第一三共のパトリツマブ デルクステカン、乳癌に続きHER3肺癌でもASCO2022で大きな注目に

lung cancer

第一三共のパトリツマブ デルクステカンのHER3肺がん対象での第1相データをASCOで発表した。パトリツマブ デルクステカンは、HER3乳がん対象試験での成功も発表しており、HER3肺がんでのデータにも注目されました。この記事は、デルブインサイト社発表の「Daiichi’s HER3 ADC has shown to have a spark in HER3 NSCLC, post success in HER3 breast cancer trial」をInsights4が日本語化、編集して提供します。

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多くの腫瘍で見られるHER3発現

HER3は、HERファミリーを構成する4つの受容体チロシンキナーゼ(RTK)のうちの1つです。HER3の発現は、乳癌、胃癌、大腸癌、膀胱癌、前立腺癌、卵巣癌、そして非小細胞肺癌など多くの種類の癌で指摘されています。しかし、今日まで、これらの腫瘍型におけるHER3の過剰発現の正確な機能は完全には明らかにされていません。

非小細胞肺癌では、原発巣におけるHER3の過剰発現は、転移の進行および無再発生存期間の短縮と関連しています。研究者らは、免疫組織化学(IHC)分析によりHER3の発現を検出しています。

HER3阻害でのFDA承認薬はまだない

HER3阻害の理論的根拠があるにもかかわらず、今日まで、このメカニズムでFDAに承認された薬剤は1つもありません。HER3は固有のキナーゼ活性が限られているため、低分子キナーゼ阻害剤が有用であるとは考えられず、研究者たちはHER3標的mAbの開発を模索しています。臨床試験で評価されたHER3指向性mAbのほとんどが限られた臨床活性を示したため、焦点はADCなどの新しいデザインに移ったのです。

EGFR変異型非小細胞肺癌における現在の標準治療に取ってかわる可能性

EGFR変異型非小細胞肺癌における現在の標準治療は、EGFR TKI療法で病勢進行した後、既知の耐性メカニズムを標的とした遺伝子型特異的治療または化学療法です。今回のHER3指向性のデルクステカンは、既知および未知のEGFR TKI耐性にまたがる臨床活性を示しました。

パリツマブ デルクステカンへの期待

現在、EGFR TKI治療で進行した患者に対する標的治療薬は承認されていないため、HER3指向性治療薬であるパリツマブ デルクステカンは、この患者層のアンメットメディカルニーズを満たすことができ、さらにデータが良好であれば、これらの患者における細胞毒性化学療法にとってかわる可能性があります。

ASCO2022 アブストラクト# 9017

今回発表になった臨床試験データは、局所進行性または転移性疾患に対する全身治療中、または、治療後に病勢進行したEGFR活性化変異扁平上皮または非扁平上皮非小細胞肺癌を対象としたパトリツマブ デルクステカン (Patitumab deruxtecan)の第I相試験についてでした。(アブストラクト# 9017)

パトリツマブ デルクステカンは、対象の非小細胞肺癌の患者において、許容できる安全性を持ち、心強い反応を引き出した新世代のADC(抗体薬物複合体)として注目されています。2021年には、第I相試験の3つのコホートの中の2つの用量漸増コホートに基づき、EGFRm 非小細胞肺癌におけるブレークスルーセラピー指定(BTD)も取得しています。ASCO2022年次総会開催直前の注目した5つ演題の中にも入れて注視をしています、

有望な臨床活性を実証している

データカットオフ日である2022年1月28日、RECIST 1.1に基づく盲検独立中央審査(BICR)による確定全奏功率(ORR)は、ゲノムドライバーの変化が確認された患者(n = 21)において28.6%でした。この患者コホートにおける疾患制御率(DCR)は76.2%であり、奏効までの期間中央値は2.8カ月でした。奏効期間(DOR)中央値は9.4カ月、無増悪生存期間(PFS)中央値は10.8カ月でした。

ゲノムドライバーの変化が確認されなかった患者(n = 26)では、確認されたORRは26.9%、DCRは73.1%でした。DOR中央値は9.6カ月、PFS中央値は4.2カ月でした。奏功までの期間中央値は2.1カ月。追跡期間中央値は19.7カ月でした。死亡に関連する有害事象は14.9%の患者さんに発生し、40.4%の患者さんに重篤な有害事象が発生しました。

この結果に対して、KOLは、「これらの結果は、広範なゲノム変化を有する非小細胞肺癌患者、またはゲノム変化が確認されていない患者におけるパトリツマブ・デルクステカンの有望な臨床活性を実証しています。さらなる臨床評価を待ちます。」と述べている。

第 I 相試験データ(NCT03260491) 投与量漸増コホート: U3-1402 in Metastatic or Unresectable Non-Small Cell Lung Cancer

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