糖尿病性網膜症市場、10年後86億ドルにする成長要因は?

2029年には86億米ドル(主要9カ国)に達する糖尿病性網膜症市場

グローバルデータ社発行の最新のレポート「Diabetic Retinopathy – Global Drug Forecast and Market Analysis to 2029」によると、今後2029年まで世界の主要9ヶ国 (米国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国、日本、中国、オーストラリア)の市場において年平均9.1%に成長、86億米ドルに達すると発表されました。同社の最新の分析では以下のような予測と分析内容が明らかになっております。

  • 糖尿病性網膜症市場の市場規模は2019年から2029年の間に2倍以上へ
  • 新しい作用機序と非侵襲性の高い投与経路が臨床試験段階に
  • アンメットニーズとして早期患者向けの特定の治療法が無いことは
  • 頻繁な抗VEGF注射の負担を減らすことが重要な優先事項
  • 血管新生阻害剤の売上高は2029年に60億米ドルを超える

糖尿病性網膜症とは

糖尿病性網膜症は、糖尿病の合併症として発病します。糖尿病を発症してから数年~10年ほどで発病することが多く、目に起こる合併症として最も発病頻度が高い上に、放っておくと失明につながる恐れがあります。多くの成人の失明の原因とされていますが、治療により未然に失明を防ぐ事も可能です。症状により単純糖尿病網膜症、前増殖糖尿病網膜症(NPDR)、増殖糖尿病網膜症(PDR)の3段階があります。最も一般的な微小血管として糖尿病の合併症である患者の60%以上が、糖尿病を発症してから20年以内に糖尿病性網膜症を発症します。

軽度、中等度、および重度のNPDRの兆候には、微小動脈瘤、血管の腫れ、網膜出血、血管閉塞、および脈絡膜層への硬性滲出液の蓄積が含まれます。網膜に異常で新しく壊れやすい血管が成長することを特徴としています。これらの血管は漏れ、突然の重度の視力喪失を引き起こす可能性があります。
この異常な新しい血管は、網膜静脈を圧迫し、血流を遮断して、網膜静脈閉塞症(RVO)と呼ばれる状態を引き起こす可能性があります。また、糖尿病性黄斑浮腫(DME)は、黄斑が関与する糖尿病性網膜症の潜在的な合併症です。

2019年の市場

糖尿病性網膜症の患者数は、この度の調査対象の9カ国でも今後引き続き増え続ける見込みです。2019年では約1400万人とされている患者の数は年平均で2.44%で増え、2029年には1775万人まで増加するとレポートでは予測します。なお、2019年における対象9カ国の市場規模は36億米ドルと推計されています。

現在、糖尿病性網膜症の中で、重度の前増殖糖尿病網膜症が薬物療法で管理されています。糖尿病性黄斑浮腫と網膜静脈閉塞症の標準的治療法は、抗VEGF抗体(抗血管新生薬)療法です。
脈絡膜の新生血管は、体内の血管内皮増殖因子(VEGF)という物質の働きによって活発に成長します。VEGFに対する抗体を投与することで、脈絡膜新生血管の成長をおさえます。

最も頻繁に使用される抗VEGF薬は、ルセンティス(ranibizumab)とアバスチン(bevacizumab)、そしてアイリーア(aflibercept)です。ACE阻害薬は、高血圧と糖尿病性網膜症を併発する患者の治療に使用され、網膜静脈閉塞症(RVO)の治療にはIluvien (fluocinolone acetonide)、Ozurdex (dexamethasone)、MaQaid (triamcinolone acetonide)が投与されます。

今後10年間での市場の成長要因は患者の増加以外にも、主要な臨床的アンメットニーズへ対応する新薬、患者のコンプライアンスの向上、より長時間作用する抗血管新生製品、局所および経口薬候補の上市などいくつかの要素が挙げられます。

市場成長の要素と新たな開発品

今回新たに発行された新レポートでは糖尿病性網膜症の今後10年の市場の特徴としていくつかのポイントを挙げています。

  • 糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、および網膜静脈閉塞症向けにより長時間作用型の抗血管新生製品、局所薬、および経口薬の開発品の上市
  • 患者のコンプライアンスを高める非ステロイド性の眼用インプラントと経口DME製品の製造への注力。患者の頻繁な来院の必要性の減少
  • 抗VEGFの主要ブランドであるルセンティス、アイリーア、およびアバスチンのパテント切れの影響。バイオシミラーの発売
  • 糖尿病性黄斑浮腫は糖尿病性網膜症の中でも最も視力を失う可能性の高い合併症であり、高いアンメットニーズへの対応
  • 2029年に前増殖糖尿病網膜症向けで最も多く使われている医薬品は経口のBI-1467335と予測。BI-1467335の米国、5EU、日本、およびオーストラリアでの発売予測
  • 2029年の増殖性糖尿病性網膜症向けで最も売れている薬は、brolucizumabと予測。有効性と投与頻度が市場ニーズに合致

本調査レポートでは、今後10年間の市場分析にあたって以下の開発品にも注目しています。

  • Graybug Vision社のsunitinib malate CR
  • Addmedica社のhydroxyurea
  • Chengdu Kanghong社conbercept
  • Novartis社のLKA-651
  • 遺伝子治療のADVM-022

まとめ

いかがでしたか?2029年から2029年にかけて日本を含む調査対象9カ国において、糖尿病性網膜症市場は9.1%の年平均成長率で成長、36億米ドルから86億ドルと2倍以上の市場規模に達すると予想されています。

今回新たに発行されたレポートは、糖尿病性網膜症の主要9カ国を対象として、糖尿病性網膜症治療市場を、今後承認となる開発品を含めて治療薬の年ごと、地域ごとの売上予測、患者一人あたりの治療費、患者セグメントにおける治療薬の使用パターン (重度の非増殖性糖尿病性網膜症、増殖性糖尿病性網膜症、糖尿病性網膜症および網膜静脈閉塞症、糖尿病性網膜症および糖尿病性黄斑浮腫など) の市場分析、および予測情報を提供することを目的としています。将来予測に併せて、疫学予測、病因、病態情報、症状および診断、そして疾患管理など市場を構成する要素も収集、分析しています。

糖尿病性網膜症に対する市場は、ルセンティス、アイリーアといった現在牽引している治療薬の特許切れにも関わらず、新たな長時間作用型の抗血管新生製品、局所用および経口の開発品が上市されることで、アンメットニーズに対応、コンプライアンス改善も期待されることで今後も成長すると予測されます。

この記事は、グローバルデータ社の最新レポート「糖尿病性網膜症:世界の治療薬予測・市場分析 (~2029年) Diabetic Retinopathy – Global Drug Forecast and Market Analysis to 2029」で発表された市場予測レポートを元にInsights4 Pharmaが翻訳、編集し構成されています。

■ 出典

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