デュピクセント、売上げ1兆円超えへ。6カ月から5歳のアトピー性皮膚炎で承認申請へ

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サノフィリジェネロンのデュピクセントが、現在承認の対象年齢より更に若年層の6歳未満の乳幼児のアトピー性皮膚炎を対象とした承認申請を計画している。デュピクセントは、すでに6歳の子供のアトピー性皮膚炎の治療薬として承認されていますが、今回は、6カ月から5歳までの更に幼い幼児や子供を対象としています。この申請が承認されることで、対象となる患者層が広がり、100億ドル(1兆円強)を超えるメガブロックバスター医薬品のステータスに更に一歩近づくこととなる。

アトピー性皮膚炎の患者の85〜90%は、5歳になる前に症状を発症しますが、これは多くの場合、成人期まで続く可能性があります。症状には、体の大部分を覆う激しいかゆみや皮膚病変が含まれ、皮膚の乾燥、ひび割れ、発赤または黒ずみ、痂皮形成および滲出をもたらします。中等度から重度のアトピー性皮膚炎は、患者である幼児、その両親、介護者の生活の質に大きな影響を与える可能性があります。アトピー性皮膚炎に関与する根本的な2型炎症は、喘息や特定のアレルギーなど、人の生涯を通じて現れる可能性のある他の疾患の発症にも寄与する可能性があります。

デュピクセントとは?副作用は?

デュピクセントは、IL-4およびIL-13シグナルの二重阻害剤で、アトピー性皮膚炎をはじめとする皮膚の2型炎症反応の徴候や症状を有意に軽減する完全ヒトモノクローナル抗体です。免疫抑制剤ではなく、検査室でのモニタリングを必要としません。デュピクセントは、皮膚の内部で起きている炎症反応を抑え、かゆみなどの症状を改善します。アトピー性皮膚炎の中等度から重症、通常の外用薬治療を6カ月以上行っても効果が不十分な場合に治療薬として投与されます。症状を緩和させることに併せ、ステロイド剤のランクを下げることもメリット言えます。アナフィラキシーとして知られる重度の反応を含むアレルギー反応(過敏反応)、注射部位反応、ヘルペス感染、結膜炎などの副作用がある。

臨床試験概要と試験結果は?

今回の第3相LIBERTY AD PRESCHOOL試験では、6ヶ月から5歳までのコントロール不能な中等度から重度のアトピー性皮膚炎の患者において、デュピクセントと標準的な外用コルチコステロイドの併用を投与しました。皮膚のクリアランスを改善し、疾患の重症度と痒みを抑制するという点で、プラセボを「有意に」上回りました。

本試験における安全性は、年長児、青年、成人におけるデュピクセントと同等であったとサノフィは述べています。副作用率はデュピクセント群で64%、対照群で74%でした。

サノフィ社は、8月にLIBERTY AD PRESCHOOL試験において、デュピクセントが162名の患者を対象とした試験において、主要評価項目および副次評価項目をすべてクリアしたと発表していますが、12月13日のアトピー性皮膚炎の国際会議Revolutionizing Atopic Dermatitis Conference(RAD 2021)のセッションで詳細情報が発表されました。

この試験では、主要業過項目を達成しています。デュピクセントと副腎皮質ステロイドの併用療法を受けた患者の28%が、16週目に透明またはほぼ透明な肌になったのに対し、プラセボ群では4%でした。デュピクセントの患者53%が、ベースラインから全体的な疾患の重症度を75%以上改善したのに対し、対照群では11%でした。

デュピクセント投与群では、ベースラインからの痒みの平均改善率が49%であったのに対し、プラセボ投与群では2%。また、デュピクセントを投与された患者は、疾患全体の重症度がベースラインから平均70%改善したのに対し、プラセボでは20%の改善でした。

数少ない100憶ドル以上の売上規模の医薬品

ブロックバスター医薬品の定義が存在するわけではありませんが、製薬業界内では、年間の売上が10億ドル(1000億強円)を超える新薬に対して用いられます。
数多くのブロックバスター医薬品がある中でも100億ドルを超える医薬品になると限られてくる。2018年のIQVIAのデータによると以下の4剤が100億ドルを超える規模の売上を全世界で計上している。

1. アダリムマブ(ヒュミラ – 関節リウマチ薬) … 254.8億ドル
2. インスリン・グラルギン(ランタス – 糖尿病治療薬) … 104.1億ドル
3. エタネルセプト(エンブレル – 関節リウマチ/乾癬薬) … 101.8億ドル
4. アピキサバン(エリキュース – 抗凝固薬) … 101.2億ドル
出典;ウイキベテア「ブロックバスター医薬品」から

1兆円強の売上が見えてきたデュピクセント

サノフィとリジェネロンは、今回のデータをもとに、デュピクセントを6カ月から5歳までの小児に適用し、米国では2021年、欧州では2022年前半に承認取得を目指すと発表しました。サノフィによれば、デュピクセントは、このような若年層の患者で良好な結果を示した初めての生物学的製剤とのことです。

デュピクセントの売上げは順調に増加している。リジェネロンが先月発表した第3四半期の売上高は、全世界で16億6,000万ドルと、2020年の同時期の約10億7,000万ドルに比べて55%増加しました。今年の最初の9ヶ月間で、デュピクセントは全世界で約44億2千万ドルを稼ぎ出しましたが、これに対して2020年の同時期には28億7千万ドルでした。

サノフィは今年初め、5つの異なる疾患で強力なデータを持つデュピクセントは、最終的に年間100億ユーロを獲得し、ブロックバスター医薬品のステータスに到達できるだろうと予測していました。これは、デュピクセントの現在に売上金額の約2倍にあたります。大きな期待をかけています。

今後は、適用拡大も計画されており、サノフィの幹部によると、乳幼児のアトピー性皮膚炎だけでなく、慢性自然蕁麻疹、結節性痒疹、好酸球性食道炎でも良好なデータが得られており、見通しは明るいと述べています。

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