バルドキソロンメチルのアルポート症候群への第3相結果にFDA難色示す。株価40%下落

Kidney

バルドキソロンメチルの第3相結果にFDAが難色。レアタ社の株価が40%下落した。バルドキソロンメチルは、アルポート症候群を対象で日欧米で承認申請中だがFDAが腎機能維持を示しているとは思わないとの見解。アルポート症候群は日本では1200人の患者がいると推測されている。しばしば末期腎不全へと進行する難病に指定されている。

「一分でわかる世界の製薬ニュース」をメルマガで

banner

世界の製薬ニュースを「日本語」でお届けします!
● 世界で最も注目されている製薬ニュースを
● メルマガ会員登録は無料、毎日配信
● 海外のニュースも日本語でしっかり読めます

メルマガ会員登録はこちらから

FDAは、リアタ社(Reata Pharmaceuticals)が提出したバルドキソロンメチル(Bardoxolone methyl)の裏付けとなるデータが、アルポート症候群の患者の腎機能を維持できることを示しているとは思わないと述べた。この見解は、12月8日に開催される諮問委員会に先立って月曜日に発表されたブリーフィング文書で公表され、この発表を受けて同社の株価は40%下落しました。

アルポート症候群とは?

アルポート症候群は慢性腎炎、難聴、眼合併症を呈する症候群で、しばしば末期腎不全へと進行、難病指定されています。

欧米では5,000-10,000人に1人の割合で発症すると報告されております。日本において3年間に病院を受診した患者数を調査、1,200人程の患者がいると推測されています。遺伝性の疾患であり、ほとんどの場合、ご家族に腎炎の患者さんがいますが、約20%の患者では家族歴がなく、遺伝子の突然変異により発症します。

アルポート症候群は、腎臓の糸球体という部分を構成するのに重要な蛋白である4型コラーゲンのα3鎖、α4鎖またはα5鎖をコードしている遺伝子COL4A3、COL4A4、COL4A5遺伝子のいずれかに異常がある場合発症します。これらの蛋白は内耳や眼にも存在するため、難聴や眼症状を合併します。最も頻度の高いのはCOL4A5遺伝子の異常によるX染色体連鎖型アルポート症候群で、この場合、男性患者さんでは女性患者さんに比べて明らかに重症の症状を呈します。
出典:難病情報センターから抜粋、Insights4が編集

申請対象のCARDINAL試験内容は?

リアタ社は、アルポート症候群による慢性腎臓病の治療を目的とした経口Nrf2活性化剤バルドキソロンメチルを、157名の患者を対象とした第3相CARDINAL試験を実施、FDAに対して承認を申請しています。

CARDINAL試験は、推定糸球体濾過量(eGFR)の「治療中」および「治療後」の変化を評価した主要評価項目および主要副次評価項目を達成したことを発表しました。具体的には、バルドキソロンメチルはベースラインから統計的に有意なeGFRの変化をもたらし、48週目にはプラセボ補正後の差が9.2mL/min/1.73m2、100週目には7.4mL/min/1.73m2となりました。

バルドキソロンメチルの効果にFDAが疑問

重要な問題は、本試験で認められたeGFRの改善が、実際にバルドキソロンメチルが疾患の進行に対して有益な効果を発揮していることを意味するかどうかです。

FDAの審査チームはそうは考えていないようで、「治療に対する大きなアンメットニーズがあることは認識しているが、提出されたデータは、バルドキソロンメチルがアルポート症候群患者の腎機能低下を遅らせ、腎不全に進行するリスクを低減するのに有効であることを示しているとは思わない」と述べています。

有効性と安全性への懸念

FDAスタッフが注目したのは、CARDINAL試験のデザインが、可逆的な薬力学効果と実際の病気の進行を遅らせることを区別できるかどうかという点です。

CARDINAL試験では、2年間のeGFR評価を行い、48週後と100週後の2回、1ヵ月間のウォッシュアウト期間を設けています。この試験では、48週後と100週後に2ヶ月のウォッシュアウト期間が設けられていましたが、当局の担当者は、リアタ社の薬剤の効果を適切に判定するには、このオフタイム期間が十分ではなかったのではないかと指摘しました。

これらのウォッシュアウト期間中にeGFRが低下したことを指摘し、「治療中のeGFRの上昇は、少なくとも部分的には、バルドキソロンメチルの可逆的なPD効果の結果であることを示唆している」と述べた。

当局の審査員は、バルドキソロンメチルが腎臓障害の潜在的なマーカーであるアルブミン尿の増加と関連していたことを指摘しました。「バルドキソロンメチルで観察されたUACR(尿中アルブミン/クレアチニン比)の変化のメカニズムはよくわかっていませんが、その変化は糸球体内圧の上昇によるものである可能性があり、長期的には疾患の進行に悪影響を及ぼす可能性があります」と述べています。

また、本剤は血圧の上昇にも関連しており、FDAスタッフは、「数mmHgの小さな上昇であっても、本剤が慢性的な使用を意図している場合、特に対象となる集団が心血管リスクを高めている場合には懸念される」と指摘しています。

なお、アルポート症候群に対するバルドキソロンメチルの承認申請は、EUと日本の規制当局にも提出されています。日本では今年7月27日協和キリン社が承認申請をしています

過去の安全性に関するスキャンダルに

2012年、Reata社と当時のパートナーであるアッヴィ社は、進行した慢性腎臓病および2型糖尿病患者を対象としたバルドキソロンの後期BEACON試験において、独立したデータモニタリングによりバルドキソロン投与群で「重篤な有害事象および死亡率の増加」が認められたため、試験を中止しました。その後、アッヴィはReata社とのNrf2活性化剤の取引から撤退し、その過程で3億3,000万ドルを返還しています。

フリードライヒ失調症対象のオマベロキソロンも後期臨床中。来年申請を目標にしている

一方、Reata社はフリードライヒ失調症の治療薬としてNrf2活性化剤オマベロキソロン(omaveloxolone)を開発していますが、昨年、FDAが2回目のピボタル試験を要求した場合、米国での申請が遅れる可能性があると警告しましたが、先月、オマベロキソロンがフリードライヒ失調症の治療薬としてFDAの画期的新薬指定を受けたと発表し、CEOのウォーレン・ハフ氏は、2022年第1四半期中の米国での申請を目指していることを明らかにしました。

【続報】9日、FDA、効果の裏付けなしと判断

その後の報道で、9日FDAは公表された資料の見解と同様にレアタ社のバルドキソロンメチルがアルポート症候群において慢性腎臓疾患の進行を遅らせる効果や価値示せておらず、薬への効果は裏付けられていないと判断しました。
【2021年12月10日】1分でわかる世界の製薬ニュース:今日のまとめ[Reata社のアルポート症候群薬を諮問委員会が支持せず]
UPDATED: FDA adcomm votes unanimously against Reata’s potential Alport syndrome treatment

同カテゴリーの世界の製薬ニュース

関連記事

  1. モデルナ社、インフルエンザのmRNAワクチン「mRNA-1010」第1/2相試験開始

  2. globalnews

    【2021年2月28日】おさえたておきたい世界の製薬ニュース

  3. conference

    ASCO2022年次総会開催直前の注目演題5選。第一三共の「エンハーツ」に高い関心

  4. conference

    JPモルガンのヘルスケアカンファレンス会議がバーチャルで開催に。オミクロン株の影響

  5. blood

    ギリアドのマグロリマブ併用投与の血液腫瘍対象の試験をFDAが一部保留を決定

  6. ファイザーCEO、新型コロナワクチンの3回目の接種が1年以内に「おそらく」必要

 

☎ 080-9159-1217

海外情報・調査ご相談ください

平日 9:00-18:00

1分でわかる世界の製薬ニュースをメルマガで!

無料メルマガでは、世界の製薬ニュースを配信しています。
 

  1. colorectal cancer

    マイクロサテライト安定性BRAF V600E変異大腸癌でビラフトビ併用に…

    2022.06.25

  2. approved

    ノバルティス、欧州でタブレクタがMETエクソン14読み飛ばし異変の非…

    2022.06.22

  3. 肺炎

    米メルク、21価の肺炎球菌ワクチン「V116」良好な第1/2相結果。7月…

    2022.06.22

  4. ADC

    HER3乳がん対象のパトリツマブ・デルクステカンの良好なデータを第…

    2022.06.21

  5. breast cancer

    サノフィ、AMEERA-4試験中止も、大規模試験開始で目指す最初の術前…

    2022.06.21

  6. SLE

    デュクラバシチニブ、全身性エリテマトーデス(SLE)への第II相試験…

    2022.06.20

  7. partners

    バイオジェン、Alectos社のパーキンソン病治療薬候補GBA2阻害剤のラ…

    2022.06.20

  8. lung cancer

    抗TIGITへ暗雲。ロシュ、チラゴルマブ小細胞肺がん対象で全生存期間…

    2022.06.15

  9. lung cancer

    第一三共のパトリツマブ デルクステカン、乳癌に続きHER3肺癌でもAS…

    2022.06.15

  10. blood

    CAR-T療法「​​Carvykti」が多発性骨髄腫において「2年後」も奏効率…

    2022.06.10

  1. crohns diseasae

    アッヴィのリンヴォックが、クローン病で1年治療効果維持の評価項目…

    2022.05.12

  2. 【コラム】JMDC COOに聞く!患者啓発に使えるリアルワールドデータ 

    2022.03.23

  3. 2022年4月13日(水)Vaczine Analytics社ご紹介セミナー【オンライ…

    2022.03.01

  4. insights4webinar

    2022年3月16日(水)開催定例ウエビナー:ケーススタディで学ぶ「エ…

    2022.02.15

  5. アムジェン、第4四半期業績発表。全体として増収もエンブレルは減収

    2022.02.10

  6. 塩野義、新型コロナ経口薬、日本で早期承認取得検討。ファイザー治…

    2022.02.09

  7. ファイザー、新型コロナ経口薬パクスロビド売上220億ドル(約2.5兆…

    2022.02.09

  8. ワクチン未接種の死亡率、ブースター接種と比べて97倍にもなると米C…

    2022.02.07

  9. Libtayo

    サノフィとリジェネロン、子宮頸がん対象のLibtayoのFDA申請を取り…

    2022.01.31

  10. blood

    ギリアドのマグロリマブ併用投与の血液腫瘍対象の試験をFDAが一部保…

    2022.01.27

  1. 【ケーススタディ】10年後上市をめざす化合物の評価と価値最大化の…

    2022.02.21

  2. medinew

    2022年3月2日(水)オンライン開催:医薬品デジタルマーケティング…

    2022.02.16

  3. insights4webinar

    2022年3月16日(水)開催定例ウエビナー:ケーススタディで学ぶ「エ…

    2022.02.15

  4. 2022年2月24日(木)オンライン開催:1ヶ月かかっていた医師のリサ…

    2022.02.06

  5. 2022年2月16日(水)開催 無料オンラインセミナー:データを活用し…

    2022.02.03

  6. 米国市場進出への新しいオプション。コストを抑え、最速で新薬の上…

    2022.02.01