各々の患者の体内から造血幹細胞(HSC)を一旦預かってレンチウイルスベクターで手入れしてα-l-イズロニダーゼ(IDUA)遺伝子を発現できるようにして戻すOrchard Therapeutics社の投与1回きりの治療OTL-203がムコ多糖症I型(MPS-I)の約60%を占める病型・ハーラー症候群(MPS-IH)患者に有望な効果を示しています。
Ph1/2試験で8人がOTL-203治療を受けて少なくとも1年を経ています。それら8人の血中や脳脊髄液(CSF)でIDUA発現が増えており、MPS-I患者を傷めるグリコサミノグリカン(GAG)の尿やCSFでの量が減少しました。それらの検査値の改善にどうやら支えられて認知機能、運動、発育が正常範囲を維持しました。
Orchard社は承認申請前大詰め試験を今年中に開始します。繰り返し投与が必要なBiomarin/Sanofiの酵素補充薬Aldurazymeは血液脳関門(BBB)を通過できないことが泣き所ですが、OTL-203ではその心配はいらないようです。というのも、Orchard社の医学リーダーLeslie Meltzer氏によるとHSCはBBBを生まれつき通過できるようにできているからです。CNSに至ったHSCはマイクログリア様細胞に分化します。
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