エーザイは、アルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」と胃酸分泌を抑制して消化性潰瘍を治療する「パリエット」などを有し、古くから海外進出を果たしている製薬会社です。
認知症治療薬「アリセプト(一般名ドネペジル)」は、ピーク時には約3,200億円もの売り上げを記録、アリセプトの特許切れ直前の2009年には総売上9000億円を超える規模でした。2010年に特許切れ後の「パテントクリフ」に苦慮し低迷、売上は4000億円台まで売上は落ち込みました。ここ数年は新たに成長、5年間で26%の成長を果たすも、国内でのランキングは21年時点で6位となっています。(「5年間の売上ランキング推移で見る日本の製薬会社を分析!成長のポイント4つ」)
エーザイは、買収や組織改革でこのパテントクリフを乗り越えようといくつかの施策を試みます。
2007年にはがん治療の抗体医薬を研究するモルフォテック社を買収、その翌年には、がん領域に強いアメリカのバイオ企業であるMGIファーマを買収してその研究成果を獲得しています。
2015年、「パリエット」を含む消化器領域の事業を分社化しました。資本金の6割を出資する形で味の素と合弁会社「EAファーマ」を設立し子会社とするなど、エーザイは事業活動をオンコロジー領域と神経疾患領域に集中させる、大胆な組織再編を行っています。
注力していたオンコロジー領域での新薬が新たなエーザイの成長を牽引しています。「ハラヴェン」が2010年、「レンビマ」が2015年に承認されましたが、レンビマは、承認から4年でブロックバスターに成長し、さらに、ピーク時の売上は5,000億円を目指す大型製品への成長が期待されています。
レンビマは、エーザイ創薬の抗がん剤で、米メルクと共同開発(2018年提携)を進めています。レンビマの単独療法に加え、米メルクの持つ癌免疫療法の抗PD-1抗体キイトルーダとの併用療法で多くの癌腫を対象として共同での開発が進んでいます。腎細胞がん、子宮体がんなどで各国で承認、10種類以上の癌腫を対象として開発が続けられています。
レンビマの2015年から発売後、エーザイの総売上が、2017年度には6000億円、2021年度は7500億円まで上昇、レンビマの成長への貢献が顕著にわかります。まさに、エーザイ復活の象徴と言える製品と言えます。
もう一つの注力領域である「神経疾患領域」でも、ここ数年大きな関心を集めています。アンメットニーズが非常に高いアルツハイマー病を対象とした医薬品の開発です。
エーザイが、バイオジェンと共同開発した「アデュヘルム(アデュカヌマブ)」が2021年にFDAに迅速承認されました。アリセプト以降アルツハイマー病に対する有効な医薬品は全く承認されていませんでした。アリセプト以来とのことで期待されましたが、有効性と年間コストに対して医師や専門家から疑問の声が上がり普及の道は途絶えています。
そのような中で、同様にバイオジェンと共同開発をしているアルツハイマー病治療薬「レケンビ(レカネマブ)」が2023年初頭に米国で承認、日本でもエーザイが承認申請をしています。将来の大型製品への期待がかかりますが、まだ未知数の部分もあり、今後の動向が注視されます。
[acf field=”name”]: 会社概要
会社名(英語表記) | [acf field=”name_e”] |
国 | [acf field=”country”] |
本社住所 | [acf field=”hq_address”] |
本社サイト | [acf field=”hp_url”] |
グローバルでの売上 | [acf field=”sales”] |
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設立 | [acf field=”established_in_japan”] |
代表 | [acf field=”ceo”] |
資本金 | [acf field=”capital”] |
上場 | [acf field=”stock_market”] |
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[acf field=”name”]:主力製品(売上順)
医薬品名 | 対象領域 | 売上高 |
レンビマ | オンコロジー | 1.339 億円 |
ヒュミラ | 関節リウマチ | 520 億円 |
ハラヴェン | オンコロジー | 376 億円 |
メチコバール | 末梢神経障害 | 342 億円 |
フィコンパ | てんかん | 267 億円 |
アリセプト | アルツハイマー型認知症 | 263 億円 |
イノベロン | てんかん | 220 億円 |
リリカ | 疼痛 | 215 億円 |
出典:同社ホームページ(21年3月期)
[acf field=”name”]:売上・従業員数・年収・採用情報
日本での売上 | [acf field=”sales_in_japan”] |
従業員数 | [acf field=”employees”] |
平均年収 | [acf field=”average_salary”] |
平均年齢 | [acf field=”average_age”] |
平均勤続年数 | [acf field=”average_year”] |
公式採用情報へのリンク | [acf field=”job_url”] |
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ランキング・カテゴリー情報
世界売上ランキング *1 | [acf field=”ranking_in_the_world”] |
日本企業売上ランキング *2 | [acf field=”sales_ranking_in_japan”] |
日本国内での売上ランキング *4 | [acf field=”sales_ranking_in_japan_market”] |
日本国内年収ランキング *3 | [acf field=”salary_ranking”] |
参照
*1:世界売上高100億ドルを超える製薬会社25社の業績(2021年12月期、一部の日本企業は22年3月期、豪CSLは21年6月期)を集計した世界の製薬会社売上ランキング・出典は、製薬業界特化の転職サイト・エージェントの「アンサーズ」が運営するメディアアンサーズニュースの「【2022年版】製薬会社世界ランキング」
*2:東証プライム上場の主要製薬企業41社(製薬が本業でない企業が手がける医薬品事業を含む)の直近の決算を集計(22年3月期を中心)した製薬企業の売上ランキング。出典は、製薬業界特化の転職サイト・エージェントの「アンサーズ」が運営するメディアアンサーズニュースの「【2022年版】国内製薬会社ランキング」
*3: 有価証券報告書を公表した国内の製薬会社。新薬メーカー、後発品メーカーやOTCメーカー、バイオベンチャーら85社対象。出典は、製薬業界特化の転職サイト・エージェントの「アンサーズ」が運営するメディアアンサーズニュースの「【2022年版】製薬会社年収ランキング」
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