【製薬会社ランキングのまとめ】世界と日本の製薬会社の将来性、価値総額、売上、年収ランキング

ベーリンガーインゲルハイムは、世界での売上ランキングは17位ですが、日本国内の外資系製薬会社の売上ランキングでは販売会社ベースでは7位、販促会社ベースでも10位と、トップ10入りを果たしています。

ベーリンガーインゲルハイムは1885年に創業。本社はドイツのインゲルハイムにあります。日本法人は1972年に設立されています。

22年の業績に対して日本ベーリンガーインゲルハイム社は、SGLT2阻害薬のジャディアンスが448億円、トラディアンス(ジャディアンスとDPP-4阻害薬トラゼンタの配合剤)が237億円と、前年比30%前後の伸びで業績に貢献をしていると発表しています。

グローバルトップ10も、日本国内売上ランキング10位以下の外資系製薬会社

会社名日本の売上ランキング(外資のみ)世界の売上ランキング
サノフィ11位8位
アッヴィ4位

世界の売上ランキングは上位も日本の国内市場の売上では、トップ10入りができていない外資系製薬会社が2社。サノフィとアッヴィですが、両社の世界と日本のランキングの比較情報をまとめます。

11位:サノフィ

ランキングランク売上備考
世界の売上ランキング8位453.2億ドル2022年度
日本売上ランキング(販促ベース)18位2018億円22年度(外資系では11位)
国内売上ランキング(販売ベース)
参照【製薬会社ランキングのまとめ】世界と日本の製薬会社の将来性、価値総額、売上、年収ランキング

ランク外:アッヴィ

ランキングランク売上備考
世界の売上ランキング4位580.5億ドル2022年度
日本売上ランキング(販促ベース)22年度(外資系ランク外)
国内売上ランキング(販売ベース)22年度(外資系ランク外)
参照【製薬会社ランキングのまとめ】世界と日本の製薬会社の将来性、価値総額、売上、年収ランキング

日本国内の売上ランキングでみる本当につよい外資系製薬会社のまとめ

国内販促会社ベースの売上ランキング1位のアストラゼネカはグローバル9位、2位のヤンセンファーマは5位といずれもグローバルでの売上ランキングより順位を上げています。

5位以下でも同様に、バイエル薬品、日本イーライリリー、日本ベーリンガーインゲルハイムは、世界ではトップ10にはランキングしていないものの日本国内ではランキング入りを果たしています。

このように、日本市場でトップ10入をしている外資系の製薬会社は、世界のトップランキングとは異なることがよくわかります。

エンワールド・ジャパンビズリーチJACリクルートメント
外資系の転職につよい
製薬業界での実績多数
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