アミリックスのALS治療薬レリヴリオが米国FDAが承認。アイス・バケツ・チャレンジの寄付金も貢献

米国のFDAが、ALS治療薬としてアミリックスのレリヴリオ(RELYVRIO, AMX0035)を承認した。2020年9月の中間段階臨床試験の結果を受け、支援団体とFDAの科学者との間で薬の有効性をめぐる2年にわたる論争を経たものである。2022年下半期でFDAの承認なるかどうか注目された開発品の中の一つです。承認後同社の株価は約7%上昇しています。

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アミリックスのALS治療薬レリヴリオが米国FDAが承認。アイス・バケツ・チャレンジの寄付金も貢献

米国のFDAが、ALS治療薬としてアミリックスのレリヴリオ(RELYVRIO, AMX0035)を承認した。2020年9月の中間段階臨床試験の結果を受け、支援団体とFDAの科学者との間で薬の有効性をめぐる2年にわたる論争を経たものである。

共同CEOのJoshua Cohen氏とJustin Klee氏は、電子メールの声明の中で、以下のように発表している。

「ALS患者やその家族には待っている時間はないため、レリヴリオの対象者全員ができるだけ早く、効率的にアクセスできるようにすることがエイミリクスの目標です。私たちのチームは、ALSの患者さんがこの重要な新しい治療法を利用できるよう、万全の体制を整えています。」

価格についてはまだ情報がないものの6月に条件付きで承認されたカナダでは約16万3千ドルで、Albriozaというブランド名で販売されています。

レリヴリオに関して、FDAの科学者は繰り返し、病気の進行を遅らせる能力に疑問を呈していた。今回の承認は、プラセボ対照の第II相試験で、患者の症状の進行の速さを測る評価スケールにおいて、限定的ではあるが統計的に有意な影響を示したことに基づくものであった。また、アミリックスは、患者の寿命を数ヶ月延ばすことを示す非盲検延長試験のデータも提出していました。

ALSは、症状が現れてから2年から5年以内にほとんどの患者が死亡します。FDAはこれまでに、1990年代に承認したリルゾール (riluzole)と、2017年にエダラボン(edaravone)の2つの治療薬をALSを対象に承認しています。しかし、機能、生存率、症状管理に対する効果は限定的です。今年初めには、通常は点滴で投与されるエダラボンの新しい経口剤も承認されている。

しかし、9月29日に承認されたレリヴリオは、米国のALS患者が利用できる3番目の新しい治療法となります。ALS協会などの団体は、全力を挙げて啓発キャンペーンやロビー活動を行い、新しい治療法の承認を容易にするための法案のスポンサーとなる議員を募っていました。

FDAの決定に関する声明の中で、ALS協会は、レリヴリオが2014年のアイス・バケツ・チャレンジのSNSでの拡散と世界的なバイラルによって寄付が集まり、その財政的に支援された最初の承認薬であると指摘しています。2016年、アミリックスはALS協会から約220万ドルの資金提供を受け、研究を進めていました。

アイス・バケツ・チャレンジが劇的に加速したALSの開発

レリヴリオの承認は、アイス・バケツ・チャレンジがALSとの戦いを劇的に加速させたことのさらなる証拠であるとALS協会CEOのCalaneet Balas氏は声明で述べています。

「アイス・バケツ・チャレンジ以来、新しい遺伝子が発見され、ALS患者を支援する新しい技術が開発され、これまでよりもはるかに多くのALS患者が介護サービスを受けられるようになりました」

アイス・バケツ・チャレンジと今回のレリヴリオの承認は、10年も前にブラウン大学の学部生の科学プロジェクトから立ち上げられた1剤のみ保有する(one-drug biotech)バイオテクノロジー企業であるアミリックスの急成長を象徴するものでもあります。アミリックスは、2016年に800万ドルのシリーズAを行い、事態を好転させました。

そして、2020年と2021年の2回の資金調達ラウンドで約1億6500万ドルを調達した後、リスクの高い弱気市場にもかかわらず、アミリックスは今年の年初に上場した。もともと1株19ドルで上場も、さらに1億9000万ドルのIPOキャッシュで価格設定しアミリックスの株価は、承認のニュースをきっかけに約7%上昇し、32ドルを超えた。

承認までいたるも、FDAが特定の申請に対して甘すぎるとの批判の可能性も

FDAの決定は、特に神経科学分野に関しては、FDAが特定の医薬品申請に対して甘くなりすぎているという批判を強める可能性もある。わずか16カ月前、規制当局はバイオジェン社の論争の的となったアルツハイマー病治療薬「アドヘルム」を、効果がはっきりせず、外部の専門家からなる委員会がほぼ全員一致で拒否したにもかかわらず、承認した。また、メディケアが臨床試験以外では効果が証明されていないとして保険適用を拒否したため、「アドヘルム」は市場で崩壊せざるを得ない城状況です。

評価スケールの課題は、いまだにあるまま

レリヴリオの場合、FDAは新しい治療法が必要だというALS患者の懸念に耳を傾けたようで、この薬の諮問委員会の公聴会では規制の柔軟性の必要性を繰り返し強調した。しかし、FDAの科学者がアミリックスのデータ解析に批判を浴びせたこともあり、承認が確実なものであるとは思えなかった。

アミリックスが使用する評価尺度は、ALS治療薬開発におけるゴールドスタンダードとされているが、病気の進行が非常に速い患者や非常に遅い患者の衰えを把握する能力に多くの問題があった。さらに、この尺度は、症状がほとんどない患者や重篤な患者における衰えを測定するのに苦労している。

データが明確でないことから、2021年4月、FDAは当初、アミリックスの承認申請を、より大規模な第III相試験が完了するまで待つように要請した。しかし、同年9月には一転して、第II相試験とオープンラベルの延長データのみを用いてレリヴリオの審査を行うとし、決定期限を2022年6月に設定した。その時点では、すでに第III相の計画が進行中で、アミリックスのトップライン結果は2024年に発表される予定であった。

FDA諮問委員会僅差で反対票が優勢、承認の望みが薄れていた

その後、FDAは、規制当局がより詳細な調査を望んでいることを示すため、利用可能なデータがこの薬の効果を立証しているかどうかを議論するために諮問委員会を招集した。委員会のメンバーは、この3月に集まり、アミリックスのプレゼンテーションとFDAの神経科学部門、そして電話会議に参加した20人以上の患者や支持者からの約2時間のパブリックコメントに耳を傾けました。

公聴会では、FDAの審査員がアミリックスの試験とデータ解析の方法を批判した後、パネリストは6対4で、当時AMX0035と呼ばれていたレリヴリオが効いたという決定的な証拠を提供しなかったと投票した。公聴会に先立って公表された資料によると、投票結果は予想以上に僅差であったが、最終的には試験実施上の問題点がその尺度を変えた。

珍しい2回目の審議へ。誓約書付きでの採決で承認へ近づく

FDAは諮問委員会の勧告に従う義務はないが、通常は従う。3月の反対票によって、少なくとも第III相試験が完了するまでは、レリヴリオの見込みは絶望的と思われた。しかし、アミリックスが新たなデータ分析を提出したため、審議会は今月初め、1回目と同じ9人の委員を集めて、珍しい2回目の審議会を開催することにした。

この2回目の審査では、その試験データに対する鋭い批判にもかかわらず、より説得力のある結果を示した。

FDAの科学者が、新しい分析結果は本質的に同じ情報を異なった方法で繰り返していると主張しても、パネリストは7対2で承認に賛成したのである。そして、印象的だったのは、FDAのニューロチーフのビリー・ダン氏が、PHOENIXの第3相試験が失敗したら、レリヴリオを自主的に市場から撤退させるという約束を、同社から取り出したことである。

諮問委員会は7対2でアミリックスのALS治療薬の2回目の採決に賛成した。しかし、その前に共同CEOは誓約書を提出しければならなかった

アミリックス、レリヴリオの米国での販売開始で次の段階へ

承認を得たアミリックスは、これから臨床段階のバイオテクノロジー企業から、需要の高い商業製品を持つ企業へと移行することとなる。

米国におけるALS患者は約3万人に過ぎないが、レリヴリオ、そして一般的な新治療法に対する要望は非常に強いものである。承認前までの患者団体の主張は、たとえ効果がはっきりしなくても、患者は他に失うものがないのだから、安全な新薬を試す権利があるという考え方が中心であった。

堅調に売り上げは伸びるとの分析

アナリストは、患者数が比較的少ないにもかかわらず、レリヴリオの売上はある程度堅調に推移すると予想しています。Evercore社は、2023年の売上を5億4500万ドルと予測しています。

選択肢が増えるALS治療薬。トフェルセンも承認までこぎつけられるか?

しかし、今のところ、ALS患者のコミュニティは、ようやく新たな治療法の選択肢が増えたことを喜んでいることだろう。次の治療法もすぐにやってくるかもしれない。バイオジェン社は最近、病気の経過に影響を与えるアンチセンス・アプローチのトフェルセンについて、加速承認申請を行った。

アミリックスと同様、バイオジェン社もデータの質に関する疑問に直面している。トフェルセンはプラセボと比較してALSの評価スケールで統計的有意差に達しなかったが、バイオジェンは代用バイオマーカーと呼ばれるものを使って承認を得ようとしている。

バイオジェン社は、患者の血液や脳脊髄液中のニューロフィラメントと呼ばれるタンパク質を低下させることで、トフェルセンの効果が臨床効果につながる可能性が十分にあると考えています。

バイオジェン社が承認を取得すれば、FDAがニューロフィラメントをサロゲートとして使用した初めての疾患となり、他の多くの企業が自社の実験薬で迅速に承認を得ようとする可能性が出てくることになる。

この戦略は、アドヘルムの失敗とアルツハイマー病のアミロイド仮説を思い起こさせるが、バイオジェンとエーザイは今週、後続薬であるレカネマブがフェーズIII試験に成功したことを明らかにしている。

このため、ALS患者のニューロフィラメントレベルを低下させるという点では、トフェルセンとは対照的に、レリヴリオは相関を示さず、医薬品メーカーは代替バイオマーカーに対する識別可能な効果を示す必要があるため、加速承認の可能性を否定しました。

こうしたことを踏まえ、ALS協会のバラスCEOは、ALSの治療法発見に向けて、まだやるべきことが残っていることを認めています。しかし、彼女は声明の中で、患者の目には、事態は前向きにしか映らないことを強調しました。

「これは、AMX0035の早期承認を求めて団結したALSコミュニティ全体にとっての勝利です。ALSの治療にはまだ多くの課題がありますが、この新しい治療法はその闘いにおける重要な一歩です」

と述べています。

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