アストラゼネカが7月5日最大12.7億ドルでTeneoTwo社の完全買収を発表した。アストラゼネカは、T細胞エンゲージャー療法TNB-486を獲得し、がん領域パイプラインを拡充することとなる。TNB-486は、B細胞性非ホジキンリンパ腫を対象とした第1相試験を実施しており、同社はリンパ腫領域の開発戦略を加速させるとしている。
アストラゼネカがTeneoTwo社の完全買収を発表。その条件と目的とは?
まずは発行株式すべてを取得
今回発表されたアストラゼネカの買収条件では、アストラゼネカがTeneoTwo社の発行済株式すべてを1億ドルで先行取得、最大8億500万ドルの研究開発関連マイルストーンと特定の商業的目標の達成に基づく最大3億6000万ドルの追加支払い条件をTeneoTwo社に付与、最大で12.7億ドルにのぼります。なお、この買収は、2022年第3四半期中に完了する予定です。
アストラゼネカ、オンコロジー部門の拡充をねらう
アストラゼネカは、この買収により同社の血液腫瘍領域での開発を拡充する事が出来ます。アストラゼネカ社の2021年の製品売上は365億4,100万ドル(約5兆円)でしたが、オンコロジー領域の売上は136億6,300万ドルで、製品総売上の37%を占める主要領域です。
オンコロジー領域ブロックバスター医薬品・主要製品のまとめ
2021年、アストラゼネカは13のブロックバスター医薬品がありましたが、そのうち4品目がオンコロジー領域です。発表データによると、オンコロジー領域では、以下の4製品がブロックバスター医薬品として売上で大きな貢献をしています。また、第一三共とライセンス契約をしているエンハーツも今後ブロックバスターのステータスになることが期待されています。
- タグリッソ(50億ドル超)、
- イミフィンジ (24億ドル超)
- リムパーザ(20億ドル 超)、
- カルケンス (10億ドル超)
- エンハーツ
今後も、オンコロジー領域は、開発、アライアンスにおいて積極的な投資が継続されます。
T細胞エンゲージャーTNB-486とは
TNB-486は二重特異性抗体であり、身体の自然免疫反応をB細胞悪性腫瘍に向けることにより、単独またはCD20標的治療との併用で、臨床反応を深め、患者の予後を改善する可能性があります。
この二重特異性抗体によって、この環境における新しい標準治療となる可能性を秘めた新しい組み合わせを探求することができるようになりうるとアストラゼネカは期待をしています。
TeneoTwo社は
TeneoTwo社は、TNB-486の開発を目的として、2021年にTeneobio社からスピンアウトして設立された会社です。TeneoTwo社の設立は、Ancora Biotech社傘下のアムジェンによる最大25億ドル相当のTeneobio社買収のタイミングで同時に行われたものです。
参照記事
A Study of TNB-486 in Subjects With Relapsed or Refractory B-Cell Non-Hodgkin Lymphoma
AstraZeneca to acquire TeneoTwo and its clinical-stage T-cell engager, strengthening haematological cancer pipeline
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