バイエルのケレンディア、糖尿病と慢性腎臓病の心臓突然死のリスクを軽減

heartfailure

バイエルがケレンディア(ファインレノン)に関する調査結果を欧州心臓病学会(ESC)で8月29日発表した。この調査結果では、慢性腎臓病(CKD)および2型糖尿病患者おける、全死因および心血管(CV)死亡の低減に関する第III相FIDELIO-DKDおよびFIGARO-DKD試験の結果が発表がされた。

ケレンディア、事前規定によるプール解析で糖尿病と慢性腎臓病の突然死のリスクを軽減

この発表で、全死因および心血管(CV)死亡の低減は、プラセボより統計的に優れていなかったものの、FIDELIO-DKDおよびFIGARO-DKD試験の事前規定によるプール解析であるFIDELITYの最新結果では、早期から後期までのCKDおよび2型糖尿病の幅広い患者層で心臓突然死率を有意に低下させたと述べています。

ケレンディアは、アストラゼネカのフォルキシガなど他の慢性腎臓病治療薬の有効性数値には及ばないものの、薬効分類が異なるため、補完的治療として市場があるとバイエルは考えています。

バイエルは、この薬のピーク時の年間売上高を20億ユーロと予想している。

バイエルのケレンディアの作用機序と特徴

「ケレンディアは、非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)で、ミネラルコルチコイド受容体(MR)に結合することでMRの過剰活性化を抑制します。化学構造中にステロイド骨格を有さず、選択的にミネラルコルチコイド受容体(MR)に結合することで、MRの過剰活性化を抑制します。

MRは腎臓の尿細管などの上皮組織の他、腎臓の糸球体、心臓や血管など全身に広く発現、MRの活性化には、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の最終産物であるアルドステロンに加え、慢性的な高血糖状態や食塩過剰摂取などの病態下において、Rac1などの因子が直接MRの活性化に関与し、MRを過剰活性化させることで電解質調節障害や様々な組織において炎症及び線維化を引き起こします。

慢性腎臓病(CKD)などの腎疾患や心血管疾患の進行過程では、慢性的なMRの過剰活性化が炎症及び線維化を促進し、腎臓では糸球体障害やポドサイト障害、尿細管間質線維化など、心臓では心肥大、心筋線維化などの臓器障害の一因となることが報告されています。

ケレンディアは臓器障害モデル動物において、炎症及び線維化を抑制し、腎臓の機能障害の軽減や、腎肥大ならびに蛋白尿の発現抑制、心臓に対しては心肥大や心筋線維化などの抑制効果を示し、これらのことから、ケレンディアは炎症及び線維化などを引き起こすMRの過剰活性化を抑制することで、心血管・腎臓障害の発症や進展抑制に寄与すると考えられます。」
バイエル社Renal Connectから抜粋の上引用

日米欧中で承認を得ている

ケレンディアは、FIDELIO-DKD試験のデータに基づき、昨年、米国で、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病を有する成人の腎機能低下、腎不全、心血管死、非致死性心臓発作、心不全による入院のリスク低減を適応症として承認されています。2022年初めには、欧州と中国での承認も取得しています。日本では、FIDELIO-DKDとFIGARO-DKDの結果に基づいても承認されました。

バイエルは、2型糖尿病に伴うCKD患者の治療薬として昨年7月にFDAから承認されて以来、ケレンディアの有用性を示すデータを掲載し続けています。

昨年の欧州糖尿病学会で発表されたFIDELITY試験の解析では、両試験において、ケレンディアはプラセボと比較して、1万3千人を超える2型糖尿病および慢性腎臓病の患者さんの心血管障害のリスクを低減させることが示されました。被験者は、レニン-アンジオテンシン系阻害剤で最適な治療を受けており、ケレンディアまたはプラセボのいずれかを投与するよう無作為に割り付けられた。

統計的水準にわずかに及ばないものの

今回の解析は、追跡期間中央値3年で、FIDELITY集団の死亡原因を評価したものである。研究者によると、全死因死亡の発生率は、ケレンディア投与群で8.5%、プラセボ投与群で9.4%であり、群間差は統計的有意差を「わずかに」及ばなかった。

死亡の原因は、通常CVによるもので、ケレンディアでは4.9%、プラセボでは5.6%であり、感染症、悪性腫瘍がこれに続いた。CV死亡の構成要素を見ると、ケレンディアはCV死亡の最も多い形態である心臓突然死の相対リスクをプラセボに対して25%有意に低下させている。

一方、全死亡および心血管死については、投与中および最終投与後1カ月までに発生した事象を含む、事前に指定した治療中解析でも評価されました。ここでの結果は、ケレンディアがプラセボに対して全死亡および心血管系死亡をともに18%相対的に減少させることが示されたと、ESCで発表された。

早期使用の利点は?

FIDELIO-DKDとFIGARO-DKDの共同治験責任者であるGerasimos Filippatos氏は、ケレンディアの全死亡、心血管死、心臓突然死に対する効果は、ベースラインの推定糸球体濾過量(eGFR)や尿アルブミン/クレアチニン比(UACR)にはよらず一貫していたが、ベースラインのeGFRが高い患者でより顕著なようである、と指摘しています。彼は、「これは、その保護効果を最大化するために、ケレンディアの早期開始が正当化されるかもしれないことを示しています」と述べました。

非糖尿病患者への拡大を検討

心臓への血流が遮断される心臓発作とは対照的に、突然の心停止は、心臓が誤作動を起こし、突然に鼓動が停止することである。米国では、毎年およそ356,000人が突然の心停止に陥り、約10%しか生存できないといわれています。

ケレンディアは、慢性腎臓病に対して承認された初めての非ステロイド性鉱質コルチコイド受容体拮抗薬(MRA)で、心機能を低下させ、線維化や炎症に拍車をかける腎障害を引き起こす体内のステロイドの産生を阻害します。

バイエルは、ケレンディアの用途を非糖尿病患者にも広げたいと考えている。2020年、バイエルは駆出率が保たれている心不全患者を対象とした第3相試験を開始しています。

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