【コラム】JMDC COOに聞く!希少疾患だからこそのデータ活用

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(株)JMDCのCOO杉田氏が、製薬企業におけるリアルワールドデータ(RWD)などデータ活用のヒントをお伝えする本コラム。
近年は希少疾患に対する新薬のローンチが毎年続いていて、その中で疾患自体の認知もどんどん高まっている印象です。しかしながら希少疾患という言葉の定義通り、その疾患の患者さんは数少なく、まだまだ病態や患者さんの抱えるペインなど不明な点も多いです。今回は、そこに対してデータがどう効率的に活用できるかをお話してみたいと思います。

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杉田:JMDCのCOOの杉田と申します。今月は「希少疾患だからこそのデータ活用」というテーマです。希少疾患は、比較的患者数の多い疾患と比べて、まだまだ課題が多く存在する疾患だと思っておりまして、ここにデータ活用をして患者アウトカムを向上させることは大きな社会的意義があると思い、JMDCとして積極的に取り組んでいる部分になります。

穴吹:製薬本部マネージャーの穴吹と申します。本記事では私がインタビュワーとなって、進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。まずは希少疾患の課題というところからお伺いできればと思っておりまして、一般的にどのような課題があるのでしょうか。

杉田:希少疾患の課題はいくつかあります。もちろんオーファンドラッグの創薬に関わる課題もたくさんあるのですが、ここでは患者にフォーカスをおいて、患者が抱える課題というところに絞ってお話します。

まず課題として大きく存在するのは、専門とする医師が少なく、さらに専門医と非専門医の知識のギャップが大きいことがあります。希少疾患であるが故に、その領域を専門として目指す医師もそもそも少ないですし、その領域の経験を積むことも容易ではないです。専門医でも年に数人患者を診るぐらい、というようなことがままおきており、ましてや非専門医にとっては実際にその疾患を診ることなどなく、教科書でしか名前を聞いたことがないということが発生しがちです。

それによって何が起きるかというと、実際にその患者であったとしても診断まで至らず、診断率の低下が起きます。こちらの表を見てください。

傷病名 論文等で言われている有病者数(人) 弊社データベースからの推定患者数(人) 診断率
遺伝性血管性浮腫 2,500 1,546 62%
間質性膀胱炎(ハンナ型) 2,025 1,140 56%
トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー 830 383 46%
全身型若年性特発性関節炎 3,000 941 31%
結節性硬化症 15,000 3,674 24%
アルファ1-アンチトリプシン欠乏症 200 44 22%
乾癬性関節炎 100,000 20,373 20%
皮膚T細胞リンパ腫 5,000 963 19%
MELAS症候群 4,000 543 14%
体軸性脊椎関節炎 860 87 10%
一般的な有病者数と弊社DBにおける患者数の比較

 

こちらは、それぞれの希少疾患に対して、論文などで言われている有病者数や罹患率を調べて日本における患者数を試算した数値と、弊社データベース上で病名のついている患者数から日本全体での患者数を試算した数値の比較になります。例えば、ハンナ型の間質性膀胱炎だと、論文では830人の患者が存在することとなっていますが、弊社DBでは383人と試算できるということですが、それぞれの数値を信じると、診断できている割合が46%で、半分の患者は未診断ということになります。

―なるほどですね。論文も古いデータであったり、根拠となる数値が一部施設へのアンケート調査であったり限界はありそうですが、未診断の患者さんが多い傾向にあることは見て取れそうな気がします。他にも希少疾患における課題はあるのでしょうか。

杉田:診断率が低いことに付随して、診断できる医師に出会えるまでに時間がかかるため診断に時間がかかる、その間に疾患が進行してしまい重症化した状態で診断されることが多い、などがあります。

あとは、それとは少し離れますが、希少疾患ゆえに診断後も治療や疾患に関する情報が得づらい、世間も認知していないので周囲の理解を得にくいなど、この辺りが希少疾患患者の抱えているメジャーな課題だと考えています。

―それらの課題に対して、希少疾患だからこそのデータ活用と言われる背景はなんでしょうか。

杉田:大きく2点あります。

まずは10万人に1人、100万人に1人といった希少疾患だからこそ、希少疾患患者の実態を知るためには、大規模な母集団が必要となります。例えばJMDCのデータで言うと、健保組合から1000万人、医療機関から1000万人分の患者データをお預かりをしているので、100万人に1人の罹患率で日本に100名程度しかいない希少疾患であっても、それぞれ10名程度のデータが見つかることになります。これがアンケートや、インタビューパネルとなると、100万人程度のモニター数のところが多く、そのうちどれぐらいが実際にモニターとして機能しているかは分かりませんが、仮に1/3程度とするとアクティブなのは30万人で、100万人に1人の希少疾患だとまず見つからない、ということになります。この点からも、レセプトデータは非常に有意義なデータだと言えます。

さらに希少疾患の課題として、専門医と非専門医の知識ギャップの大きさに触れたと思います。専門医では適切に診断がされて適切に治療がなされていると思われますので、患者さんの課題は、確定診断がつく前の、非専門医での診断や治療にあると思われます。確定診断前の情報は、専門医にヒアリングをしても得るのが非常に難しいですし、希少疾患と疑って診察していない非専門医に希少疾患に関してヒアリングをしても得られる情報はほとんどないです。そのため、確定診断がついた患者の情報を遡って確認することができる、リアルワールドデータが非常に役立つ領域になります。レセプトデータを確認すれば、例えばこちらのようなことが分かります。

希少疾患におけるレセプトデータの活用法

こちらは、イメージ図なので、数値は気にしないで見ていただきたいのですが、初発症状で医療機関を受診してから確定診断までにどの程度の期間がかかったのか、その間どういう診断がされ、どういう治療を受けたのか、どの程度の医療機関を受診してきたのか、などをレセプトデータで見ることができます。それによって、どの診療科に比較的多く受診しがちなのか、確定診断までの期間は昔と今ではどうなのか、など製薬企業にとって重要なデータを見ることができます。

―あえて聞きますと、希少疾患であってもレセプトデータではなかなか見えにくい情報などは存在するのでしょうか?

杉田:そうですね。レセプトデータの限界点としては、医療機関を受診しない限りはデータとして蓄積されていきませんので、なんらかの症状が出ていたとしても、患者さんが医療機関を受診しないでやり過ごしてしまう場合には、本当の初発症状の時期はわかりません。例えば初発症状が、疲れやすいとか体が少し痛むとかですと、ドラッグストアのビタミン剤や湿布などである程度耐えてしまう患者さんもいて、そのあたりの情報はデータとしては見えないことになります。

また、当たり前ですが、診断がつくまでの不安や考え、ウェブ検索など受診以外の行動、に関してもレセプトでは計り知ることができません。なのでこのあたりはなんとかして希少疾患患者さんを見つけてインタビューすることが必要となる部分になります。そのためJMDCでもレセプトデータで希少疾患を定量的に分析するのみならず、患者さん・医師へのヒアリングをおこなって、希少疾患を定性的に知るということを始めています。

―なるほど、ありがとうございます。最後に何かございますでしょうか。

杉田:最初にお伝えしたように、患者さん側にも創薬側にもまだまだペインポイントの多い希少疾患領域ですが、我々は、より良い薬剤が、より早く患者さんのもとに届く世界を願っておりますので、ぜひデータの力でその部分の効率化をサポートさせていただければ幸いに存じます。

―ありがとうございます。それでは今回もこのあたりで終了とさせていただければと思います。

出典

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