米メルクが、中国の四川ケルン製薬(Sichuan Kelun Pharmaceutical)の子会社ケルンバイオテック社と、固形腫瘍の治療を目的とした抗体薬物複合体(ADC)の開発で提携したことを発表しました。ケルンバイオテックは27日に、この契約の一部として3500万ドルの契約一時金を受け取り、将来的に合計9億100万ドルのマイルストーンと売上高に応じた段階的ロイヤルティを受け取る権利があります。
同提携で、米メルクは将来のADC医薬品の開発、製造、商業化の独占的権利を得ました。また、ケルン社と治験用ADCの早期における臨床開発で協力することにも合意しています。メルク・リサーチ・ラボラトリーズのオンコロジー早期開発担当上級副社長であるEric Rubin氏は、「この提携により、がん患者の治療オプションを増やし予後を改善するADCの可能性をさらに追求し、がん領域のパイプラインを強化・多様化します」とコメントしています。
今年始めの取引に続くライセンス契約
メルクは今年初め、中国本土、香港、マカオ、台湾以外の地域で、Kケルン社のADCであるSKB-264の権利を4700万ドルの契約金と最大13億ドルのマイルストーンで取得するオプションを行使することを決定しており、この取引はそれに続くものです。
TROP-2を標的とするこの化合物は、転移性トリプルネガティブ乳がんの治療薬としてすでに第3相試験が行われており、非小細胞肺がんおよび進行性固形がんを対象とした第2相試験も実施されています。両社は、SKB-264の単剤およびメルク社のPD-1阻害剤キイトルーダとの併用による進行性固形がんに対する評価など、特定の早期臨床開発計画について協力する予定です。
なお、ケルンでは現在、SKB-264の他に2つのADCを臨床試験中です。これらは、HER2に対するA166と、クローディン18.2を標的とする化合物SKB315です。
米メルクのシーゲン社買収の行方は?
今回の提携は、メルクががん治療にADCを使用するパイオニアであるシーゲン社の買収を交渉しているという噂の中で行われた。今週末のメルクの決算発表後に行われるかもしれないこの買収は、約400億ドルの価値がある可能性があるとの分析もあります。
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