ワクチン特化の英国調査会社であるワクチンアナリティクスが、最新レポート「Strategic Pipeline Review」から、世界でのワクチンの開発状況の分析情報を提供していただきました。
このレポートでは、主要なワクチンプレーヤーが現在臨床開発を進めているほぼすべてのワクチンの開発状況を収集しています。コロナを対象として世界で初めて承認されたmRNAワクチンを含む核酸ワクチンが今や世界で臨床試験が進んでいる30%以上をしめることがわかりました。
この報告書をもとに同社がいくつかのキートピックを発表しているので紹介します。
核酸ワクチンのプログラムが全体の1/3に
主要ワクチン開発企業7社による2022年ワクチン研究開発パイプラインの最新の報告書では、今後のワクチン市場の動向を分析しています。本調査によると、現在、臨床開発段階(フェーズ1~3)で進行中プログラムは59件を数えることがわかりました。
その中でも、ワクチンパイプラインの約3分の1は現在、mRNAワクチンやDNAワクチンらの核酸ワクチンです。これらの候補は、28の異なる病原体/疾患を対象としています。
GSKが16のワクチンプログラムを進めており、主要プレーヤーの中で最もプログラム数が多いことがわかります。次に、プログラムを持つのが、新興のモデルナ社で12の個別プログラムを保有します。同社のプログラムは、とくにCOVID-19を対象としたmRNA-1273ワクチン(SARSCoV-2亜種依存)やいくつかの派生ワクチンが含まれます。
呼吸器系シンシチアルウイルス(RSV)は依然として最も力を入れているワクチン病原体(9プログラム)で、母親と高齢者の両方のセグメントですでにいくつかの大規模な第III相試験が進行中です。
GSKの母体候補(GRACEフェーズIII試験)は予期せぬ安全性シグナルによりまだ保留されているが、高齢者候補(GSK3844766A)は最近AReSVi 006試験でエンドポイントを達成しています。
いまや大手製薬企業に成長したモデルナ社
新しいCOVID-19ワクチンについては、いくつかのワクチンは既に認可されているものの、まだ開発中または登録待ちの段階にあります。前回の更新以来、GSK(GPB510、SKYCovioneTM)とSanofi(SP0253)の両社は、COVID-19ワクチンの取り組みについて前向きな進展を報告しています。
2022年特に注目されるのが、モデルナのワクチン市場での存在感と研究開発パイプラインの充実である。同社は今や大規模な製薬会社(売上高185億ドル、2021年度)といっていいほどの規模となりました。
たった2年で急激な変化を遂げたワクチン市場
ワクチンアナリティクス社では2014年以降の1400以上の臨床試験のレビューをしているが、モデルナの勃興を始めとするmRNAワクチンの台頭はワクチン市場への影響は非常に大きいことがわかります。しかも、いまからわずか2年前には、治験用ワクチンのプラットフォームは、組換えタンパク質、多糖類/タンパク質コンジュゲート、より伝統的な不活性化/ベクターベースのアプローチが主流だったことからすると、急激な変化と言えます。
既存プレーヤーの脅威に。次は季節性インフルエンザワクチン市場へ
例えば、インフルエンザワクチンにおいても、新規参入の可能性があるファイザーとモデルナ(現在フェーズ3)が開発を進めているmRNAの存在感が高まっており、既存のインフルエンザワクチンメーカーにとっては大きな脅威となっている。
近年、細胞培養やsf9などの新しいプラットフォームが登場していますが、mRNAワクチンが次のプラットフォームとなる可能性が高いことは明らかです。
世界的な数量では、数十年前の技術に基づく卵ベースのワクチンが依然として優勢ですが、mRNAワクチンが参入となった場合、既存プレーヤーにとっては大きすぎる脅威と言えるでしょう。
出典の市場調査レポート
今回取り上げました「核酸ワクチン」に関する情報は、ワクチンアナリティクスのレポート「Vaccines/mRNA Strategic Pipeline Review」からご提供していただきました。レポートの資料やサンプルもご希望の方はお知らせください。
タイトル | 「ワクチン・mRNAワクチン」開発品の包括的評価と分析 |
Title | Vaccines/mRNA Strategic Pipeline Review |
発行日 | 2023年Q1 |
会社 | ワクチンアナリティクス |
ページ | 英文 PDFスライドとエクセルモデル |
納期 | 2~3営業日 |
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