世界の製薬ニュースの一週間のまとめをお届けします。今週もっともグローバルの製薬業界で注目された製薬ニュースをまとめて日本語でお届けいたします。
今週の「世界で注目の製薬ニュース5選」
■ レカネマブの新データは良好
■ バイオジェン社は傍観者に追いやられる?
■ サレプタ社 2023年半ばまでにDMDの承認取得を目指す
■ 眼科における生物学的製剤の注目点
■ 大型M&A案件が浮上か?
今週の製薬ニュースまとめ
レカネマブの新データは良好
エーザイ社とバイオジェン社が発表したアルツハイマー病治療薬レカネマブの詳細な試験結果によると、病気の進行を遅らせる効果があることが分かりました。これにより、2023年初めのFDA早期承認への道と、2023年後半の新たな第3相試験(検証的試験)実施への道が開かれるにものと思われます。しかしながらレカネマブが上市された場合、同薬剤がどの程度広く使用されるかはまた別の問題であり、バイオジェン社はAduhelmが商業的に失敗していることから、レカネマブの前途を推し量ることは難しいところです。
バイオジェン社は傍観者に追いやられる?
レカネマブの詳細な第3相試験結果と2023年早々のFDA承認の可能性を受けて、今年3月に変更したエーザイ社/バイオジェン社の提携契約内容に再び注目が集まっています。つまり今年3月の提携では、エーザイ社がレカネマブをよりコントロールできるようになっており、バイオジェン社の投資家の間では、同社のプログラムへの関与が大きく縮小されたのではないかとの懸念が広がっているのです。今年のアルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)で行われたレカネマブの検証データ発表時には、バイオジェン社の名前は目立たなかったと伝えられています。
サレプタ社 2023年半ばまでにDMDの承認取得を目指す
サレプタ・セラピューティクス社とロシュ社が共同開発しているデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の遺伝子治療薬SRP-9001は、エーザイ社/バイオジェン社のレカネマブ同様に2023年の注目すべき新薬承認のひとつになりそうです。サレプタ社は、SRP-9001がFDAより優先審査対象に指定されたことを発表しており、FDAは2023年5月29日までに承認を決定する見込みです。その数カ月後には第3相検証的試験データも発表される予定で、米国の金融業界ではSRP-9001が2023年半ばまでに米国で承認され、デュシェンヌ病患者に対する初の遺伝子治療薬となるとの期待が膨れ上がっています。
眼科における生物学的製剤の注目点
今年初めに発売されたロシュ社Vabysmoとリジェネロン社Eyleaの数十億ドル規模の競争が今後10年の眼科における生物学的製剤市場を再構築していくと思われる中、リジェネロン社が新たにEyleaの高用量バージョンの素晴らしいデータを発表しました。最近米国の眼科医100人に対して行われた調査では、現在利用可能な治療法に関す認知度に対する質問とともに、Eyleaの高用量バージョンの登場がライバルであるロシュ社Vabysmoにどのような影響を及ぼすか、も聞かれました。
大型M&A案件が浮上か?
希少な自己免疫疾患や炎症性疾患の治療薬の販売を専門とするホライゾン・セラピューティック社は、最近複数の大手製薬会社とM&Aの可能性について初期の協議を行っていることを明らかにしました。金融系のアナリストによると、ホライゾン社の買収額は250億ドルから300億ドルで、アムジェン社、J&J社、サノフィ社が関心を示しているとのことです。今年中にこの買収が決まれば、ファイザー社がバイオヘブン社とグローバル・ブラッド社買収で支払ったそれぞれ116億ドルと54億ドルを上回り、今年最大の買収となります。
このM&Aの憶測について、BMOキャピタル・マーケッツのアナリストは「ホライゾン社はオーファンドラッグに焦点を当てながら進化を続け業績は順調です。また成長を牽引する重要な製品であるTepezza(甲状腺眼症)、Krystexxa(慢性痛風)、Uplizna(視神経脊髄炎スペクトラム障害)は今後も成長を続ける可能性を大いに秘めています」と評しました。
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