【ケーススタディ】10年後上市をめざす化合物の評価と価値最大化の調査方法とは?

製薬会社にとって、開発初期での正しい道を選択することは、常に難しい決断です。今回ご紹介するエバサナ(EVERSANA:製薬業界に特化した米コンサルティング会社、www.eversana.com )のケーススタディは、そんな研究開発およびライセンス戦略に関わる人に向けた内容となっています。本ケーススタディにおいてクライアントからの要望は、10年後に上市を目指す自社開発品の価値を評価し今後の開発戦略に活用したいとの内容でした。

今回依頼の製薬企業は、自社での創薬に力を入れている中堅の製薬企業です。比較的新しい段階にある新規化合物の開発戦略に関するものです。クライアントの戦略としては、自社品に関しては国内では承認後の自社販売を目指し、海外に関しては導出するライセンス戦略をとっています。自国以外での営業拠点を持たないクライアントとしては、どのタイミングで、どのような条件でライセンス契約を結ぶかは常に重要な開発戦略と位置づけられています。

クライアントは、導出の準備として海外市場におけるクライアントの新規化合物の評価を調査 、最も有利な導出のタイミングと条件を導き出したいと考えております。しかしながら一方で社内においては、リスクはとるものの、自社で開発を継続するべきとの声もあり、判断が分かれます。「今すぐに、導出検討か?自社で開発を継続か?」このような課題に対して、エバサナはどのようなアプローチを提案したのでしょうか?

【ダウンロード資料】医薬品開発の投資リターンを最大化する方法とは?

ケーススタディ英文資料 +【日本語解説付き】
■ TPP(ターゲットプロファイル)はいかに活用するべきか?
■ 定性調査、定量調査、対象と規模は?
■ リスク分析の方法は?リスクの取り方は?
■ 不確定要素を踏まえた上でのフォーキャストとは?
■ リターンを最大化する意思決定とは?

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背景

中堅の創薬型製薬企業であるクライアントは、今後承認を予定する新規化合物を保有しています。今回対象としている調査地域は、欧州5か国と米国で、同地域における新規化合物を適切なタイミングでの導出を計画しています。

調査対象の新規化合物は、ユニークな作用機序から新たな医薬品として治療患者へのメリットをもたらす事が期待されています。対象の疾患は自己免疫性疾患で患者層は広く、効果の高い治療薬が数多く存在し、非常に競争が激しい疾患市場である一方で未だに解決されていない高い医療ニーズもあります。

クライアントは、自国以外の市場においては営業拠点も持たず、開発の経験もないことから、導出といったアライアンス戦略で、パートナー会社と共に、自社開発品の海外市場での承認、販売を目指しています。導出戦略をとることで、自社開発の初期投資を回収し、リスクも抑えることも出来ます。

目的

提出されたRFPでの本プロジェクトの目的は「自己免疫性疾患領域における開発初期段階の自社品の価値とリスクを評価、社内で意見が分かれている同開発品の今後の開発戦略の決定」でした。クライアントは開発初期段階にある自社アセットの価値とリスクを見極めて、もっとも適切な開発プランを決定したいと考えております。今回の調査により、以下のような情報が得られることを期待しています。

  • 対象となる自己免疫性疾患の現状と今後の市場動向を対象国において明らかにしたい
  • 対象疾患の市場は競争が激しい。今後の開発品の競合品状況と価格の動向を明らかにしたい
  • 開発戦略において、価値を最大化する課題に対して、わかれている疑問に関する回答を得たい。
    • 今後も継続して開発を進めるべきか?
    • 治験を見直すべきか?
    • 導出のタイミングはいつなのか?
  • アライアンス戦略の意思決定部門に対して、明確な判断基準の調査報告を提供したい
  • 10年後の上市時に自社品の機会の有無の確認

方法論

提出して頂いたRFPに対して、エバサナ社が提案をした方法論は、「10年後の疾患領域のシナリオ作成のうえ、KOL、ぺイヤーに対し、3種類のTPPに関する一次調査を実施して市場予測とNPV分析」をすることでした。

実施する調査としては、一次調査の前に詳細な二次調査を実施し、事前に市場の情報を収集します。その後、疾患領域の将来像と適切な対象への一次調査を実施するものです。クライアントとともに、社内で合意された3種類のTPPを作成、それぞれのTPPでのNPV分析、売上予測ならびにリスク分析を実施し、クライアントの目的である課題解決のための情報を導き出しました。

疾患のシナリオ分析

10年後の疾患領域の市場を想定するにあたり、適切なシナリオ分析が必要です。一方で、それらのシナリオは、現時点で予測することは非常に難しいため、エバサナでは重要ないくつかのファクターを選び、そのファクターの変動によるシナリオを策定しています。例えば、疾患市場における、競合状況、作用機序、価格状況などがそれにあたり、今後変化する状況ファクターと影響の大きさによりいくつかのシナリオを想定しています。

一次調査では定性および定量調査を実施

今回の調査の対象は各国のKOL/医師とぺイヤーと異なるバックグラウンドのグループが想定され、調査もサーベイ(定量調査)とインタビュー(定性調査)と2種類の一次調査の実施を提案しています。それぞれの調査では、対象に対して適切なディスカッションガイドを用意して調査を実施しています。

調査・分析の基礎となる調査を実施するにあたり、質問状(ディスカッションガイド)に関しては、共有された情報をもとにエバサナの担当コンサルタントがドラフトを策定、何度かに渡るクライアントのオンライン会議の後、クライアントの了承を得て、実施しました。定性調査はすべてエバサナのコンサルタントが電話もしくはウエブ会議システムを活用して実行しております。

調査の方法論の骨子は以下です。

  • 現状の対象自己免疫性疾患での治療実態とアンメットニーズ
  • 治療対象となる患者セグメントの分類
  • 治療方針を決定するうえで最も重要と考えるファクターを導き出す
  • 今後10年間の治療の変化への意見、トレンド
  • クライアントの治療薬の競争力、弱み、機会
  • 投与対象となると思われる患者グループの同定
  • 想定されうる価格設定

3つのTPPを評価、予測

本調査ではクライアントとともに、3つのTPPを策定しました。これらの3つのTPPは、Low, Base, Highの3つのケースに明確に分類されています。Baseケースは、想定されるであろうTPP、Lowケースは、どれほど悪くても達成できるレベルのTPP、そして最もベストな場合でかつ現実的なTPPをHighケースとして準備しております。

TPPごとの評価、分析、予測、モデル化

調査を実施し、最終的に各TPPでの予測モデルを作成します。各TPPにより、リスクや売上予測、NPVが異なり複雑なデータセットとなりますが、エバサナはもちろん、クライアントも明確な評価が出来るように調査内容と分析をわかりやすいようにまとめます。

モデルに関しては、プロジェクト開始のキックオフ直後から作成され、早い段階でクライアントに関してモデル自体の構成と使い方、アウトカムの説明を実施しております。エクセルを活用し、統計の専門家とシステムの専門家がモデル作成に携わります。プロジェクト終了後もクライアントがパラメーターの変更を加えることが出来るユーザーフレンドリーなモデルを提供します。今回のプロジェクトにおいても、モデルは、最終報告文書の一つとして提供しております。

導出か?開発継続か?エバサナ社の最終提案は?

finalanswer

今回の調査によって、クライアントの開発品が対象としている自己免疫性疾患における現状と今後の課題と市場動向が明らかになりました。想定した3つのTPPそれぞれにおいて、どのようなリスクが想定され、そのリスクの程度を明らかに示します。調査によって、この新規化合物の今後の開発の進め方によって、クライアントが想定した以上の価値が潜在的にあることも明らかになりました。

いくつからあるリスクにおいては、バイオシミラーを含め、価格戦略がリスクファクターとしても非常に高いことも認識されました。競合品が自社品よりも上市となることも、大きなリスクであり、開発のスピードが、この化合物の価値を高めるには重要なファクターであることが認識されました。一方で、上市のタイミングが競合品より早まることで、どの程度の機会となるのかも、具体的な数値で示されています。

これらの調査内容から、エバサナは、開発品の価値をより高めるためには、すぐに導入検討するではなく、臨床計画に比較試験を組み入れるなど若干の変更を加え、リスクを取るものの、自社での開発を進めた上で導出をすることで、開発品の価値を最大化できることを提案しました。これに対し、クライアントは、自社で治験をすすめ、これらの治験結果を加えることで、更に化合物の価値を高める開発プランを選択することを決めました。また、導出か、開発継続かの社内での議論に関しても、調査結果と分析内容をもとに、社内コンセンサスを取ることが出来ました。

いかがでしたか?

今回は、開発初期段階にある化合物の価値の評価と、その情報をいかに開発戦略に活用できたのか、エバサナの実際に提供したプロジェクトをケーススタディとしてお知らせいたしました。

初期の化合物はNPVでの価値の評価では、承認、上市のタイミングがずいぶんと先になるのでどうしても低く評価されがちですが、適切なライセンスを行うことは、自社の開発品の価値を最大化することでもあります。導出ありきでの開発にとどまらず、自社のアセットの価値を最大化する開発戦略の延長線上での導出を考えるクライアントが、適切な一次調査を踏まえた上でのリスクと売上予測をすることで、より強固なデータをもとに開発戦略の方向性を定めるためのプロジェクトをエバサナ社がサポートいたしました。

全世界の製薬・バイオ企業をサポートするエバサナ

エバサナは、米国本社のライフサイエンス業界にグローバルなサービスを提供するリーディングカンパニーです。バイオテック、製薬企業の方々のグローバル市場への進出のコンサルティングを提供、不確実性が高い海外市場においてリスクとコストを最小限に抑え、利益とバリューを最大限にする戦略コンサルティングファームです。臨床試験の申請、当局との交渉、パートナー探し、販売・プロモーションまで一括して海外進出をサポートしています。

同社の統合ソリューションは製品のライフサイクルのすべての段階を網羅しており、製薬・バイオ企業、患者、処方者、チャネルパートナー、ペイヤーに長期的かつ持続可能な価値を提供しています。製薬・バイオ企業を中心に500以上の会社・団体・組織にサービスを提供し、より健康的な世界のためのライフサイエンスソリューションを推進しています。なお、エバサナ社とInsights4は戦略的業務提携を締結しております。Insights4を通じて、エバサナ社への調査、コンサルの依頼も可能ですので、ご相談ください。

エバサナ社の本社サイトはこちらから>>> www.eversana.com

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