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第一三共の新規ADC「DS1025」、世界初の患者投与を日本で実施 関西医科大学附属病院で国際共同第1相試験

研究・開発

第一三共が開発する新規抗体薬物複合体(ADC)「DS1025」の国際共同第1相臨床試験で、世界初となる患者への投与が関西医科大学附属病院で実施されました。関西医科大学が2026年10月19日に発表したもので、初回投与は同年8月18日に行われています。

DS1025は、免疫抑制に関わる制御性T細胞(Treg細胞)を標的とする、CD25指向性ADCです。第一三共のDXd ADC技術を基盤とし、従来のがん細胞を直接攻撃するADCとは異なるアプローチで、抗腫瘍免疫の活性化を目指します。

今回の試験では、標準治療後に病勢が進行した進行・転移性固形がん患者を対象に、安全性や忍容性、薬物動態、初期的な有効性を評価します。

  • 第一三共の新規CD25指向性ADC「DS1025」で、世界初の患者投与が2026年8月18日に日本で実施されました。
  • DS1025は、がん微小環境に存在する免疫抑制性のTreg細胞を減少させ、抗腫瘍免疫の活性化を目指す開発品です。
  • 国際共同第1相試験では最大45人の登録を予定し、安全性、忍容性、薬物動態などを検証します。
  • 今回の初回投与は、日本の医療機関が国際的な早期がん治療薬開発に参加する取り組みとしても注目されます。

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DS1025の国際共同第1相試験、日本で世界初の患者投与

関西医科大学附属病院で8月18日に初回投与

関西医科大学附属病院の新規治療開発科・早期第1相臨床試験部門は、第一三共がスポンサーを務めるDS1025の国際共同第1相臨床試験において、2026年8月18日に世界で初めて患者への投与を実施しました。

同部門は清水俊雄教授が率いており、今回の投与は世界の参加施設に先駆けて実施されたものです。

新薬開発では、初めてヒトに投与する試験をFirst-in-Human(FIH)試験と呼びます。FIH試験は、非臨床試験で得られた知見をもとに、ヒトでの安全性や薬物の体内動態を初めて確認する重要な段階です。

今回、関西医科大学附属病院が世界初の投与施設となったことは、日本の臨床試験実施施設がグローバルな早期開発に関与する事例としても意味があります。

DS1025とは?CD25を標的とする新しいADC

DS1025は、第一三共が開発するCD25指向性の治験薬で、同社は新規作用機序を持つファースト・イン・クラスとなる可能性を持つADCとして位置付けています。

CD25は、免疫応答を抑制する制御性T細胞(Treg細胞)に高発現する分子の一つです。

Treg細胞は、正常な免疫反応を調節して過剰な炎症を防ぐ役割を持つ一方、腫瘍内では抗腫瘍免疫を抑制し、がん細胞が免疫系による攻撃を回避する一因となることがあります。

DS1025は、こうしたTreg細胞を標的として減少させ、免疫系ががん細胞を認識・排除する働きを高めることを目指しています。

DXd ADC技術を応用し、免疫環境への作用を狙う

第一三共は、エンハーツなどの開発を通じてDXd ADC技術を展開してきました。

DS1025では、この技術基盤を応用し、がん免疫療法に適した細胞傷害性薬物(ペイロード)を利用することで、腫瘍微小環境における免疫抑制の解除を目指しています。

一般的なADCでは、がん細胞に発現する標的分子を認識し、薬物を届けることでがん細胞そのものを攻撃することが中心となります。

これに対し、DS1025は免疫抑制に関わる細胞を標的とする点に特徴があります。

ただし、これらは開発段階の作用機序に基づく考え方であり、患者に対する有効性が臨床的に証明されたわけではありません。

最大45人を対象に安全性・忍容性を評価

今回の試験は、非盲検、多施設共同、用量漸増型の第1相臨床試験です。

対象は、少なくとも1つの標準治療を受けた後に病勢が進行し、適切な標準治療の選択肢が残されていない進行性、転移性または切除不能の固形がん患者です。

DS1025 第1相臨床試験の概要

項目内容
開発企業第一三共
開発品DS1025
標的CD25
モダリティ抗体薬物複合体(ADC)
試験段階第1相(First-in-Human)
試験デザイン非盲検・多施設共同・用量漸増
対象疾患進行・転移性・切除不能固形がん
登録予定数最大45人
実施予定地域日本を含むアジア、欧州
試験登録番号NCT07681882

出典:関西医科大学の2026年10月19日付発表

主要評価項目は、安全性と忍容性であり、用量制限毒性(DLT)や有害事象を評価します。

副次評価項目には薬物動態と免疫原性が設定されています。また、探索的評価項目として奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、奏効までの期間などが検討されます。

第1相試験の主目的は適切な投与量や安全性の確認であり、この段階で有効性を確定するものではありません。

試験の詳細は、ClinicalTrials.gov(NCT07681882)で確認できます。

第一三共のADC開発戦略と日本の早期臨床試験への意義

ADC技術の応用範囲を広げる新たな開発候補

第一三共のADC開発では、がん細胞に発現する分子を標的として薬物を送達する技術が重要な役割を果たしてきました。

DS1025の特徴は、そのADC技術を免疫抑制性細胞への介入に応用しようとしている点です。

従来のADCと異なる作用機序を探索することで、将来的には治療抵抗性のがんに対する新たな治療選択肢につながる可能性があります。

一方、CD25を標的とするアプローチには、正常な免疫調節機能への影響や安全性など、慎重な検証が必要な課題もあります。

今後の臨床開発では、適切な投与量や安全性に加え、実際に腫瘍内の免疫環境へどの程度作用するかが重要な検討点になると考えられます。

日本が世界初投与を担う意義

関西医科大学は、日本やアジアでは新薬のFirst-in-Human試験に参加できる機会が限られてきたと説明しています。

同大学では、国際的な早期第1相がん治療薬開発への参加を進めており、今回のDS1025の初回投与もその取り組みの一環です。

FIH試験への参加には、厳密な安全性管理、投与後の観察、薬物動態評価、緊急時対応など、高度な臨床研究体制が求められます。

日本の医療機関がグローバル試験の初回投与を担うことは、国内の早期開発能力や国際共同治験への参画を考えるうえでも注目すべき動きです。

今後注目される開発上のポイント

DS1025は現在、初期臨床開発段階にあり、有効性や安全性の詳細は今後の試験結果を待つ必要があります。

特に、用量漸増段階での安全性、忍容性、薬物動態に加えて、Treg細胞への作用や抗腫瘍効果を示す初期的なデータが注目されます。

また、免疫環境への作用を持つ新たなADCとして、将来的にどのようながん種や治療戦略に適用できるのかも、今後検証すべき課題です。

今回の世界初投与は、DS1025の臨床開発が実際の患者での評価段階に入ったことを示す重要な節目ですが、治療効果を裏付ける結果ではありません。

第一三共がADC技術の応用範囲をどこまで拡大できるのか、今後の臨床データが重要になります。

まとめ

第一三共が開発するDS1025は、免疫抑制に関わるTreg細胞を標的とする新規ADCです。今回、関西医科大学附属病院で世界初の患者投与が実施され、国際共同第1相試験が進んでいます。

従来のADCとは異なる免疫環境への作用を目指す点で注目されますが、有効性と安全性は今後の臨床試験で検証する必要があります。

今回の発表は、第一三共のADC研究開発の広がりと、日本の医療機関が国際的な早期がん治療薬開発に果たす役割を示す事例といえます。

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