Avrobio社ファブリー病遺伝子治療の開発優先順位下げる発表。株価35%も下落

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Avrobio社が、開発戦略の変更を発表、ファブリー病への開発プログラムの優先順位を下げ、代わりにライソゾーム病をはじめとする他のプログラムに焦点を移す。この発表を受けて、Avrobio社の株価は1月4日火曜日35%も下落しました。

同社は、この決定に関して、ファブリー病を対象として開発を進めている遺伝子治療AVR-RD-01の第2相FAB-GT試験から得られている新しい臨床データに加え、ファブリー病に関する「ますます厳しくなる市場と規制環境」などいくつかの理由からであることを述べています。サノフィ社のファブラザイムの承認もこの決定に影響を与えているものと考えられます。

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競合のサノフィのファブラザイムがFDAにより承認も、直接比較試験を当初計画

FAB-GT試験は、AGA酵素活性の欠損によりファブリー病と診断された患者を対象に、レンチウイルス遺伝子治療薬AVR-RD-01を評価するものです。昨年5月、同社は、AVR-RD-01の加速試験の実施を断念したことに加え、FDAがサノフィ社の酵素補充療法であるファブラザイム(アガルシダーゼβ)を全面承認したため、同社の規制当局の選択肢が狭まっていることも当時述べていました。それでも、AVR-RD-01とファブラザイムを直接比較する試験を2022年中頃に開始することを検討してい事も発表していました。

ファブリー病とは?

先天性の代謝異常であるファブリー病はライソゾームに存在する加水分解酵素の一つであるα-ガラクトシダーゼ活性の低下により、その基質であるグロボトリアオシルセラミドが、血管内皮細胞、平滑筋細胞、汗腺、腎臓、心筋、自律神経節、角膜に蓄積し、腎障害、脳血管障害、虚血性心疾患、心筋症、皮膚病変、四肢末端痛、角膜混濁などを生じる希少疾患です。

典型的なファブリー病の発症率は、欧米人で40000人に1人と推定されていたが、左室肥大や心筋症の中での心ファブリー病の頻度は3〜4%とされ、透析患者のスクリーニングでは約1%、台湾での新生児スクリーニングでは約1300人に1人という報告もあり、ファブリー病全体の実際の頻度は10000人に1人くらいではないかとも言われています。多くが、学童期までに発症します。

ファブリー病に対するAVR-RD-01の「可変的な」生着パターン

しかしながら、1月4日火曜日にAvrobio社は、最近投与された5人の患者の新しいデータから、「変動する生着パターン」を示したことで、AVR-RD-01の開発スケジュールを遅らせることになると結論付けたと発表しました。

同社CEO の ジェフ・マッカイ氏(Geoff MacKay) は、以前に報告された3 つの臨床プログラムで治療された 13 名の患者の結果を強調し、「9~54 ヵ月にわたる耐久性のある生着が確認された」と述べましたが、今回の結果は、これらの他のデータと「不一致」であるとのことです。

その調査に基づき、同社は、「ファブリー病には大きな異質性があるため、場合によっては、未治療のファブリー病特有の基礎病態に関連した生着に対する内在的抵抗性があり、持続的に血管内皮にストレスを与えることにより生じる可能性がある」と述べています。

FAB-GTで投与された成人9名全員と医師主導の第1相試験で投与された成人5名の安全性データから、AVR-RD-01に関連する有害事象や重篤な有害事象は認められなかったと述べています。今後、本試験への登録は停止され、同社は規制当局の要求に従い、過去に投与した患者のモニタリングを合計15年間継続する予定です。

シスチン症、ゴーシェ病の開発プランへのシフト 

マッカイ氏は、同時に、同社にとって、シスチン症ゴーシェ病を対象とした臨床プログラムに関する最新情報があることを示唆しています。

シスチン症候補のAVR-RD-04に関しては、共同研究者主導による第I/II相試験に関する最新情報、同社による第2相試験の計画について規制当局と協議する予定であることを発表しています。

ゴーシェ病に関しては、AVR-RD-02において、2022年前半には、1型ゴーシェ病を対象とした臨床情報を提供できるとし、3型ゴーシェ病対象としたAVR-RD-06においては、第2/3相試験を、2023年の臨床試験開始を目指して規制当局からのフィードバックを得る予定であることを述べています。

遺伝子変異による先天的な代謝異常希少疾患、ゴーシェ病とは?

ゴーシェ病は、グルコセレブロシダーゼ(別名β−グルコシダーゼ)の遺伝子変異によりグルコセレブロシダーゼ活性が低下あるいは欠損し、その基質である糖脂質のグルコセレブロシドが組織に蓄積するスフィンゴリピドーシスのひとつで常染色体劣性遺伝形式をとります。グルコセレブロシドは、体中のマクロファージに蓄積し、肝脾腫、骨痛や病的骨折、中枢神経障害を引き起こします。なお、日本におけるゴーシェ病の有病率は33万人に1人とされています。症状と発症時期により、3つの病型に分類されています。

治療に関しては、現在、酵素補充療法と対症療法があります。酵素補充療法は、血液脳関門を十分に通過できないため、中枢神経症状に対する効果は乏しく、神経症状に対するシャペロン療法や遺伝子治療などの新規治療法の開発が期待されています。

出生10万-20万人に1人の希少疾患、シスチン症

シスチン症とは、シスチンが細胞内に蓄積するために発症する先天代謝異常症です。3つの病型に分類され、腎(乳児)型は、すべての細胞内でシスチンが蓄積し、乳児期より腎性ファンコニー症候群を合併します。中間(若年)型は、細胞内のシスチン蓄積の進行は緩徐で、発症は思春期以降です。非腎(眼)型は、角膜のシスチン蓄積のみが症状です。シスチン症の発生頻度は出生10万-20万に1人です。

腎型シスチノーシスは、適切な治療を行わないと10歳前後で死に至りますが、腎移植やシスチン除去などの治療を行うことで40代から50代まで十分なQOLが得られます。新生児期あるいは乳児早期にシスチン除去を開始した場合、成長障害、腎症状の進行を防ぐことが可能です。

参照

AVROBIO Reprioritizes Pipeline Programs
Avrobio Shares Hit 52-Week Low After Co. Refocuses Its Portfolio
小児慢性特定疾病情報センター,ファブリー(Fabry)病
小児慢性特定疾病情報センター, ゴーシェ(Gaucher)病
小児慢性特定疾病情報センター, シスチン症