Prime Medicine社は、7月13日、2019年末の設立以来、3億1500万ドルの資金を調達したことを明らかにしました。同社は、プライムエディティング技術を用いて治療法の開発を目的としています。今回の資金調達には、1億1,500万ドルのシリーズAの資金調達と、同社が設立約9カ月後の2億ドルのシリーズBの資金調達が含まれています。
Prime Medicine社のCEOであるKeith Gottesdiener氏は、「プライムエディティング技術は革新的で、遺伝性疾患の根本的な原因を解決することで、大きな成果を得ることができると信じています」と述べています。今回の資金調達は、肝臓、眼、生体外造血幹細胞、神経・筋疾患を対象としたプログラムなどの臨床適応に向けた「迅速な前進」と、プライムエディティング技術のプラットフォームの機能拡張に使用されるとのことです。
遺伝子を検索して置き換える機能
Prime Medicine社によると、プライムエディティング技術は、疾患の原因となる遺伝子配列をゲノム上の正確な位置で「検索して置き換える」ことを目的としており、細胞に不要な変化をもたらす二本鎖のDNA切断を引き起こすことはありません。
マサチューセッツ工科大学とハーバード大学のブロード研究所のデビッド・リュー氏とアンドリュー・アンザロン氏が開発したこの技術は、Casニッカーゼドメインと逆転写酵素ドメインからなるプライムエディタータンパク質と、ターゲティング配列と置換配列のテンプレートの両方を持つpegRNA(プライムエディティングガイドRNA)を用いています。
リュー氏はこの技術について、「CRISPR/Cas9やその他のプログラマブルな核酸分解酵素がハサミ、一塩基エディターが鉛筆だとすれば、プライムエディターはワープロみたいなものです。標的DNA文字列を検索し、編集済みのDNA文字列に正確に置き換えることができます。」
ターゲットのDNA配列が特定されると、プライムエディターはペグRNAの「置き換え(replace)」配列を使って逆転写酵素ドメインを活性化し、ペグRNAが運ぶテンプレートのDNAコピーを作成、修正されたDNA配列を作ります。Prime Medicine社は、この技術の汎用性から、既知の病気を引き起こす変異の90%以上に対応できる可能性があると述べています。
2019年には、同じくLiuの研究室から生まれたBeam Therapeutics社が、Prime Medicine社とプライムエディティングの研究開発を目的とした共同研究およびライセンス契約を締結しています。