製薬業界の最新ニュースと解説

【2020年9月版】製薬大手 抗がん剤パイプライン(1)ロシュ・ファイザー・ノバルティス

ONCO Pipline 2009 Eye (1)

AnswersNewsは、「製薬業界で話題のニュースがよくわかる」をコンセプトに、製薬業界に関するさまざまなニュースをわかりやすく解説するニュースメディアです。

市場拡大が著しく、開発競争も熾烈ながん領域。製薬大手の後期開発パイプラインをまとめました(全5記事。この記事は半年をめどに更新していく予定です。)。

パイプラインは調査時点で各社がホームページで公表していた情報に基づく。いつ時点の情報かは会社によって異なるため、承認・申請など直近のイベントが反映されていない場合もある。

スイス・ロシュ

免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-L1抗体アテゾリズマブ(製品名・テセントリク)は、肝細胞がんと非小細胞肺がん(ともにファーストライン)で申請中。尿路上皮がんやトリプルネガティブ乳がんなどの適応で臨床第3相(P3)試験を進めています。MEK阻害薬cobimetinib(Cotellic)や抗TIGIT抗体tiragolumab(開発コード・RG6058)などとの併用療法も開発中。TIGITはT細胞やNK細胞(ナチュラルキラー細胞)に発現する免疫チェックポイント分子で、抗TIGIT抗体は新たな免疫チェックポイント阻害薬として期待されています。

新規候補化合物では、がん細胞の増殖に関わるPI3K/Akt経路に作用する薬剤として、AKT阻害薬ipatasertib(RG7440)とPI3Kα阻害薬RG6114を開発中。ipatasertibは、2020年中に去勢抵抗性前立腺がんとホルモン受容体陽性乳がん/トリプルネガティブ乳がんで申請予定です。

米ファイザー

独メルクと共同開発する抗PD-L1抗体アベルマブ(バベンチオ)は、尿路上皮がんの1次治療を対象に欧州と日本で申請中。米国では20年6月に承認されています。非小細胞肺がん対象にP3試験を行っているほか、TLR9アゴニストCMP-001やPARP阻害薬talazoparib(Talzenna)との併用療法も開発中。talazoparibは、去勢抵抗性前立腺がんを対象にエンザルタミド(イクスタンジ)との併用療法でP3試験を行っています。

CKD4/6阻害薬パルボシクリブ(イブランス)は、早期乳がんへの適応拡大に向けた開発が大詰め。SMO拮抗薬glasdegib(Daurismo)は急性骨髄性白血病と骨髄異形成症候群を対象に開発を進めています。

ファイザーは、現在P3試験を行っているプロジェクトに、3つのがん種を対象としたBRAF阻害薬エンコラフェニブ(ビラフトビ)とMEK阻害薬ビニメチニブ(メクトビ)の併用療法などを加えた14の治療法について、2025年までの承認取得を目指しています。このうち、新規候補化合物でP3試験入っているのは抗PD-1抗体sasanlimab(PF-06801591)で、筋層非浸潤性膀胱がんの適応でBCGとの併用療法を開発中です。

スイス・ノバルティス

PI3Kα阻害薬alpelisib(Piqray)は、米国に続き、20年7月に欧州でも乳がん治療薬として承認されました。日本ではP3試験を行っています。次に申請を控えるのは、米エンドサイト買収で獲得した放射線医薬品の177Lu-PSMA-617。前立腺がんの適応で2021年の申請を目指しています。

一方、今年中の申請を目指していた抗PD-1抗体spartalizumabとBRAF阻害薬ダブラフェニブ(タフィンラー)、MEK阻害薬トラメチニブ(メキニスト)の3剤併用療法は、悪性黒色腫を対象に行ったP3試験で主要評価項目を達成できなかったと今年8月に発表されました。

世界初のCAR-T細胞(キメラ抗原受容体発現T細胞)療法として17年に承認されたチサゲンレクルユーセル(キムリア)は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫などへの適応拡大に向けた開発が進んでいます。

血液がんではこのほか、BCR-ABL阻害薬asciminib(ABL001)が慢性骨髄性白血病で、抗TIM3抗体MBG453が骨髄異形成症候群でP3試験が進行中。いずれも2021年の申請が目標です。日本では、マルチキナーゼ阻害薬midostaurin(Rydapt)もFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病の適応でP2試験の段階にあります。

(亀田真由)

コメントを残す