米メルク、アルツハイマー病新規標的探索でセレバンス社と提携

米メルク社が、セレバンス(Cerevance)社のNETSseqトランスクリプトミクス技術を使って、アルツハイマー病の新規ターゲットを特定するための共同研究契約を締結しました。同時に、セレバンス社はこの契約の一環として、探索段階のプログラム1件をメルク社に導出します。

米メルク、アルツハイマー病新規標的探索でセレバンス社と提携

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セレバンス社は契約一時金として2,500万ドル、開発・販売マイルストン総額約11億ドル、また本契約にて開発された承認された製品の売上に応じたロイヤルティを受け取ることができます。メルク・リサーチ・ラボラトリーズ神経科学探索部門の責任者であるJason Uslaner氏は、「神経変性疾患の生物学的理解 が進み、治療介入の可能性を持つ新たなメカニズムが明らかになりつつある」と述べています。

アルツハイマー病に対する新たな関心?

メルク社は以前、アルツハイマー病治療薬としてBACE阻害剤verubecestatの開発に着手していました。しかし同社は2017年、軽度から中等度のアルツハイマー病に対するverubecestatの後期臨床試験を、「臨床効果が認められる可能性はほぼない 」とし、試験を中止しています。また、前駆期アルツハイマー病の治療を目的とした同剤の別の第3相試験も、データモニタリング委員会がこの治療がポジティブなベネフィット/リスク比を示す可能性は低いと結論づけたため、1年後に終了しています。

セレバンス社によれば、同社のNETSseq技術により、成熟した脳では低レベルで発現している可能性のある遺伝子を含め、非常に多くの遺伝子の発現を測定することが可能となるとのことです。またこのプラットフォームは、アルツハイマー病患者の死後脳や健康な脳など、数千のさまざまな年齢層および脳領域における特定の細胞集団を分析するために使用されているということです。

新たな疾患経路の発見

これらの分析により、動物モデルや分化したヒト幹細胞では見ることが困難であった神経変性疾患や精神疾患の基盤となる生物学的経路を明らかにできる可能性があるとしています。「その結果、神経回路を修正したり、疾患の進行を遅らせたりするための新たな治療標的を明らかにすることができます」とセレバンス社は述べています。

最高科学責任者のMark Carlton氏は、「パーキンソン病患者におけるCVN424の良好な第2相試験Iデータに続くメルク社との提携は、当社にとって重要なマイルストンであり、当社のNETSseq技術プラットフォームの可能性をより強く示すものである」と述べています。

アルツハイマー病の治療薬開発は、脳内に蓄積されたアミロイドβプラークに焦点を当てたものが主流ですが、これまで失敗が続いており、一部の研究者はこの病気の他の原因候補に焦点を移しています(ロシュ社のcrenezumabが最近失望したことについては、こちらのViewPointsをご覧ください)。一方、先月Science誌が発表した6ヶ月間の調査結果によると、いわゆるアミロイド説が強調されたのは「操作された」データに基づいていた可能性があり、その結果、何年にもわたる認知症研究の方向性が誤っていたことが指摘されています。

参照記事

Cerevance Establishes Strategic Research Collaboration with Merck for the Discovery of Novel Targets in Alzheimer’s Disease

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