季節性インフルエンザワクチン市場、新たに「mRNAワクチン」が大きな脅威に

ワクチンと感染症に特化した英国の戦略的市場調査会社ワクチンアナリティクス社が、季節性インフルエンザワクチンの最新の市場予測レポート「MarketVIEW季節性インフルエンザワクチン」を10月に発行いたしました。このレポートでは、季節性インフルエンザワクチンとしての新しいmRNA候補の展望を論じていますが、同社から発表されている情報を一部紹介致します

季節性インフルエンザでは、全世界で年間10億人が感染、29-65万人が亡くなる

季節性インフルエンザは、通常、人口の5〜15%が感染し、主に軽度の上気道感染症が起こります。世界的には、年間10億人程度の感染者が発生し、300万〜500万人が重症化し、29万〜65万人が死亡しています(WHO調べ)。

また、インフルエンザでは、心血管、糖尿病、腎臓、神経系の合併症を引き起こすなど、基礎疾患である慢性疾患を悪化させる要因となる様々な影響を引き起こします。これらの人々は、検査で病気が確認された入院患者の80%も占めると考えられています(Macias AE et al 2021年)。

年1回のワクチン接種が広く推奨されている

年1回のインフルエンザワクチン接種は、インフルエンザウイルス感染とその合併症を予防するための最も有効な方法であり、現在ではより効果的な方法となっています。

新型コロナウイルスのパンデミックによる2020年と2021年のインフルエンザの低い感染率による、感染循環の低さは、集団レベルの免疫力を低下させ、かつ重要なことに、インフルエンザは深刻な疾患ではないという誤った信念をも構築してしまいました。

インフルエンザワクチン接種の推奨グループは通常、病気に対して最も弱い人々であり、高齢者や、子供、基礎的な慢性疾患を持つ人々、特定の職業の人々が含まれます。

70%が4価ワクチンに

米国では、現在、生後6カ月以上のすべての人にインフルエンザワクチン接種を推奨しており、多くの国では、広く普及させることを目標に推奨範囲を広げています。

世界的に見ると、インフルエンザワクチンの約70%が新しい4価ワクチンとなっていますが、ブラジルなどの主要市場でも、まだ4価ワクチンへの切り替えが行われていない国もあります。

効果を高めるその他のワクチン

高用量(HD)ワクチン、細胞培養やアジュバントタイプ(免疫補助剤)のワクチンは、現在、欧米諸国の多くで展開されています。2022年の新しい米国ACIP勧告では、65歳以上の層においてこれらのワクチンを優先的に使用する姿勢が打ち出されています。ドイツでも、高齢者向けに高用量ワクチンが同様の勧告が出されています。

現在のインフルエンザワクチンの課題:効果のばらつき

現在のインフルエンザワクチンには、主に不適切な株選択/ドリフトによる効果のばらつき(~40~60%)が課題としてあります。その予防効果は時間の経過とともに低下するとされています。

2022年に発表されたWHOのポジションペーパーでは、予防効果の幅と持続時間が長く、重症化に対する有効性が高く、かつ株選択までの時間が短い、改良型の新型インフルエンザワクチンとユニバーサルワクチンの開発の必要性が強調されています。

第3相に第1世代のmRNAワクチン

現在、第3相試験中の第1世代の新しいmRNAワクチンは、これらの制限に対処し、COVID-19パンデミックで認められたその成功事例を再現することを目指しています。ワクチンアナリティクスでは、このmRNAワクチンはインフルエンザワクチンの既存プレーヤーにとって今後大きな脅威になるものとしています。

2035年まで予測するMarketVIEW「季節性インフルエンザワクチン」レポート

このMarketVIEW「季節性インフルエンザワクチン」レポートは、プレゼンテーション形式のレポートに加えて、エクセルベースの包括的なモデルも提供されます。

2035年までの日欧米の主要13カ国と37の新興国市場またはその他の国や地域(ROW)における季節性インフルエンザワクチンの「販売量と販売額」の予測を行なっています。

※ ワクチンアナリティクス社のインフルエンザレポート
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このモデルには、各国の推奨政策と詳細な国別接種率の調査に基づいて、国ごとに推奨されるすべてのターゲットグループに対する有効な数量(百万回投与)の推定値が含まれています。

各国の市場価値は、TIV、QIV、高用量(HD)、LAIV、その他の形態の公的/民間企業の価格に基づく価格設定方法によって確認され、割引/リターンの影響が検討されます。

レポートは、、CSL Seqirus社のQIV(Flucelvax®)、MF-59アジュバントFLUAD®、サノフィの高用量(現QIV)製品群(Fluzone-HD® + Flublok®)など製品タイプや個々の競合製品ごとに詳細な予測を示しています。

主要な米国市場以外でのQIV製品の採用を推定するために、新たな手法を導入し、主要国以外での10社以上のサプライヤーと、CSL Seqirus社に対抗するサノフィの新製品Supemtek®およびEfluelda®の欧州市場参入の可能性について考察しています。

英国の拡大プログラムの最新分析に加え、EU28地域のワクチンタイプ別需要分析も掲載されています。

mRNAワクチンの潜在性を詳細に評価

将来の製品戦略に明確な影響を与えることが予想される後期段階の主要研究開発プログラムにも注目をしています。とくに、mRNAワクチン(モデルナ mRNA-1010、1011、1012、1020、1030)およびファイザー(PF-07252220、PF-07852352)の市場参入についても評価をしております。

GSK、サノフィ、CSL Seqirus社が開発をしているその他のmRNAプログラムも、ノババックスの組み換えタンパク質アプローチとともにカバーしています。

mRNAワクチンの市場評価には複数のシナリオを用意

新しいmRNAワクチンは、複数のシナリオを準備し予測をしています。「控えめな」参入シナリオと「楽観的」な参入シナリオで予測され、参入にあたっての潜在的な推進要因と抵抗要因についても十分に考察されています。季節性インフルエンザワクチン市場に大きな影響を与えるであろう、mRNAワクチンに関しても十分な考察を加えております。

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