コロナ禍だから生まれた世界の広告事例5選

新型コロナウイルスの流行によって日常生活は大きく変わり、マスク着用は当たり前の光景となりました。しかし、公共の場でマスクを付けていなかったり、正しく着用できていなかったりする人がいるのも事実です。そこで今回は、新型コロナウイルス感染症対策としてマスク着用を呼びかける広告・キャンペーンの海外事例から、ユニークな視点を持った5つをご紹介します。

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<事例1>これまでにない体験型広告で、正しい手洗いを啓発

スウェーデンの医療系人材紹介プラットフォームのMedpeopleが制作した、体験型の手洗い広告です。新型コロナウイルス感染症の予防には手洗いが重要ですが、間違った方法で手洗いをしている方も少なくありません。そこで、同社は正しい手洗いの方法をイラストで説明した雑誌広告を出稿しました。

実はこの広告は、単なる手洗いの説明広告ではなく、広告自体が紙石けんでできており、読み終わったあとにページを切り取ると実際に石けんとして使えるようになっているのです。インパクトや話題性も十分、「読んで理解する」だけでなく「すぐに体験できる」という手法は、広告の可能性を広げた画期的なアイデアといえます。

<事例2>権威あるメディアとして、真実を伝える報道の重要性を訴求

 

インターネット上には、玉石混交の情報が氾濫しています。新型コロナウイルス感染症関連においても、有益な情報だけではなく、誤解を生むような間違った情報を多数見かけるのも事実です。そのことを問題視したThe New York Timesは、「真実を伝える報道は、もっとも重要なインフラである」というメッセージを発信するテレビCMを制作しました。

「コロナウイルスは、悪性のインフルエンザではない」「コロナウイルスは、生物兵器ではない」「漂白剤が私たちを助けることはない」などと誤った情報を訂正しながら、「科学的に見ることが不可欠である」「ソーシャル・ディスタンスは私たちを救う」「確かな情報を得ることが私たちを救う」「真実を伝える報道は、最も重要なインフラである」と、正しい情報を選び取る必要性や、報道が重要なインフラであることを伝えます。誤った情報は、社会を疑心暗鬼にさせます。コロナ禍で不安が募る中、権威あるメディアがシンプルに力強く警鐘を鳴らしたことは、非常に意義がある取り組みだといえます。

<事例3>リアルなVRコンテンツで、コロナ禍で苦しむがん患者を支援

ルーマニアでは新型コロナウイルス感染症患者を受け入れるため、国内の多くの病院で集中治療室のベッドを開放しました。しかしそれによって、集中治療室を利用する終末期のがん患者(緩和ケア対象のがん患者)が病院を出なければいけなくなり、多くの方が従来通りに抗がん剤治療を受けられなくなりました。

そこで、ルーマニアのNGO、Hospice Casa Sperantei(終末期のがん患者に向けた緩和ケア治療を提供する団体)は、こうした患者への支援を呼びかけるためにVRコンテンツを制作。3DCGを使って集中治療室の内部を忠実に再現し、ユーザーがここを自由に歩き回れるようにしました。空間内には緩和ケアを受ける患者も登場し、「誰一人、がん患者が見捨てられてはいけない」「がんであることがその人にとっての重荷になってはいけない」「がんであっても、生きる望みは誰にも邪魔されない」といったメッセージもあわせて表示しました。

同コンテンツはSNSを中心に拡散され、Hospice Casa Speranteiは多くの人の支援によって約4,000人の患者をケアし、約5,000件の診察をリモートで実施するなどの成果をあげました。VRコンテンツの特性を上手に活用した事例です。

<事例4>ステイホームを挑発し、地球環境問題を訴える

コロナ禍とからめた地球環境問題の啓発プロモーション、という少し変わったアプローチもありました。英国では、感染拡大により外出自粛が呼びかけられた際に、メディアやSNSでは、「ステイホームすることで、あなたもヒーローになれる(=感染防止に協力することができる)」という言葉が広まりました。

それに対して、地球環境問題に取り組む同国の市民団体Extinction Rebellionは、「何もしないだけのあなたはヒーローではない」という挑発的なメッセージを盛り込んだ動画を制作。新型コロナウイルス感染症の前から(新型コロナウイルス感染症に関係なく)環境問題は地球規模の問題として存在している、行動しなければ何も変わらない、感染症問題だけでなく環境問題にも目を向けなければいけない、といったことを強烈に訴えました。目の前に大きな新しい問題があらわれると、従来の問題への関心が薄れてしまうのはよくあることです。それを逆手に取り、「従来の問題」を「新しい問題」とからめるアイデアは、「従来の問題(=環境問題)」への関心を高める効果的な手法といえます。

<事例5>感染症克服の歴史を通して、希望と勇気を与える

これまでも世界的な感染症の問題は数多くあり、人類はそれらを乗り越えてきました。この事実をもとに、新型コロナウイルス感染症にも必ず勝利できる、という力強いメッセージを届ける動画を、サウジアラビアを拠点に活動するNGO、Alwaleed Philanthropiesが制作しました。

「165〜180年:アントニン・ペストに耐えた」「1346〜1353年:黒死病にも耐えた」「1852〜1860年:コレラ大流行第3波を生き抜いた」「1959〜1980年:エイズと戦った」「2013年〜2016年:エボラ出血熱も、克服しつつある」とストーリーは展開し、人類はいつか必ず新型コロナウイルス感染症も克服するだろうと結びます。希望と勇気を与える情緒的な動画でありながらも、歴史(事実)をストーリーのベースにしているため、客観性のある説得力の高い内容となっています。

解決したい課題に真剣に向き合うことが大切

紹介した5つのどの事例にもいえることは、新しいアイデア(切り口)があるということです。

疾患を扱った広告・プロモーションは、どうしても「無難なアイデア・表現」になりがちです。そもそも広告の本来の目的は、見た人に気づきを与えたり、何かしらのアクションを起こしてもらったりすることです。無難なアイデアでは、それを達成できません。とはいえ、「無難でないアイデア=奇をてらったアイデア」ということでもありません。解決したい課題に向き合いながら真摯に丁寧に企画・制作することが、結果として新しいアイデア(切り口)を生み出し、人々に影響を与えるコンテンツとなるでしょう。

<参考>

<事例1>https://adgang.jp/2020/07/184180.html
<事例2>https://adgang.jp/2020/06/182874.html
<事例3>https://adgang.jp/2020/08/185079.html
<事例4>https://adgang.jp/2020/05/182664.html
<事例5>https://adgang.jp/2020/05/181695.html

出典

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