ASCO2022開催直前の注目演題5選。第一三共の抗体薬物複合体「エンハーツ」らに高い関心

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6月3日から始まるASCO2022次総会は、おそらく一年で最も待ち望まれた最大の医学学会でしょう。今年は、対面式とオンライン式で開催され、グローバル大手の製薬企業から新興のバイオテクノロジー企業まで何千もの抄録や研究内容が発表される予定です。

今日は、ASCO2022の開幕直前、Insights4が注目する5つの演題をご紹介します。ASCO2022年次総会中、総会終了後も日本語でASCO2022で注目された演題や研究発表情報は、投稿します。最新情報は、メルマガ「1分でわかる世界の製薬ニュース」でも配信しておりますので、併せてご活用ください。

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ASCO2022開催直前の注目演題5選

HER2低発現乳がん対象の抗体薬物複合体のエンハーツ:アストラゼネカと第一三共の

ASCO2022の開幕直前ですが、確実に、そしてひとつ目として挙げられるのが第一三共アストラゼネカのエンハーツ(トラスツズマブ)です。 エンハーツは、抗体薬物複合体(ADC)で、HER2低発現の乳がんを対象として開発が進められています。エンハーツの第3相DESTINY-Breast04試験のデータは、化学療法を1回か2回経たHER2低発現乳癌患者の無増悪生存(PFS)も全生存(OS)も改善しています。2月には、DESTINY-Breast-04のポジティブなデータが発表されています。

HER2というタンパク質を低レベルで発現している乳がん患者を対象としており、乳がん患者全体の半数以上を占めています。HER2陰性/ER陽性の患者に対して、まだ他の治療薬に余地があり、エストロゲン受容体(ER)陽性にどれだけ有効かは注目の的になりそうです。このような患者は通常、他のHER2治療薬を使用できないため、この試験で強力なデータが得られた場合にはエンハーツにとって好材料となる可能性があります。

>>> ASCO2022発表後の速報記事:ASCO2022で乳癌での画期的データ発表。今年追加承認か?

HER2陰性乳がん対象のトロデルビィ:ギリアド

2つめが、ギリアド社のHER2陰性乳がん用のトロデルヴィです。ギリアドは3月、HR+/HER2陰性転移性乳がん患者を対象とした後期臨床試験でトロデルヴィ主要評価項目を達成したと発表したのだが、詳細は乏しいものでした。

この結果が臨床的に有意であるかどうかは疑問が残っています。この結果が発表されたとき、ギリアドはこの結果に関するQ&A文書をSECに提出しましたが、これはかなり異例なことでした。最終的な全生存期間のデータは2024年に発表される予定です。

※ ASCO2022発表後の速報記事:トロデルヴィ、HR+/HER2転移性乳癌での効果を示すも、化学療法に比べわずか改善

上咽頭がんを対象のモノクローナル抗体Tislelizumab:ノバルティス/Beigene

ノバルティス/BeigeneのTislelizumabは、上咽頭がんを対象としています。モノクローナル抗体Tislelizumabは多くの適応症で試験中ですが、再発・転移性上咽頭がんに対するによる第3相RATIONALE-309試験での無増悪生存データに対して期待がかけられています。

Tislelizumabは、非小細胞肺がんでも開発中です。食道扁平上皮癌のセカンドラインでの申請について、米国FDAは7月12日までに決定を出すことが予想されています。

抗HER3抗体薬物複合体パトリツマブ デルクステカン:第一三共とアムジェン

第一三共のHER3に対するADCのファーストインクラスのパトリツマブ デルクステカン(Patritumab deruxtecan)の第1/2相臨床試験データがASCOで紹介されます。HER3発現転移性がん患者を対象としています。

ホルモン受容体陽性/HER2陰性乳がん、トリプルネガティブ乳がんなど、HER3の発現量が多い乳がんでの有望な臨床効果が発表されます。さらに、転移性非小細胞肺がんコホートから得られたデータも予備的な第1相試験データが初めて発表される予定です。

※ ASCO2022発表後の速報記事:第一三共のパトリツマブ デルクステカン、HER3発現で乳癌に続き肺癌でも有望な結果を発表

TIGIT免疫療法

TIGIT免疫療法についての発表も注目されます。5月初めにロシュの抗TIGIT免疫療法剤チラゴルマブ(tiragolumab)が非小細胞肺癌の後期試験で2度目の失敗をしたことが発表されています。ロシュはASCO2022でSKYSCRAPER-02試験のさらなるデータを発表する予定ですが、他の抗TIGIT剤に関するプレゼンテーションにも注目されます。

進行性肝細胞癌のファーストライン治療薬としてのBeigene社のociperlimabが含まれ、非小細胞肺がんについても第3相試験を実施中です。なお、発表はありませんが、アイテオスは、グラクソ・スミスクラインと抗TIGIT EOS-448について、いくつかの適応症で提携を結んでいます。アーカスバイオサイエンスとギリアドは、非小細胞肺がんにおける抗TIGIT候補の第2相Domvanalimabのデータ更新を今年後半に発表すると予想されています。

※ ASCO2022発表後の速報記事:抗TIGITへ暗雲。ロシュ、チラゴルマブが小細胞肺がん対象で全生存期間でも未達成

 

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