Capricor Therapeuticsは2026年8月24日、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を対象に開発している細胞治療deramiocel(CAP-1002)について、米食品医薬品局(FDA)が審査期限を8月22日から11月22日へ3カ月延長したと発表しました。
FDAは、第III相HOPE-3試験の24カ月非盲検延長データと追加解析を含む申請変更を「重要な変更」として受理しました。
Capricorは当初、DMD関連心筋症で承認を目指していましたが、FDA諮問委員会で厳しい評価を受けた後、HOPE-3試験の主要評価項目である上肢機能に焦点を絞った適応へ申請戦略を変更しています。
- FDAがderamiocelの審査期限を延長した理由
- DMD関連心筋症から上肢機能へ申請適応を変更した経緯
- HOPE-3試験で示された上肢機能と心機能の結果
- 11月22日の判断に向けて追加審査されるデータ
CapricorのDMD治療薬deramiocelについてFDAが審査期限を11月22日へ延長

今回の期限延長は、FDAが承認可否の判断を先送りしただけではなく、申請適応とその根拠となるデータが変更されたことに伴うものです。
修正後の申請では、心筋症ではなく上肢機能が審査の中心になります。
HOPE-3試験の24カ月データ提出により3カ月の審査期間を追加
Capricorは2026年7月のFDA諮問委員会後、当局との協議を続け、deramiocelの生物製剤承認申請に修正資料を追加しました。
FDA生物製剤評価研究センターは、DMDにおけるアンメットメディカルニーズを踏まえて提出資料を受理したと同社は説明しています。
修正資料には、HOPE-3試験の24カ月非盲検延長データと、試験結果の頑健性を検証する追加解析が含まれました。
FDAはこれを重要な変更に分類し、追加情報の評価に必要な期間としてPDUFAに基づく目標審査期限を3カ月延長しています。(出典:Capricor Therapeutics「deramiocelのPDUFA審査期限延長に関する発表」)
当初の承認申請はDMDに伴う心筋症を対象としていた
Capricorの当初の申請は、DMDに伴う心筋症を対象としていました。申請資料には、第II相HOPE-2試験とその非盲検延長試験のデータに加え、FDAが資金提供したデータセットを用いた自然歴との比較解析が含まれていました。
しかし、FDAは前年、この申請に審査完了通知を発行しました。
その後、当局は第III相HOPE-3試験のデータを継続審査の根拠として受け入れることに同意し、deramiocelの審査が続けられていました。
これまでのFDAとの協議や申請変更については、関連記事のDMD治療薬deramiocelのFDA修正申請でも確認できます。
CapricorのDMD治療薬deramiocelでFDA審査の中心が心筋症から上肢機能へ変更
HOPE-3試験は、心筋症を中心に評価する設計ではありませんでした。主要評価項目はPUL 2.0を用いた上肢機能であり、左室駆出率による心機能の評価は副次評価項目に設定されていました。
HOPE-3試験では上肢機能の疾患進行をプラセボ比54%抑制
Capricorが公表したトップライン結果によると、deramiocelはPUL 2.0スコアで評価した上肢機能の低下をプラセボと比較して54%抑制し、主要評価項目を達成しました。
心機能については、左室駆出率に基づく心筋症の進行を91%抑制したと同社は報告しています。
ただし、2つの数値は試験上の位置付けが異なります。上肢機能は主要評価項目である一方、心機能は副次評価項目です。
今回の修正申請は、承認を求める適応をHOPE-3試験本来の主要評価項目に合わせる変更となりました。
FDA諮問委員会は心筋症に対する有効性を9対3で支持せず
申請戦略変更の背景には、DMD関連心筋症を対象としたデータに対する規制上の評価があります。FDAの審査担当者は、Capricorが心筋症に対する有効性の根拠とした統計解析について疑問を示しました。
さらに、2026年7月のFDA諮問委員会は9対3で、既存のエビデンスはDMD関連心筋症におけるderamiocelの有効性を裏付けていないと判断しました。
そこでCapricorは、上肢骨格筋機能に焦点を当てた適応へ申請内容を変更し、FDAも修正申請を審査する意向を示しました。
諮問委員会の投票対象は、DMD関連心筋症に対する有効性でした。今回FDAが継続審査する修正申請は、上肢機能に焦点を絞った内容であり、審査対象が同一ではありません。
追加された長期追跡データと頑健性解析が今後の審査対象
Linda Marbán最高経営責任者は、HOPE-3試験の追跡期間がさらに1年延びたことで、DMD患者の上肢機能を評価する広範な臨床データが得られたと説明しました。
また、24カ月非盲検延長データと追加解析が、見直した適応を裏付けるエビデンスを補強するとの見方を示しています。
一方、非盲検延長データの具体的な数値や追加解析の詳細、FDAへ提案した対象患者と表示内容は今回の発表では示されていません。Deramiocelは開発中の細胞治療であり、現時点ではいずれの適応でも商業使用を承認されていません。
CapricorのDMD治療薬deramiocelについてFDAは11月22日までに判断予定
発表済みの日程では、FDAによる次の目標審査期限は2026年11月22日です。審査には、HOPE-3試験の既存結果、24カ月非盲検延長データ、追加の頑健性解析が含まれます。
Capricorは心筋症から上肢機能へ申請の焦点を変更しました。今後は、追加された長期データが上肢機能の維持をどの程度裏付けるか、FDAが提案された適応範囲を承認可能と判断するかが確認される予定です。
- FDAはderamiocelの審査期限を2026年11月22日へ延長
- 当初の審査期限は2026年8月22日
- 審査期限の延長期間は3カ月
- FDAは申請資料の追加を重要な変更として受理
- 追加資料にはHOPE-3試験の24カ月非盲検延長データを収載
- Capricorは追加の頑健性解析もFDAへ提出
- 承認を求める適応をDMD関連心筋症から上肢機能へ変更
- HOPE-3試験では上肢機能の低下をプラセボ比54%抑制
- FDA諮問委員会は心筋症への有効性を9対3で支持せず
- FDAは上肢機能を中心とする修正申請を継続審査
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