BioMarin Pharmaceuticalは2026年8月6日、ENPP1欠損症を対象とするBMN 401の全適応症での開発中止を発表しました。
5月に公表した第3相ENERGY 3試験で、2つの主要評価項目のうち臨床評価に関する1項目を達成できなかったことを受けた決定です。
BMN 401は、BioMarinが2025年に2億7,000万ドルで買収したInozyme Pharmaの中核開発品でした。本記事では、開発中止までの経緯、ENERGY 3試験の結果、買収とパイプラインへの影響を確認します。
ニュースのポイント
- BMN 401の開発中止が決まった経緯
- ENERGY 3試験で達成できなかった評価項目
- Inozyme Pharma買収との関係
- BioMarinが公表した今後の動き
BMN401の開発中止で何が変わったか

5月時点でBioMarinは試験データを評価し、次の対応を検討するとしていました。今回の発表により、検討段階から全適応症で開発を終了する方針へ変わったことになります。
ENERGY 3試験の結果
ENERGY 3は、ENPP1欠損症の1~12歳の小児27人を対象とした無作為化2対1の対照非盲検試験です。
BMN 401は、週52までの血漿中無機ピロリン酸濃度を従来治療群より統計学的に有意に増加させ、主要評価項目の一つを達成しました。
一方、もう一つの主要評価項目である画像診断による全般的変化印象度、RGI-Cスコアでは改善が認められませんでした。くる病重症度スコアや身長・体重の成長Zスコアを含む副次評価項目でも、良好な傾向は確認されていません。
バイオマーカーである無機ピロリン酸の上昇が、小児のくる病における臨床的な改善へ結びつかなかったことが、今回の判断に至る中心的な試験結果です。
安全性について、BioMarinはBMN 401がおおむね良好な忍容性を示し、新たな安全性シグナルは報告されなかったと説明しています。
したがって、公表資料上の開発中止理由は安全性ではなく、有効性評価の結果です。(出典:BioMarin「BMN 401第3相試験結果」)
ENPP1欠損症への影響
BMN 401は旧名称INZ-701で、ENPP1欠損症に対する皮下投与型の酵素補充療法として開発されていました。同疾患ではENPP1機能の低下によって無機ピロリン酸が減少し、血管、軟部組織、骨に進行性の障害が生じます。
BioMarinによると、BMN 401は全適応症で開発中止となります。今回の発表では、ENERGY 3参加者への対応や、試験データの追加解析・学会発表に関する新たな日程は示されていません。
BMN401の開発中止と今後の動き
BMN 401の終了は単独品目の判断にとどまらず、Inozyme買収の成果とBioMarinの希少疾患パイプラインを見るうえでも重要な更新です。
Inozyme買収への影響
BioMarinは2025年、Inozyme Pharmaを約2億7,000万ドルで買収しました。目的は酵素補充療法の拡充であり、後期開発段階にあったBMN 401が案件の中心でした。
そのため、今回の中止によって買収時に想定された主要な開発機会は失われた形です。
ただし、BioMarinは8月の決算発表で、買収価値の減損処理やBMN 401終了に伴う費用の詳細を個別には示していません。
2026年第2四半期の研究開発費は2億700万ドルで、前年同期の1億6,100万ドルから増加し、同社は増加要因の一つとしてBMN 401関連費用を挙げました。
買収全体の成否や財務上の最終損失は、公表された取得額と開発中止だけでは確定できません。会計処理や残存資産に関する追加開示との区別が必要です。
BioMarinのパイプライン
同社はBMN 401を終了する一方、軟骨無形成症を対象とするBMN 333の第2/3相試験、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象とするBMN 351、巣状分節性糸球体硬化症を対象とするBMN 820などを継続しています。
また、VOXZOGOでは低軟骨形成症を対象とする米国の追加承認申請を提出済みです。
BioMarinは申請状況を2026年第3四半期決算で更新する予定としています。こうした研究開発資源の配分変更は、製薬企業の研究開発職や事業開発職の求人動向を確認する際にも関連する企業情報です。
BMN401開発中止の要点
BioMarinが発表した事実は、BMN 401を全適応症で開発中止としたことです。
ENERGY 3では血漿中無機ピロリン酸の増加を確認したものの、RGI-Cスコアを改善できず、複数の副次評価項目にも良好な傾向がありませんでした。
2026年5月の「データ評価中」から、8月には開発終了へ方針が確定しました。
今後確認すべき公表事項は、試験参加者への対応、詳細データの提示、開発中止に伴う会計上の影響です。(出典:BioMarin「2026年第2四半期決算」)
