- 製薬業界での求人数が少ないって本当?
- 製薬業界の求人数が少ない理由は何ですか?
- 転職活動における求人数の大小はどう影響しますか?
- 製薬、医療業界での求人情報を効率的に探す方法は?
製薬、医療業界でこれから転職活動を始めたいと思っている人からよく聞かれる質問で、製薬業界の求人数の少なさがあります。
本記事では、製薬業界での求人数が少ないという評判について、この評判の真偽を検証し、求人数の大小が転職活動にどう影響するのか、さらに効率的に求人情報を探す方法についても解説します。
転職活動をはじめる際に、製薬業は求人数が少ない業界かどうかの検証内容を基にすることで、転職活動を効率よく進めることが出来ます。
なお、これから製薬業界、医療業界で転職を始める方向けに、効果的に転職活動をするための10の手順をわかりやすくまとめた記事もあるので、参考にしてください。
製薬業界の転職におすすめ転職エージェント3選 |
製薬業界のおすすめ転職エージェントをランキングで比較
求人数が少ない業界、転職活動に及ぼす影響は?
- 競争が激化するリスク
- スキルや経験での差別化が重要
- 自分にあった求人がない場合もある
求人数の大小は転職活動に大きな影響を与えます。良い点と悪い点の両方を含めて解説します。
競争の激化
求人数が少ないと一つの求人に対する応募者が多くなり、競争率が高くなります。
これにより、採用基準が厳しくなり、転職活動が一層困難になることがあります。限られたポジションを獲得するためには、応募書類の充実や面接対策、自己PRや具体的な実績や成果を明確に伝えることが求められます。
一方で、競争が激化する中で、自分のスキルや経験が求人の要件にマッチしている場合、企業はより積極的に候補者を獲得しようとするため、好条件での交渉が可能になることがあります。
スキルや経験での差別化が重要
製薬業界ではほとんどの求人の専門性が高いため、自分の強みを明確にし、それをどう活かせるかを具体的に示すことが求められます。
求人が少ない場合でも、適切なスキルや経験を持つ候補者は、転職の準備をしっかりとすることでより安心して転職活動を進めることが出来ます。競争率が高い中で企業にとってもよりふさわしい人材獲得ができ、企業側が積極的にアプローチしてくる可能性があります。
自分に合った求人が無い場合もある
専門性が高くなればなるほど、求人数は少なくなる傾向が強くなります。その場合、自分の活かしたい専門性や経験に合った求人自体がない場合や見つからない場合があります。これは、転職活動が長期化し、ストレスや不安が増す可能性があります。
一方で、適切な転職エージェントを活用、長期的に求人活動をより戦略的に進めることで、自分に最も適した求人を見つけるチャンスが増えます。また、時間を活用し、自分のさらなるスキルアップや資格取得などの自己投資により、より高い評価を得ることができる可能性もあります。
求人数が少ない業界では、一つの求人に対する応募者が多くなり、競争率が高くなります。これにより、採用基準が厳しくなり、転職活動が困難になることがありますが、一方で、自分のスキルや経験が求人にマッチしていれば、企業は好条件で候補者を獲得しようとするため、交渉の余地が生まれます。
競争率が高い中で成功するためには、応募書類の充実、面接対策、自己PRの強化が必要です。また、適切な転職エージェントの活用や、自己投資によるスキルアップで、自分に最適な求人を見つけるチャンスを増やすことができます。求人数が少ない業界でも、戦略的なアプローチと準備を行うことで、転職活動を成功させることが可能です。
検証1:製薬業界は、本当に求人数が少ない業界なのか?
- 製薬業界の転職数とほかの業種での転職数と比較されている
- 製薬業界の総求人数は約6000件と推測
母数が多いほかの業種と比較されている場合がある
製薬業界の「求人数の少なさ」について説明します。転職活動をする際に業界の求人数は非常に関心が高いポイントです。
製薬業界の求人数は、しばしば医療業界も取り扱う転職エージェントの求人数と比較されることがあります。求人サイトでは、製薬業界の求人が他の業界の求人数の10倍に達することがあるため、製薬業界の求人数は少ないといった評価がされる場合があります。
製薬業界の主な求人は「製薬会社」が対象です。一方で、比較されている医療業界全般の求人数は、製薬業界に加え「病院・クリニック」や「薬局」の求人が含まれています。このため、比較するべき母数と規模が異なっているのです。
- ある医療業界むけの転職サイトの求人数の内訳
- 調剤薬局:76 %
病院:約 10 %
企業:約 0.5 %
出典: 薬剤師転職キャリア
このような製薬業界および医療業界の求人の内訳を詳しく見ると、製薬会社と調剤薬局数とは母数自体に大きな差があることが明らかです。
したがって、製薬業界の求人数が少ないことを示すためにこれらの比較データを使うことで製薬業界での求人数が少ないとの印象を与えてしまいます。
結論から言うと、この評判は、他の業界の求人数と比較していることで生じる「間違った認識」であることがわかりました。
なお、製薬業界では、薬剤師や医師の方々の製薬会社への転職の支援も行っています。未経験の薬剤師の方も製薬業界でキャリアを目指すことが可能です。
製薬業界の総求人数は約6000件と推測
同じ製薬業界を対象とした転職サービスを提供する会社のデータから、製薬業界での求人数がどのくらいなのかを検証します。総合型のエージェントも含めて「製薬業界向けの全体の求人数」で参考となるデータを集めました。
日経メディカル プロキャリア | メディカルを含む | 約8,000件 | 母数は企業の求人広告 製薬会社対象の求人多数 メディカル含むので製薬業界の求人数はこれより少ない |
製薬オンライン | 公開求人数 | 2,986件 | 非公開求人もあるので、総数は増えると思われる |
アンサーズ | 公開求人数 | 1,798件 | 公開求人数だけでの比較は難しい |
アンサーズ | 非公開求人数含む推測値 | 約6,000件 | 非公開求人が70%と仮定 |
今回の調査で、最も多い求人数を持つのは日経メディカルプロキャリアの約8,000件でした。同社の求人にはメディカル、医療関係、薬剤師の求人も含まれています。そのため、製薬業界の求人としては、もう少し少なくなると考えられます。
日経メディカルプロキャリアは、製薬会社や業界内の企業、転職エージェントが直接投稿する求人広告が幅広く含まれている特徴があります。
製薬業界に特化した「製薬オンライン」の公開求人数は約3,000件で、非公開求人も保有しているため、全体の求人数はこれより増えると予測されます。製薬オンラインでは、非公開求人の具体的な割合は公開されていないので、求人数が実際にどのくらいあるのかの推測は出来ませんでした。
アンサーズを活用します。アンサーズの70%は非公開求人と発表されており、公開されている求人数公開求人は1798件を基にすると推測値は約6,000件と類推できます。
日経メディカルプロキャリアに比べると求人数は少ないものの、アンサーズは、製薬業界のみの転職に特化していることを踏まえた場合、この数値が実際の製薬業界の求人数に近い数値と考えます。
製薬業界全体の求人数は、アンサーズの非公開求人を含む約6,000件が製薬業界全体の求人数を類推します。
部門別の公開求人数で少なく見える
アンサーズの非公開求人が7割とのことから、アンサーズが公開している主要部門での求人数がどのくらいなのかを算出してみます。
製薬業界職種別求人数ランキングTOP3
順位 | 部門 | 求人数(非公開含む) | 公開求人数 |
1位 | 開発職 | 2,384 | 624 |
2位 | 研究職 | 1,215 | 290 |
3位 | MR・マーケ関連 | 1,174 | 276 |
最も多い開発職でも、公開されている求人は624件しかありません。
非公開求人が7割とすると、開発職全体では2300件の求人が非公開求人も含めるとあると推測できます。
製薬業界では、非公開求人の割合が多いことを踏まえると、公開されている求人数で見た場合、求人数が少ないというイメージにつながっていると考えることも出来ます。
検証2.地方での求人が少ない業界?地域によっては全く無い?
- 製薬会社の勤務地は大都市に集中している
- 営業職、MRは各地にある
- 製薬会社の研究所、工場は地方に点在している
製薬会社の勤務地は大都市に集中している
日系大手の製薬会社、外資系製薬会社、バイオテック企業の多くは、本社を東京や大阪周辺に構えています。そのため、製薬業界の採用の大部分はこれらの大都市地域での求人が中心となります。
一方、地方での求人の数は限られているものの、質の高い求人は各地方都市にも多く存在します。製薬業界の求人は確かに大都市圏に多いですが、地域によって求人が全く存在しないという評判は、製薬業界で転職を希望する人々をミスリードする可能性があります。
営業職、MRは各地にある
製薬会社ではMRが全国で5万に位ます。営業部門が各地方都市に営業所を抱え、各地で人材の採用も行ってます。
医療関係者に、医薬品の品質・安全性・有効性などの情報を正しく提供、医薬品は医師の処方箋を通じて患者さんに届けられます。MRは、非常に専門性の高い仕事です。
MRは製薬会社にとっては欠くことができない部門で、大手は全国に数千人のMRを抱えて、大病院から地域のクリニックまで営業活動をしています。
営業所や支店を通じて、各地域での人材の採用もあるので、地方でMRのとしてのキャリアを目指す人にとってはとても魅力的な仕事であるとも言えます。
製薬会社の研究所、工場は地方に点在している
製薬業界で地方では、研究所や工場での採用があります。
研究職に関しては、高度に専門性が高い職種であることから、決して求人数は多くなくその地域で大量な採用に結びつくものではありません。一般職や製造に関わる求人については、地域の雇用に大きな影響を与えています。
製薬業界の研究所や工場での求人は、施設がある地域では求人がありますが、必ずしもすべての地域で求人があるわけではないことがわかります。
地域での求人が少ないという評判ですが、これは製薬業界の求人が少ないということより、地域によって「偏り」が生じていることからのどうしても起こってしまう評価とも言えます。
以上のように、製薬業界の求人は確かに大都市に集中していますが、地方にも多くの魅力的な求人が存在します。
特に、全国に広がるMRのポジションや地方の研究所・工場での採用は注目に値します。MRは専門性が高く、医療関係者に直接関与する重要な役割を担っており、地方でも多くの求人があります。
また、地方の研究所や工場では、高度な研究職から製造関連の職種まで幅広い求人があり、地域の雇用にも貢献しています。
したがって、製薬業界でのキャリアを目指す人々は、大都市のみならず地方の求人にも目を向けることで、自分に最適なキャリアパスを見つけることができるでしょう。地域によって求人が全くないというのは誤解であり、むしろ各地域に特有のチャンスが広がっています。
検証3.他の業界からの流入や未経験の求人数が少ない業界?
他の業種から製薬業界への人材流入は少ないのか?
製薬業界の仕事は、最先端のテクノロジーに基き新たな医薬品の発見や開発で非常に専門性が高いことが特徴です。
このことからも、他の業界からの人材の流入は限られています。
このことからも業界以外の人に取ってみると機会としての求人が少ない業界であるとのイメージがついてしまうことが言えます。
実は、そのような製薬業界ですが、他の業種から製薬業界にチャレンジしたいと考えるむけの機会が決して無いわけではありません。
むしろ、業種の多様性が進んでいることから、新たな人材を他の業界に求めている製薬業界内の会社は増えています。
では、どのような方々が他業種から製薬業界に転職をしているのでしょうか?
他の業界から製薬業界にチャレンジする人が増えている
- 薬剤師の資格と経験
- 医師免許を持ち、製薬業界で資格を活かしたい
- デジタル、ICTの専門や経験がある
- ポスドク・Ph.D保有者
- 未経験も製薬業界にチャレンジをしたい方
- 特許、法律に詳しい人材
- 事務職、人事ほかの専門部門での経験
専門性の高さや求人数の少なさから他業界からの流入は決して多くない製薬業界ですが、実は他業種から製薬業界に挑戦、転職で成功する人も多くいます。
例えば、アンサーズの公式ページでは、例として以下のように他業種から製薬業界に転職をしているケースを紹介しています。
製薬業界以外からの転職例
- ポスドク・Ph.D保有者 ー> MSL(メディカルサイエンスリエゾン)へ転職
- ポスドク・Ph.D保有者 ー> バイオベンチャー企業へ転職
- 薬剤師 ー> CRA(臨床開発モニター)へ転職
- 薬剤師 ー> 製薬会社の管理薬剤師として転職
- 医師 ー> メディカルドクターとして製薬会社へ転職
製薬業界、未経験の転職求人が少ないのか?
製薬業界では、未経験者向けの求人は決して多くはないものの増えています。
営業職(MR)や製造関連の職種、さらには医師がメディカルドクターとして、薬剤師が資格と経験を活用して転職する機会も増えています。
未経験でも大丈夫なように。研修制度や教育プログラムが充実しているため、安心してキャリアをスタートすることができます。未経験でも積極的に応募し、自分に合ったキャリアパスを見つけることができるでしょう。
未経験者向けの求人
製薬業界の多様化と人材ニーズの変化に対応するため未経験や他業種からの求人が増えています。企業は新しい視点やスキルを持つ人材を求めており、未経験者でも積極的に採用する動きが強まっています。
例えばデジタル関連での採用はここ数年で増えていると言えます。デジタルと医薬品を効果的に活用することで、治療や治療コストの削減、開発の効率化、さらには創薬にも応用出来ます。このような人材は従来の製薬業界には存在しなかったこともあり、他業界から人材を募っています。
医師の免許がある人が、メディカルドクター(MD)として製薬業界に転職するケースも増えています。製薬会社は医薬品の開発や臨床試験、薬事申請などで医師の専門知識を活かすことができるため、医療業界での経験を持つ人材を高く評価しています。これにより、医師としてのキャリアを活かしつつ、新しい分野での挑戦が可能です。
未経験者でも応募できるポジションとしては、営業職(MR)や一般事務職、製造関連の職種にも及びます。未経験者であっても、優秀な人材を積極的に受け入れる企業が多く見られます。
未経験者向けの求人は決して多くないため、製薬業界に強い求人サイトや転職エージェントを活用すると、希望する職種へのチャンスが広がります。専門家のアドバイスを活用しながら、自分に合ったキャリアを見つけましょう。
製薬業界の転職におすすめ転職エージェント3選 |
製薬業界のおすすめ転職エージェントをランキングで比較
製薬業界は、求人数が少ない業界なのか検証のまとめ
製薬業界は、求人数が少ないとか、地方での求人がないといった声が聞こえてきますが、実際はどうなのか、この記事では、そうした評判を徹底的に検証しました。
求人数が少ないとの評判ですが、製薬業界の求人情報は総合的に見る必要があります。
例えば、製薬業界の求人数と比較される、製薬に加えて医療関連の求人も含む求人サイトでは全国の薬局や病院の求人数も含まれ、比較対象とする母数が全く異なります。
なお、製薬業界全体の求人数の算出ですが、製薬会社の情報の秘匿性もあり、多くの求人が非公開となっています。そのため、実数は公表されていません。
アンサーズでは、非公開求人が全体の約7割とのデータから、公開求人数から割り出した製薬業界の求人数や約6000と推測されます。しかしながら、実数の特定は公表されていないためわかりません。このことも、製薬業界の求人数が少ないとのイメージに繋がっているのかもしれません。
製薬業界の規模やビジネスモデルから、地方での求人が少ないことは事実です。製薬会社の勤務地は大都市に集中しており、そのため地方での求人は限られています。
一方で、地方でも研究所や工場での求人はあります。研究職に関しては専門性が高いため求人数は多くありませんが、一般職や製造に関わる求人は地域の雇用に大きな影響を与えています。
製薬業界の求人は地域によって偏りが生じることがありますが、地方においても質の高い求人は存在します。
製薬業界に転職を希望する人だけでなく、他業種からの転職も増えています。
製薬業界は多様化が進んでおり、薬剤師や医師、IT、デジタル関連の専門職や経験者、また未経験者など、さまざまなバックグラウンドを持つ人が製薬業界に転職を成功させています。
製薬業界への転職は専門性が高く、他業種からの流入が限られていますが、それでも様々なバックグラウンドを持つ人が転職での成功をしています。