T細胞・NK細胞結合型二重特異性抗体。28年市場規模は50億ドル以上に急成長

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アストラゼネカが7月5日TeneoTwo社の完全買収により血液腫瘍領域でのオンコロジー部門の拡充をはかることが発表されました。「アストラゼネカが最大12.7億ドルでTeneoTwo社の完全買収を7月5日に発表」この際、アストラゼネカが買収による得られる化合物が、T細胞エンゲージャーであるTNB-486です。現在、TNB-486は、B細胞性非ホジキンリンパ腫を対象とした第1相試験を実施している段階ですが、今回の大きな目的となったTNB-486は、二重特異性抗体であり、今後の治療方法として期待がされています。では、この二重特異性抗体とは、どのようなもので、今後の市場規模はどのくらいになるのでしょうか?

市場規模は、2028年に、50億7,200万米ドル(CAGR 41%)へ急拡大

T細胞・NK細胞結合型二重特異性抗体の市場規模は、今後更に急成長をすることが期待されています。2021年に4億7,200万米ドルでしたが、QYResearch社の予測では、7年後の2028年末には、21年の10倍以上の50億7,200万米ドル(CAGR 41%) に達すると予測されています。( QYResearch 社調査 2022年)なお、日本のT細胞・NK細胞結合型二重特異性抗体の市場規模も急成長が予想され、2021年には188万米ドルであったものが、2028年までに1億7,315万米ドルと、予測期間中に99.82%のCAGRで成長すると予測されています。

二重特異性抗体市場は、数百社ものバイオ製薬企業や研究センターが携わっております。また、同市場は何百万人もの患者のための標準的かつ支配的な治療計画として認識されるようになると予測されており、この事も世界レベルで市場が急速に成長すると見られています。

二重特異性抗体とは?

二重特異性抗体(BiTE)とは、がん抗原に結合する抗体とT細胞に結合する抗体の抗原認識部位を結合したT細胞エンゲージャー抗体を言います。すでに、承認されている医薬品ブリナツモマブは、B細胞性急性リンパ性白血病のB細胞に特異的に発現するCD19とT細胞表面抗原のCD3の両者に結合することでT細胞を引き寄せて活性化、T細胞による細胞障害活性を介して抗白血病効果を発揮します。

T細胞またはNK細胞を用いた癌の免疫療法は、医薬品業界にとって非常に興味深い分野です。キメラ抗原受容体(CAR)で操作されたT細胞またはNK細胞は、現在も臨床評価中の1つの治療法ですが、大手製薬企業の多数は、既製の製品として組換えモノクローナル抗体によるT細胞またはNK細胞とのエンゲージを好みます。自社で二重特異性抗体技術を臨床的に検証している大手製薬会社はまだごくわずかであるため、技術提供企業との提携は非常に重要です。

今後、3年以内に、臨床段階のT細胞およびNK細胞のエンゲージの数は2倍以上になり、近い将来、さらに多くの製品候補が臨床評価に入る予定です。

T細胞・NK細胞結合型二重特異性抗体の市場分析レポートおすすめ3選

このようにT細胞・NK細胞結合型二重特異性抗体は、今後の治療薬として高い関心と期待があります。製薬、バイオ業界の方向けに、発行されているT細胞・NK細胞結合型二重特異性抗体に関するレポートが発行されていますので、ご紹介いたします。

世界と日本のT細胞・NK細胞結合型二重特異性抗体市場:分析・予測 (2028年まで)

QYResearch社が22年5月に発行した最新のレポートです。本レポートでは、グローバルのみならずと日本におけるT細胞・NK細胞結合型二重特異性抗体の市場について分析し、種類別・用途別・地域別 (国別) の市場動向の見通し (2017年~2028年)、主要企業のプロファイルなどについて調査しております。同社の、世界のT細胞・NK細胞結合型二重特異性抗体の市場規模の予測では、2021年に4億7,200万米ドルだった市場が、2028年末までに50億7,200万米ドルに達すると予測されています。これは、2021年から2028年の間に40.82%のCAGRで成長する見通しです。一方、日本のT細胞・NK細胞結合型二重特異性抗体の市場規模は、2021年には188万米ドル、2028年までに1億7,315万米ドルと、予測期間中に99.82%のCAGRで成長すると予測されています。このレポートに関する資料は、資料請求のページ「世界と日本のT細胞・NK細胞結合型二重特異性抗体市場:分析・予測 (2028年まで)」から請求が、可能です。

T細胞およびNK細胞と結合する二重特異性抗体 (2019年):ビジネス、ステークホルダー、技術およびパイプライン分析

La Merie Publishing社から2019年に発行されたレポートです。当レポートでは、T細胞およびNK 細胞と結合する二重特異性抗体の市場情勢・分析を提供しており、同分野で活動する大手医薬品・技術企業に関する最新情報、最新・新興の次世代技術の状況、提携契約、および臨床試験を含めた候補薬のパイプライン分析などをまとめています。460ページに渡って、二重特異性抗体に関する調査分析をしています。若干古いレポートですが、丹念に調査をしてその時点での最新の開発状況や提携関係などを詳細にまとめていますので、おすすめレポートとしてご紹介いたします。こちらのレポートの資料も無料で入手可能です。資料請求のページ「T細胞およびNK (ナチュラルキラー) 細胞と結合する二重特異性抗体 (2019年):ビジネス、ステークホルダー、技術およびパイプライン分析」からどうぞ。

BiTE抗体の世界市場:価格、販売、臨床試験インサイト(2025年)

3つ目の最後にご紹介するレポートは、KuicK Research社のレポートで、今年2月に発行されたレポートです。当レポートでは、世界のBiTE抗体市場について調査しており、市場機会や動向、販売分析、フェーズ・企業・国・適応症・患者セグメント別の臨床試験指標、市場力学、競合情勢、主要企業のプロファイルなどの情報を提供しています。最新の情報を網羅し、分析をしているとのことで、おすすめレポートの3つ目のとしてご紹介いたします。また、最初に承認されたリナツモマブに関しても動向を分析しています。レポートサンプルは、資料請求ページ「BiTE抗体の世界市場:価格、販売、臨床試験インサイト(2025年)」からどうぞ。

二重特異性抗体のまとめ

二重特異性抗体は、がん細胞を標的とした抗体療法の一つとして、今後も多くの企業での開発、そして企業間での提携が進む市場と思われます。抗体医薬は遺伝子組み換え技術を使って人工的に合成しますが、1970年代にモノクローナル抗体を安定して作成できるようになり、その後キメラ化、ヒト化などの技術革新によって多くの抗体医薬が登場し、臨床応用されています。抗体医薬の作用機序は、いくつかの機序に分類はされるものの、複合して作用するものと考えられます。

がん抗原に結合する抗体とT細胞に結合する抗体の抗原認識部位を結合したT細胞エンゲージャー抗体(BiTE)が開発され、最初に承認されたブリナツモマブはB細胞に特異的に発現するCD19とT細胞表面抗原のCD3の両者に結合することでT細胞を引き寄せて活性化し、T細胞による細胞障害活性を介して抗白血病効果を発揮しています。

22年の7月のアストラゼネカ社のTeneoTwo社の買収にも見られるように、このようなプラットフォーム技術をもつバイオテック企業と大手製薬企業との提携や買収は今後も増えるものと予想されます。

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