AbCelleraは2026年8月10日、ホットフラッシュを含む中等度から重度の血管運動神経症状を対象としたABCL635の第2相試験で、主要有効性評価項目を達成したと発表しました。
600mgの単回皮下投与後、4週時点で症状の頻度と重症度がプラセボに対して統計学的に有意に低下しています。
今回の発表で確認されたのは4週間のトップラインデータです。
月1回投与を想定できる持続性が示された一方、正式な投与間隔や第3相試験の計画は公表されていません。本記事では、試験結果、有害事象、既存治療との違い、今後の確認事項を取り上げます。
ニュースのポイント
- ABCL635の第2相試験デザイン
- ホットフラッシュの頻度と重症度の変化
- 単回皮下投与後の安全性
- 月1回投与と第3相試験の確認事項
ABCL635のホットフラッシュ試験結果
第2相部分には、1日平均約10回の中等度または重度のホットフラッシュを経験する閉経後女性92人が参加しました。ABCL635群とプラセボ群へ1対1で無作為に割り付けられ、各群46人で評価されています。
頻度は4週時点で83%減少
ABCL635群では、ホットフラッシュの発現頻度がベースラインから1日平均8.8回減少しました。プラセボ群の減少は3.5回で、プラセボ調整後の群間差は1日5.3回です。平均減少率はABCL635群が83%、プラセボ群が33%となり、群間差は50ポイントでした(p<0.001)。
重症度スコアはABCL635群で平均1.4ポイント、プラセボ群で0.3ポイント低下しました。プラセボ調整後の差は1.1ポイントで、平均減少率はそれぞれ58%と12%です。頻度と重症度の双方で、1週から4週まで統計学的有意差が維持されました。
| 4週時点の評価 | ABCL635 | プラセボ |
|---|---|---|
| 頻度の平均減少 | 1日8.8回 | 1日3.5回 |
| 頻度の平均減少率 | 83% | 33% |
| 重症度の平均減少 | 1.4ポイント | 0.3ポイント |
| 重症度の平均減少率 | 58% | 12% |
出典:AbCellera「ABCL635第2相トップライン結果」
睡眠と忍容性の結果
同社によると、睡眠スコアと患者全般的印象度・変化にも意味のある改善が確認されました。ただし、2026年8月10日の発表には各評価尺度の具体的な数値や群間差は記載されていません。
4週間の治療期間中に、重篤または重度の有害事象、試験中止につながる有害事象は報告されませんでした。ABCL635群でプラセボ群より多かった主な有害事象は、頭痛、疲労、注射部位反応です。
ABCL635のホットフラッシュ開発動向

ABCL635は、NK3受容体を標的とする長時間作用型の抗体医薬です。今回の結果は、1日1回の経口投与が中心となっている非ホルモン治療に対し、投与頻度の異なる選択肢を検討する材料になります。
月1回投与は確定したのか
今回の試験で確認されたのは、単回投与後4週間にわたる有効性です。したがって、月1回投与の可能性を支える結果ではあるものの、承認申請を想定した正式な用法・用量が確定したわけではありません。
AbCelleraはABCL635を長時間作用型治療として開発していますが、発表時点で第3相試験のデザイン、開始時期、投与間隔、主要評価項目は示していません。
ABCL635は2025年7月に臨床段階へ移行した、同社のGPCR・イオンチャネル基盤から生まれた最初の臨床開発品です。試験登録番号はNCT07118891で、第1相部分と閉経後女性を対象とする第2相部分から構成されています。
出典:ClinicalTrials.gov「NCT07118891」
ABCL635のホットフラッシュ開発まとめ
AbCelleraが公表した第2相トップライン結果では、ABCL635の600mg単回皮下投与により、4週時点でホットフラッシュの頻度が平均83%、重症度が平均58%低下しました。重篤・重度の有害事象や中止につながる有害事象は報告されていません。
一方、公表内容は92人を対象とした4週間のデータです。月1回投与の用法、第3相試験の開始時期、長期安全性に関する計画は未発表であり、今後は詳細データと後期開発計画の開示が確認事項となります。
