REGENXBIOは2026年8月24日、ムコ多糖症II型(MPS II、ハンター症候群)を対象とする遺伝子治療RGX-121(clemidsogene lanparvovec)について、米食品医薬品局(FDA)が治験を一時停止する措置を講じたと発表しました。
第II/III相CAMPSIITE試験の参加者5人の脊椎MRIで、無症候性の小さな結節または嚢胞性腫瘤が確認されたためです。同社は、2026年第3四半期に予定していた生物製剤承認申請(BLA)の再提出を当面見送ります。
- 参加者5人で確認された脊椎MRI所見
- RGX-121をめぐる2026年の規制対応
- BLA再提出延期と日本新薬への影響
- REGENXBIOが維持する他の開発計画
REGENXBIOのムコ多糖症II型遺伝子治療RGX-121に今年3度目の規制上の後退

RGX-121は2026年1月の治験一時停止、その後の審査完了報告通知を経て、6月には迅速承認に向けた協議が進展していました。
今回の脊椎MRI所見による治験の一時停止は、同年に入って3度目となる規制上の後退です。発表当日のREGENXBIOの株価は約27%下落しました。
投与から3~6年後の5人に脊椎の結節や嚢胞性腫瘤
所見が確認されたのは、脳槽内または脳室内にRGX-121の投与を受けてから約3~6年が経過した参加者5人です。
脊椎MRIで、小さな結節または嚢胞性腫瘤が見つかりました。
これらは、REGENXBIOが数カ月前に導入したMRI監視の拡充によって確認されたものです。脳MRIでは、結節や腫瘤は認められませんでした。
参加者は無症候性で所見は良性の可能性
REGENXBIOによると、5人はいずれも臨床的に良好な状態を維持しています。神経認知および神経行動学的評価では、全般的な安定または改善が確認されました。
治験責任医師は脊椎MRI所見を非重篤と判断し、放射線科医は良性である可能性が高いとみています。ただし、所見の性質やRGX-121との因果関係を確定する臨床的または病理学的な証拠は得られていません。
MPS IIの日常診療や臨床試験では脊椎MRIが通常実施されないため、同様の無症候性所見が患者集団に存在する割合と臨床的な意味は不明です。
RGX-111の腫瘍確認を受けRGX-121も臨床保留
画像監視が拡充された背景には、ムコ多糖症I型(MPS I、ハーラー症候群)を対象とするRGX-111での安全性所見があります。
投与から約4年後の小児1人に、脳室内の中枢神経系腫瘍が確認され、FDAは2026年1月にRGX-111の治験を一時停止しました。
FDAは、製品設計、対象患者、潜在的な共通リスクを考慮し、当時審査中だったRGX-121の治験も一時停止しました。REGENXBIOはその後、監視対象を脳だけでなく脊椎MRIにも広げています。
審査完了報告通知後のFDA協議で迅速承認への道筋を再確認
FDAは2026年初め、RGX-121のBLAに審査完了報告通知を発出しました。主な論点は、試験の適格基準、外部自然歴対照との比較可能性、代替評価項目に関する不確実性でした。
一方、REGENXBIOは6月、FDAとの協議により、第II/III相CAMPSIITE試験の既存データを迅速承認申請の根拠として利用できる可能性を再確認したと発表していました。
今回の安全性所見により、その申請計画は再び延期されます。
REGENXBIOのムコ多糖症II型遺伝子治療RGX-121はBLA再提出を当面見送り
REGENXBIOは、RGX-121のベネフィット・リスクを評価するため、より長期の追跡と追加データの解析が必要と判断しました。
今後はFDAからの正式な通知を踏まえ、開発方針と申請時期を改めて検討します。
2026年第3四半期に予定した承認申請を延期
同社はRGX-121のBLAを2026年第3四半期に再提出する計画でしたが、近い時期には提出しない方針へ変更しました。新たな申請時期は示されていません。
カラン・シンプソン最高経営責任者は、脊椎MRI所見がハンター症候群プログラムに固有かつ限定的との見方を示しています。
日本新薬と追加画像および長期追跡データを評価
REGENXBIOは2025年、米国およびアジアにおけるRGX-121の権利を日本新薬へ導出しています。契約総額は最大8億1,000万ドルです。
REGENXBIOと日本新薬の米国子会社NS Pharmaは、他の参加者を含む追加画像と長期追跡データを評価します。
さらに、FDAから正式な治験一時停止通知を受領後、その内容を次の対応へ反映する予定です。
RGX-202とRGX-314の開発計画は維持
REGENXBIOは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象とする遺伝子治療RGX-202について、2026年第3四半期のBLA提出計画を維持しました。
また、AbbVieと共同開発するsurabgene lomparvovec(sura-vec、RGX-314)では、滲出型加齢黄斑変性を対象とする第III相ATMOSPHERE試験およびASCENT試験の主要結果を第4四半期に公表します。両開発品はNAV AAV8ベクターを使用しており、NAV AAV9ベクターを用いるRGX-121とはカプシドと投与経路が異なります。
REGENXBIOのムコ多糖症II型遺伝子治療RGX-121で今後確認される事項
FDAは脊椎MRIで無症候性所見が見つかったRGX-121の治験を一時停止し、REGENXBIOはBLAの再提出を当面見送ります。
今後の確認事項は、定期的な画像検査による5人の経過、他の参加者の画像評価、所見とRGX-121との因果関係、FDAが治験再開に求める条件です。
新たなBLA提出時期は公表されていません。REGENXBIOとNS Pharmaは追加データを評価し、FDAの正式な通知を踏まえてRGX-121の次の対応を決定します。(出典:REGENXBIO「RGX-121に関する規制上の最新情報」)
- REGENXBIOのRGX-121をFDAが治験一時停止
- 参加者5人の脊椎MRIで無症候性所見を確認
- 小さな結節または嚢胞性腫瘤が見つかる
- 5人は投与から約3年から6年が経過
- 神経認知と神経行動学的評価は安定または改善
- 所見は非重篤で良性の可能性が高い
- RGX-121との因果関係は現時点で不明
- 2026年第3四半期のBLA再提出を延期
- 日本新薬と追加画像および長期追跡データを評価
- RGX-202とRGX-314の開発計画は維持
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