アストラゼネカ、新型コロナ抗体カクテル療法「AZD7442」長期有効性アピール

アストラゼネカが11月18日、AZD7442の新型コロナウイルス感染症を対象とした第3相PROVENT予防試験と第3相TACKLE外来患者治療試験の新たなデータで、長期間作用型抗体(LAAB)の筋肉内(IM)1回投与による高い有効性が示されていることを発表しました。

6カ月間追跡のPROVENT予防試験では発症リスクを83%低減

第3相PROVENT試験の8月に発表された一次解析では、5月9日をカットオフ日とする5172名の被験者を対象で、プラセボと比較して、新型コロナの発症リスクを77%削減していました。今回は、8月29日をカットオフ日とする6ヶ月間追跡の評価では、4991名の被験者を対象としています。

それによると、AZD7442を高リスク集団への単回投与において、新型コロナの発症リスクをプラセボ比較で中央値6カ月の追跡調査で83%減少させた試験結果を発表しました

本試験では、基準日時に新型コロナウイルス感染症に感染していなかった人を対象に、AZD7442またはプラセボのいずれかを無作為に決定し、単回筋肉注射を接種しています。参加者は引き続き15カ月間の追跡調査を受けます。

ハイリスクな人々に焦点した第3相TACKLE試験では88%の減少

また、第3相TACKLE試験の探索的解析結果も報告しました。その結果、AZD7442の単回投与により、治療時に3日以内の症状が確認されていた軽度から中等度の患者において、重度の新型コロナウイルス感染症の発症または死亡に至るリスクをプラセボ群と比較して88%減少させることができました。本試験に登録した参加者のうち90%は、合併症を持つ人や、感染した場合に重度のCOVID-19に進行するリスクの高い集団でした。

アストラゼネカは先月、本試験が主要評価項目を達成したと発表しています。AZD7442は、軽度から中等度の症状を有して入院していない成人を対象に、29日目まで重度の発症または死亡のリスクをプラセボと比較して半減させ、症状発現後5日以内に治療を受けた人では67%の減少となりました。

同社の発表によると、世界の人口の約2%にあたる人々はCOVID-19ワクチンに対して十分に反応しないリスクの高い集団であると考えられており、これらの人々には化学療法治療を受けている血液がんまたはその他のがんの患者、人工透析を受けている患者、臓器移植後に薬物治療を受けている患者、あるいは多発性硬化症や関節リウマチを含む疾患の治療のため免疫抑制剤を使用中の患者などが含まれています。

あらたに発表された結果について、アストラゼネカのバイオ医薬品研究開発担当エグゼクティブ・バイス・プレジデント(EVP)であるMene Pangalos氏は、「AZD7442は、1回の投与でCOVID-19の感染前の予防および治療の双方におけるベネフィットを第III相試験データで実証した唯一の長期作用型抗体です。これらの新規データは、COVID-19の予防および治療に大きな変革をもたらすAZD7442の可能性を裏付ける一連のエビデンスを増強するものです。当社は世界中で薬事承認申請を進めており、SARS-CoV-2に対する重要な新たな選択肢を可及的速やかに提供することを期待しています」とコメントしています。同製薬メーカーは、両試験の完全な結果は今後の医学会議で発表されると述べています。

課題の価格設定。商業的な価格設定の販売戦略を検討している

アストラゼネカは、パンデミック期間中、新型コロナウイルス感染症ワクチン「Vaxzevria」を無償で提供していましたが、同社のワクチン・免疫療法担当EVPであるIskra Reic氏は、AZD7442の価格設定に関して「商業的な価格設定の販売戦略を検討しています。それは各国政府との交渉の一部でもあります。」と述べていますしかし、Reic氏は、AZD7442が手頃な価格で広く利用されるようにすることが、同社の主な目的であるとも述べています。

欧米での今後の承認にむけた動きは?

アストラゼネカ社は、COVID-19の予防のためのAZD7442の緊急使用承認を求める要請書をFDAに提出し、米国政府に70万回分を供給する契約を締結しています。一方、欧州医薬品庁のヒト用医薬品委員会は、最近、本治療薬のローリングレビューを開始しました。

EMAのワクチン戦略責任者であるMarco Cavaleri氏は、「今後数週間、そしておそらく来年の初めには、AZD7442の販売承認に向けたプロセスの完了に向けた急速な展開が見られるだろう。」と示唆しました。

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