ロシュがポライビー(Polatuzumab vedotin)を含む治療レジメンのびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)のファーストライン治療を対象として行った臨床試験において病勢進行、再発、死亡の相対リスクを27%減少させたデータをASH(米国血液学会)に先駆けて11月23日に発表した。
第3相POLARIX試験での主要評価項目達成
ポライビーを含む治療レジメンは、抗CD79b抗体薬物複合体であるポライビーとリツキサン(リツキシマブ)+シクロホスファミド・ドキソルビシン・プレドニゾン(R-CHP)の併用療法で、第3相POLARIX試験において、主要評価項目である無増悪生存期間を達成したと発表しました。
この試験では、前治療歴のないDLBCL患者879名を対象に、ポライビーとR-CHPを併用する群と、リツキサン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾンを併用する群(R-CHOP)に無作為に割り付けました。その結果、2年間のPFS率は、R-CHOPでは70.2%であったのに対し、ポライビー併用療法では76.7%となりました。
無イベントでは有意性も、全生存期間では差がなかった。安全性は同等
副次評価項目である全生存期間(OS)については、治療群間で差はありませんでしたが、無イベント生存率は、R-CHOP群と比較して、ポライビー群の患者に有利であったとしています。
治療終了時に陽電子放射断層撮影法(Positron Emission Tomography-Computed Tomography)で測定された完全奏効率は、ポライビー群で78%、R-CHOP群で74%であり、有意差はありませんでしたが、無病生存率のデータから、ロシュの薬剤を投与された患者では「奏効がより持続した」ことが示唆されたとしています。
さらに、R-CHOP療法を受けた患者に比べて、ポライビー群では、放射線治療、幹細胞移植、CAR-T療法などの後続の抗リンパ腫治療を受けた患者が少なかったと述べています。
安全性については、重篤な有害事象(AE)および用量減少に至ったAEに関して、両群間でプロファイルが「同等」であり、また、末梢神経障害の頻度と重症度も両群で同等であったという。
米欧での承認されているポライビー併用療法
ポライビーは、2019年に米国で、少なくとも2つの前治療を受けたことのある再発または難治性DLBCLの成人患者の治療に、リツキサンおよびベンダムスチンとの併用で迅速承認を取得しました。また、欧州では昨年、造血幹細胞移植の候補とならない前治療歴のあるDLBCL患者を対象とした条件付き承認を取得しています。