FDAがOncopeptides社の多発性骨髄腫治療薬Pepaxto (melphalan flufenamide)の米国販売承認撤回を要請したとの発表を受け、12月8日に同社の株価が最大で36%下落しました。「この要請は検証的試験である第3相OCEAN試験の結果に基づくもので、全生存期間(OS)のintention-to-treatハザード比(HR)は1.1にとどまったものの、「関連する大規模患者群では(Pepaxto)と比較薬剤の両方で生存結果に有意差が認められた」と同社は発表しています。
Pepaxtoは、4種類以上の前治療に失敗した成人の3クラス抵抗性の難治性多発性骨髄腫の治療薬として、dexamethasoneとの併用で2021年にFDAから迅速承認を取得しています。この承認は第2相試験結果に基づいていましたが、OCEAN試験のデータからペプチド-薬物複合体がOSに悪影響を及ぼすことが示唆されたため、Oncopeptides社は2021年10月にFDAの要請に応じてPepaxtoを米国市場から撤退させるに至っています。その後、同社はOCEAN試験などのOSデータを新たに解析したことを理由に、Pepaxtoの自主回収を取りやめていました。
しかし、その数カ月前の今年9月に開催されたFDA諮問委員会では、Pepaxtoのベネフィットがそのリスクを上回らないというFDAの専門家の意見にほぼ同意するという結果になりました。この諮問委員会に先立って公表された文書では、OCEAN試験でPepaxtoを服用した患者の死亡率が47.6%であるのに対し、BMS社のPomalyst(ポマリドマイド)の比較対象群では43.4%であったことが強調されています。
Oncopeptides社はPepaxtoの生存率が低いのは、骨髄移植を受けてから3年以内にがんが悪化した患者によるものだと主張していました。移植にはmelphalanによる治療が含まれることが多いことから、同社はPepaxtoのようなmelphalanベースの薬剤を増やすことで患者が恩恵を受けるとは考えられないと述べています。
欧州での商業化が進行中
8日の同社声明でCEOのJakob Lindberg氏は「我々はFDAの迅速承認制度を尊重する」と述べた上で、OCEAN試験の結果については「多発性骨髄腫患者、特にアンメットメディカルニーズが非常に高いままである非移植の高齢者患者に対する臨床的有用性を実証した」と熱弁しました。
Oncopeptides社は、Pepaxtoが今年8月に欧州医薬品庁から、また11月には英国の規制当局から承認を取得しており、これらの国と地域での商業化に今回のFDAの決定は影響しないとして「両承認とも、OCEAN試験の大規模なOSの関連患者群間の差を考慮してなされたものである」と述べています。
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