Network Bioは2026年8月19日、5,000万ドルの資金調達とNVIDIAとの提携を発表しました。患者由来の組織、血液、分子情報、臨床転帰を組み合わせ、疾患を横断して利用できるAIモデルの開発を進めます。
同社が「疾患のバーコード」と表現する生物学的シグナルは、創薬標的やバイオマーカーの探索、患者層別化への利用が想定されています。今回公表された学習データ、資金使途、cfRNA基盤モデルの開発状況をまとめます。
- 疾患のバーコードが意味する情報
- 5,000万ドルの資金使途
- 大学バイオバンクとの連携内容
- NVIDIAと進めるcfRNAモデル
Network Bioが患者組織から疾患バーコードを読み取る仕組み

Network Bioは、患者組織などに残る分子レベルの疾患シグナルを「バーコード」と表現しています。単一疾患ごとのモデルではなく、疾患や組織をまたいで学習結果を利用する構想です。
疾患のバーコードとは何か
対象となるのは、患者由来の組織と対になる血液検体、分子情報、治療後の経過を含む長期的な臨床転帰です。
同社は、これらを統合することで、診断名だけでは区別できない疾患の特徴をAIで読み取る方針を示しました。
製薬会社で想定される用途は、創薬標的とバイオマーカーの探索、患者層別化、治療法の開発です。
ただし、抽出したシグナルの臨床的有用性や外部患者集団での再現性は、今回の発表では示されていません。
なお「疾患バーコード」は確立された診断項目の名称ではなく、Network Bioが組織や血液に含まれる疾患シグナルを説明するために用いた表現です。
バイオバンクをどう統合するか
Network Bioは、Mass General Brigham、ペンシルベニア大学、コロラド大学アンシュッツ校などのバイオバンクと連携しています。施設間で患者選定、検体品質、データ形式を共通化し、AIが解析できるデータセットを作ります。
対象領域は免疫、代謝、循環器、自己免疫疾患などです。
呼吸器疾患で研究成果を報告したほか、卵巣疾患と骨疾患でも研究を実施しています。同社は患者組織の学習データセットを世界最大と説明していますが、検体数や患者構成の詳細は公表していません。
今回の事業モデルは、アルゴリズムだけでなく、複数施設から継続的に患者データを取得し、施設差を調整する工程まで含む点が特徴です。
Network Bioの疾患バーコード解析を創薬へつなぐNVIDIAとの共同開発
調達資金は、研究ネットワークの拡大、大規模な複合データの生成、対応疾患の追加に充てられます。さらにNVIDIAとの共同開発では、血液中のcfRNAを学習する基盤モデルを大規模化します。
NVIDIA提携で何を進めるか
開発対象の「Nexus」は、cfRNA発現情報を自己教師あり学習するTransformerモデルです。
NVIDIA BioNeMo Recipesを学習に使い、NVIDIA Parabricksで配列データの処理時間と費用を減らします。初期の技術作業では、学習処理量の増加とモデル収束までの時間短縮が確認されたといいます。
Network Bioは、既存モデルOrionについて早期肺がんを感度94%、特異度87%で検出したと報告しました。
この数値は同社が示した研究結果であり、Nexusの性能を表すものではありません。cfRNA言語モデルの研究は査読論文として公表されています(出典:Nature Machine Intelligence「A multimodal cell-free RNA language model」)。
Network Bioは、Nexusをがん領域と非がん領域の個別モデルを開発するための基盤として利用する計画です。
提携契約と今後の予定
同社は、社名を公表していないFortune 100のヘルスケア企業と、3,000万ドル超の共同開発・ライセンス契約も締結しました。契約の支払い条件、対象疾患、開発日程は明らかにしていません。
今後はデータセットの規模と対象疾患を拡大し、バイオ医薬品企業やヘルスケア企業との共同研究を増やす方針です。
こうした動きにより、AI創薬やバイオインフォマティクスの実務経験を扱う研究開発領域も広がります。
Network Bio、疾患のバーコード解読へ5,000万ドルを調達のまとめ
Network Bioは5,000万ドルを調達し、大学病院のバイオバンクを結ぶ患者組織・血液データ基盤を拡大します。NVIDIAとはcfRNA基盤モデルNexusを開発し、別途3,000万ドル超の共同開発・ライセンス契約も締結済みです。
発表済みの次の動きは、学習データの規模拡大、疾患領域の追加、Nexusを基盤とした専門モデルの開発です。
一方、データセットの具体的な検体数、Nexusの疾患別性能、提携先と開発日程は公表されていません(出典:Network Bio公式発表)。
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