アストラゼネカによる390億ドル(約4兆円強)のアレクシオンファーマの大規模な買収が完了したとの発表がアストラゼネカからありました。これにより、同社は、免疫治療領域での有利なポートフォリオと希少疾患での圧倒的な存在感を得ることができました。
2020年最大の業界での買収ニュース
業界関係者は、昨年2020年に発表された中でも製薬業界最大の買収案件であるこの買収が、民主党主導で強化された連邦取引委員会(FTC)の標的になるのではないかと懸念していました。しかしながら、4月に米国、7月初旬にはEUから承認を得て、このような懸念は払拭されました。
今回の買収完了は、アストラゼネカが2020年の約260億ドルからわずか4年で400億ドルの売上を目指すという野心的な目標を達成するための重要な足がかりとなります。
アレクシオンの大ヒット製品ソリリスと後続品ユルトミリスは堅調に売り上げを伸ばしている
アレクシオンファーマのC5阻害剤のブロックバスターであるソリリス(エクリズマブ)とユルトミリスの2つのアセットを獲得、この買収が完了で、アストラゼネカ社の財務的に60億ドルの売上増加がもたらされます。
ソリリスの後続品であるユルトミリスは発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)治療薬として2021年の中間点ですでに7億100万ドルの売上を計上しており、2020年の同時期に比べて48%売上が増加しているとアレクシオンファーマは最近の有価証券報告書で述べています。一方、ソリリスも、上半期の売上高は5%増加し21億ドルでした。
更なる拡大を買収を機に目指すアストラゼネカ
アストラゼネカは、短期的な収益の獲得だけではなく、それ以上のものを求めていると考えられます。同社は、アレクシオンファーマが2023年まで年率9%で成長すると予想しております。これはアレクシオンファーマの予測と一致しています。アストラゼネカの参加としてさらに高い収益を得る余地があるとの分析もあります。アレクシオンファーマはボストンに本社を置き、希少疾患に特化した新しいグループを設立する予定とのことです。
アストラゼネカのCFOであるMarc Dunoyer氏は、同社の取締役を退任する一方で、希少疾患部門のトップに就任します。一方、Dunoyer氏の後任に、アレクシオンファーマの現財務担当役員Aradhana Sarin氏が就任します。
希少疾患からより一般的な疾患への適応拡大を
Dunoyer氏はこの度の買収完了の発表の際に、以下のように述べています。
「アレクシオンファーマのプラットフォームをアストラゼネカの幅広い初期段階のパイプラインの分野で使用するとともに、アストラゼネカがすでに強力なプレゼンスを持っている市場に対して希少疾患治療薬を拡大する」
アストラゼネカは、これまで希少疾患のみを対象としていたにアレクシオンファーマのC5阻害剤を、悪性腫瘍、神経系疾患、呼吸器系疾患などのより一般的な疾患に使用できるようにしたいと表明しています。現在、アレクシオンファーマは、ソリリスが2025年にパテントを失うと予想される前に、ユルトミリスの適応症拡大追加することに取り組んでいます。
すでにPNHおよび非定型溶血性尿毒症症候群の治療薬として承認されている本剤は、全身性重症筋無力症(gMG)の承認に向けて試験を勝ち取っています。