武田薬品のリブテンシティ、8億ドル超え予想も。移植後サイトメガロウイルス感染症対象でFDA承認

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武田薬品工業が3月24日、pUL97キナーゼ阻害剤「リブテンシティ(マリバビル)」が、臓器移植直後に発症する従来の抗ウイルス剤治療で効果が得られない12歳以上のサイトメガロウイルス感染症(CMV)患者対象でFDAから承認されたことを発表しました。今回の決定は、先月開催されたFDAの諮問委員会において満場一致で承認されたもので、武田社は、同薬はpUL97キナーゼとその天然基質を標的として阻害する経口投与可能な最初で唯一の抗CMV化合物であると述べています。日本国内においては、希少疾患指定され、サイトメガロウイルス感染/感染症を対象とした第3相臨床試験が進行中です。

武田薬品の米国事業統括責任者であるRamona Sequeiraは、経口抗ウイルス剤リブテンシティの承認を受けて「移植を受けた患者さんは、長く複雑な治療生活を送っています。リブテンシティは、TAK-620およびSHP620としても知られており、UL97キナーゼおよびその天然基質を標的とし、ウイルスのDNA複製、カプセル化、核の脱出を阻害します。」

移植後発生するサイトメガロウイルス感染症(CMV)とは?

CMVは、初感染、再感染あるいは再活性化によって起こる病態で、感染自体とと感染症は異なります。通常、幼小児期に多くの集団で不顕性感染の形で感染し、生涯その宿主に潜伏感染します。CMVは、通常体内に潜伏し、無症候性です。

しかしながら、免疫抑制期間中に再活性化する場合があり、免疫機能が低下した人では、重篤な疾患を発現する場合もあります。そのため、発症するケースとして移植後を含め、胎児(一部は先天性CMV 感染症患児として出生)、未熟児、AIDS患者、先天性免疫不全患者、また、免疫学的に正常であっても肝炎や伝染性単核症などを発症する場合があり、注意が必要です。

移植の場合、造血幹細胞移植(HSCT)や固形臓器移植(SOT)など移植の際に免疫抑制剤を受けることで免疫機能が低下しCMVの発症が見られます。1年あたり全世界で推定20万件の成人の移植の中で、推定発現率はSOTで発現が16~56%、HSCTで30~70%発現と推定されており、CMVは移植後に最もよくみられるウイルス感染のひとつです。

移植後の患者さんでCMVが再活性化すると、移植臓器の喪失などの深刻な結果に至る可能性があり、極端な場合では死に至ることもあります。

経口投与可能な抗CMV化合物はリブテンシティが世界で初

リブテンシティはpUL97キナーゼとその天然基質を標的として阻害する経口投与可能な抗CMV薬としては初の承認です。今回の承認は、5月に優先審査を受けており、第3相SOLSTICE試験のデータに基づいています。

移植後の成人患者と小児(12歳以上で体重が35㎏以上)における既存の抗ウイルス療法(ガンシクロビル、バルガンシクロビル、cidofovir(国内未承認)またはホスカルネット)に対して遺伝子型抵抗性(無しも含む)を示す難治性のCMV感染/感染症治療薬として米国において承認ています。欧州においては、欧州委員会からは、細胞性免疫障害を有する患者さんのCMV感染症の治療薬として希少疾病用医薬品指定を受けています。

ピーク時には8億米ドルを超える可能性も

第3相SOLSTICE試験では、8週目にCMVのウイルス消失が確認された患者は、従来の抗ウイルス療法を受けた患者の24%に対し、リブテンシティを投与した患者の56%で、主要評価項目を達成しています。

リブテンシティは、年間売上高がピーク時には最大8億米ドルを超える可能性もあり、治験では既存薬に比べて約2倍の有効性も示すデータもあり、画期的医薬品として指定も受けていました。

日本を含め、米国以外でも承認取得の協議中

武田薬品は、他の国での承認取得に向けて、日本を含め、世界各国の規制当局との協議を継続していると発表しています。また、造血幹細胞移植を受けた患者のCMV治療の第一選択薬として、現在進行中の臨床第3相試験を実施しています。

リブテンシティは、武田薬品が、2019年に620億ドルを投じたシャイアーを買収で得た化合物ですが、シャイアー社自身も2014年に42億ドルを投じてバイロファーマを買収した際にこの化合物を取得しています。

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