アロジェン社(Allogene Therapeutics)は、昨年から差し止められていた、患者毎にその都度作製が不要のがん治療AlloCAR T療法(メラ抗原受容体T細胞)を米国FDAが解除したころを発表しました。
差し止めのきっかけ
昨年10月に、初期段階のALPHA2試験でALLO-501A CAR-T細胞による治療を受けた患者で検出された「染色体異常」を調査することがきっかけです。このことで、米国規制当局からAlloCAR T臨床試験の全5件を中断するよう命じられています。
同社の次世代抗CD19同種CAR-T候補であるALLO-501Aを注入された難治性濾胞性リンパ腫の患者さんが対象で、染色体異常が発見されたのは、副作用を経験し、骨髄生検が必要となった後でした。アロジェン社のCAR-Tは、レンチウイルスとTALENヌクレアーゼを用いて操作されており、挿入、欠失、染色体転座を引き起こす可能性があるとしています。
遺伝子編集技術TALENや製造とは無関係
また、その異常はT細胞やB細胞の成熟の一環として再編されるT細胞受容体や免疫グロブリン遺伝子の領域にかかるものでした。
今回の発表で、アロジェン社は、差し止めのきっかけとなった染色体異常はTALEN遺伝子編集や製造プロセスとは無関係であり、臨床的意義はなく、無関係であると結論づけたことを発表しました。
問題の異常は「T細胞やB細胞の成熟過程の一部として再配列を起こすことが知られているT細胞受容体や免疫グロブリン遺伝子の領域」に関わるものだといいます。また、この異常は、製造されたAlloCAR T製品や同じALLO-501Aロットで治療された他の患者には検出されなかったと述べています。
「同種CAR-T療法は、範囲と影響の両方で進化し続ける急速に発展している分野です」と最高医学責任者のRafael Amadoは述べ、「私たちの調査から得られた知見は、遺伝子編集と細胞および遺伝子治療の分野における技術革新を進めるのに役立つでしょう 」と付け加えています。
再開のニュースにも、株価は12%の下落
この再開のニュースにもかかわらず、アロジェン社の株価は月曜日に約12%下落しました。同社は、AlloCAR Tプログラム全体の試験活動を「できるだけ早く」再開するよう取り組んでおり、2022年半ばに再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ腫を対象としたALLO-501Aの重要な第2相試験を計画していると述べています。