新型コロナ治療候補薬アビプタジルの生存率データ発表でNRx社の株価39%上昇

NRx Pharmaceuticals社が10月14日木曜日、呼吸不全に苦しむ新型コロナウイルス感染症の重症患者に対する血管作動性腸管ペプチド(VIP)アビプタジル(Zyesami)を投与した患者の60日生存率を発表した。この発表によるとアビプタジル投与の患者群での生存率が81%であったのに対し、標準治療を受けた患者の生存率は21%であった。この発表を受けて同社の株価は39%もの急上昇を見せた。
この査読付きの結果は、Journal of Infectious Diseases and Treatmentに掲載されています。

VIP in the Treatment of Critical Covid-19 with Respiratory Failure in Patients with Severe Comorbidity: A Prospective Externally Controlled Trial

NRx社によると、今回の非盲検試験の患者は、呼吸不全を伴うCOVID-19の治療を目的としたアビプタジルの同社の第IIb/III相ピボタル試験に参加することができなかったグループで重篤な併存疾患に基づいて死亡リスクが最も高い患者群でした。被験者は2020年6月と7月に治療を受け、集中治療室(ICU)への入院後60日以上の追跡調査を受けました。NRx社は、同被験者グループは、2020年夏のパンデミックの際に、新型コロナウイルスで承認されたいたすべての治療法に患者が反応しなかったことも指摘しています。

劇的な治療効果

本研究では、継続して入院している重症患者21名を対象とし、アビプタジルの静脈投与による治療を行い、同じICUで最大の標準治療を受けた同程度の併存疾患を持つ患者24名と比較しました。

「アビプタジル」投与群では「多次元的な治療効果」が認められました。その結果、「アビプタジル」投与群では21人中17人が60日目まで生存したのに対し、対照群では24人中5人でした。

さらに、呼吸不全からの回復確率の累積でも9倍の優位性が見られました。また、当初ECMO(体外式膜による酸素供給)を受けていたアビプタジル群の患者5人中4人が除細動を受けたのに対し、ECMOを受けていた対照群の患者13人中3人が除細動を受けたとしています。

NRx社は、今回の研究では、2つの中間的な評価項目である呼吸窮迫比とサイトカインIL-6についてもアビプタジル投与群の優位性が示されたと指摘しています。これらの評価項目については、米国で実施された「アビプタジル」とプラセボの第IIb/III相無作為化比較試験において、有意差が認められています。

本臨床試験に関しての筆頭著者であるJihad Georges Youssef(ジハード・ジョルジュ・ユーセフ)医学博士は以下のように述べています。

「この研究は、アビプタジルがSARS-CoV-2ウイルスの致死的影響から肺を保護するという裏付けとなる証拠であると考えています」

血管作動性腸管ペプチド(VIP)アビプタジル(Zyesami)について

アビプタジルは、血管作動性腸管ポリペプチド(VIP)の合成物であり、肺の気嚢にある肺胞II型(ATII)細胞に特異的に結合します。NRx社によれば、前臨床の呼吸困難、急性肺損傷、炎症モデルにおいて、「強力な」抗炎症・抗サイトカイン活性を示しています。さらに、「最も重要なことは、VIPがATII細胞を刺激して、肺が血液と酸素を交換するために肺の内壁を覆う必要のあるサーファクタントを作らせることである」とし、「サーファクタントの喪失は、新型コロナウイルス感染症の特徴である呼吸不全と肺胞虚脱を引き起こす」と付け加えています。

アビプタジルは、FDAからファストトラック指定を受けており、現在、NRx社が、米国国立衛生研究所の生物医学機関の資金提供をうけ第3相試験を受けています。

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