塩野義、新型コロナ経口薬、日本で早期承認取得検討。ファイザー治療薬にも匹敵か?

塩野義製薬の手代木功CEOは、7日、経口COVID-19治療薬S-217622について、症状のない、または軽い感染者を対象としたフェーズIIa試験で良好な結果を示したことから、今後1〜2週間で日本の承認を申請する可能性を示唆しました。また、同社は、この試験を中等症の患者にも拡大し、今月末から国際共同第III相試験を開始する予定であると述べています。

この中間段階試験には、16歳から63歳までのSARS-CoV-2感染者47名が参加しました。塩野義製薬は、「ほとんどが軽度もしくは、中等度の症状でありましたが、無症状または軽度の症状であると判断された者も数名いました。」と述べています。参加者は、S-217622を1日1回5日間服用する投与量と、プラセボの投与量のいずれかに無作為に振り分けられました。いずれの試験群においても、参加者の大半はすでにCOVID-19のワクチン接種を受けていました。

ウイルス力価の大幅な低下

有効性の主要評価項目であるウイルス力価およびウイルス RNA の急速な低下に関して、S-217622 群はプラセボに対して「有意差」を示したと塩野義製薬は述べています。同社は、3回目の投与後、ウイルス力価が陽性であった被験者の割合は、プラセボと比較して低用量で63%、高用量で80%減少したと述べています。さらに、S-217622を投与された患者は、約2.5日後にSARS-CoV-2陰性となり、これはプラセボよりもおよそ2日早かったということです。

また、S-217622はCOVID-19の12項目の症状の合計点においても「改善傾向」を示し、入院や同等の治療を必要とする増悪例は見られなかったと塩野義製薬は述べています。なお、プラセボ投与群では2名が重症化しました。

一方、より一般的な治療上緊急の有害事象として、HDLの低下があり、高用量群の52%、低用量群の14%に認められました(プラセボ群では約8%)。また、血中トリグリセリドが高用量群で3名、ビリルビン値が2名上昇しましたが、低用量群およびプラセボ群ではそのような症例はありませんでした。同社は、先の第I相試験でHDLの減少や中性脂肪の増加が認められたが、その試験においても「安全性と回復可能性が確認された」と説明しています。

ファイザーのパクスロビドに匹敵?

ジェフリーズのアナリスト、アカシ・テワリ氏によると、S-217622のウイルス量減少は、ファイザーの経口COVID-19治療薬パクスロビド(日本ではパキロビッド、一般名ニルマトレルビル/リトナビル)に類似しており、これは驚きだったそうです。塩野義製薬の株価は、同社がデータを発表した後、10%上昇しました。パクスロビドは1日2回、5日間服用し、病状の初期に服用すると入院や死亡のリスクをプラセボに比べて90%近く減らすことが分かっており、メルク社のCOVID-19錠モルヌピラビルと同様にすでに数カ国で使用されています。

S-217622が日本で承認されれば、早ければ3月上旬には患者がこの薬を手にすることができることとなります。塩野義製薬では、来月末までに100万人分を製造する予定であり、最終的には年間1000万人分以上の製造を目標としています。

また、塩野義製薬は、米国での承認に向けた大規模臨床試験の実施について、グローバルなパートナーと協議中であると述べていますが、最初の結果が出るのは夏以降であり、米国の患者がこの治療を受けられるのは早くても今年末になりそうです。また、欧州の規制当局とも交渉中で、S-217622をグローバルに商業化するためのパートナーを求めています。

関連記事

  1. アルジェンクスのgMG治療薬Vyvgartの皮下投与型がフェーズIIIに成功

  2. roche

    ロシュの抗TIGIT免疫療法チラゴルマブ、小細胞肺がん対象の第3相試験で主要評価項目達成できず

  3. heart

    BMSのマバカムテン、FDAによる承認審査決定が4月末に迫る中で、更にポジティブなデータを発表

  4. 【2021年12月6日】1分でわかる世界の製薬ニュース:今日のまとめ

  5. FDA、UCBのビメキズマブ承認審査延期。コロナによる渡航制限で

  6. approve

    FDA、アルツハイマー治療薬アデュカヌマブ迅速承認。エーザイ、バイオジェン株価高騰

 

☎ 080-9159-1217

海外情報・調査ご相談ください

平日 9:00-18:00

1分でわかる世界の製薬ニュースをメルマガで!

無料メルマガでは、世界の製薬ニュースを配信しています。
 

  1. colorectal cancer

    マイクロサテライト安定性BRAF V600E変異大腸癌でビラフトビ併用に…

    2022.06.25

  2. approved

    ノバルティス、欧州でタブレクタがMETエクソン14読み飛ばし異変の非…

    2022.06.22

  3. 肺炎

    米メルク、21価の肺炎球菌ワクチン「V116」良好な第1/2相結果。7月…

    2022.06.22

  4. ADC

    HER3乳がん対象のパトリツマブ・デルクステカンの良好なデータを第…

    2022.06.21

  5. breast cancer

    サノフィ、AMEERA-4試験中止も、大規模試験開始で目指す最初の術前…

    2022.06.21

  6. SLE

    デュクラバシチニブ、全身性エリテマトーデス(SLE)への第II相試験…

    2022.06.20

  7. partners

    バイオジェン、Alectos社のパーキンソン病治療薬候補GBA2阻害剤のラ…

    2022.06.20

  8. lung cancer

    抗TIGITへ暗雲。ロシュ、チラゴルマブ小細胞肺がん対象で全生存期間…

    2022.06.15

  9. lung cancer

    第一三共のパトリツマブ デルクステカン、乳癌に続きHER3肺癌でもAS…

    2022.06.15

  10. blood

    CAR-T療法「​​Carvykti」が多発性骨髄腫において「2年後」も奏効率…

    2022.06.10

  1. crohns diseasae

    アッヴィのリンヴォックが、クローン病で1年治療効果維持の評価項目…

    2022.05.12

  2. 【コラム】JMDC COOに聞く!患者啓発に使えるリアルワールドデータ 

    2022.03.23

  3. 2022年4月13日(水)Vaczine Analytics社ご紹介セミナー【オンライ…

    2022.03.01

  4. insights4webinar

    2022年3月16日(水)開催定例ウエビナー:ケーススタディで学ぶ「エ…

    2022.02.15

  5. アムジェン、第4四半期業績発表。全体として増収もエンブレルは減収

    2022.02.10

  6. 塩野義、新型コロナ経口薬、日本で早期承認取得検討。ファイザー治…

    2022.02.09

  7. ファイザー、新型コロナ経口薬パクスロビド売上220億ドル(約2.5兆…

    2022.02.09

  8. ワクチン未接種の死亡率、ブースター接種と比べて97倍にもなると米C…

    2022.02.07

  9. Libtayo

    サノフィとリジェネロン、子宮頸がん対象のLibtayoのFDA申請を取り…

    2022.01.31

  10. blood

    ギリアドのマグロリマブ併用投与の血液腫瘍対象の試験をFDAが一部保…

    2022.01.27

  1. 【ケーススタディ】10年後上市をめざす化合物の評価と価値最大化の…

    2022.02.21

  2. medinew

    2022年3月2日(水)オンライン開催:医薬品デジタルマーケティング…

    2022.02.16

  3. insights4webinar

    2022年3月16日(水)開催定例ウエビナー:ケーススタディで学ぶ「エ…

    2022.02.15

  4. 2022年2月24日(木)オンライン開催:1ヶ月かかっていた医師のリサ…

    2022.02.06

  5. 2022年2月16日(水)開催 無料オンラインセミナー:データを活用し…

    2022.02.03

  6. 米国市場進出への新しいオプション。コストを抑え、最速で新薬の上…

    2022.02.01