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ポリジェニックリスクスコアで薬剤性肝障害を予測「新薬開発の成功確率高める可能性」

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は稀で、かつ予測が非常に難しい」ため、しばしば新薬の開発中止や市場からの撤退につながると説明した。彼がロイターヘルスに電子メールで述べたところによると、それは患者を失望させるだけでなく、製薬会社の財務リスクにも大きな影響を与える。

武部氏らは、ネイチャー・メディシンに掲載された論文で、iDILIC(Drug-Induced Liver Injury Consortiu)とDILIN(Drug-Induced Liver Injury Network)が行ったゲノムワイド関連解析研究で、複数の異なる薬剤による薬剤性肝障害に関連するいくつかの有意なバリアントが同定されたことに注目している。

しかし、それぞれのバリアントにはそれほど高い予測効果はない。そこで研究者らは、ゲノムワイドな遺伝子座の影響を集約することで、2万以上の遺伝子バリアントを考慮に入れたポリジェニックリスクスコアを開発した。

研究者らは、このスコアについて「ドナーから得たiPS細胞由来肝オルガノイドと、実際に薬剤性肝障害が報告された▽Fasiglifam▽Flucloxacillin▽Amoxicillin-Clavulanate―の3つの薬剤の臨床試験データを使って検討したところ、ポリジェニックリスクスコアが薬剤性肝障害に対する感受性を予測できることが示唆された」と述べている。

「プレシジョン・メディシンの好例」

経路解析では、小胞体ストレスや酸化ストレスなど、これまで示唆されていたプロセスが強調された。さらにスクリーニングを行ったところ、ポリジェニックリスクスコアが上昇している人の肝細胞に見られるトランスクリプトーム・シグネチャーを引き出す化合物も特定した。このことは、メカニズム的な関連性を示唆しており、新薬候補の安全性を確認するための新たなスクリーニングとして利用できると、研究者らは述べている。

武部氏は「製薬会社が前臨床開発の一環としてオルガノイド試験をin vitroで採用すれば、薬剤性肝障害のリスクを最小限に抑えて臨床試験の成功確率を高めることができるかもしれない」と結論付け、「ポリジェニック遺伝子診断によって、個々人の薬剤性肝障害のリスクを予め知ることができる可能性がある」と付け加えた。

肝臓を専門とするイェール大医学部の岩切泰子博士は、ロイターヘルスの取材に対し「これは非常に革新的で、エレガントでエキサイティングな研究だ」と電子メールで語った。彼女は「武部氏らのグループは、薬剤やサプリメントの重大な副作用である薬剤性肝障害を発症するリスクが高い人を予測できる可能性があるゲノムプロファイルを同定した。この発見は、毒性を最小限に抑えた薬剤の開発にも役立つ。プレシジョン・メディシンの素晴らしい例だと思う」と述べた。

この研究は一部、武田薬品工業から資金の提供を受けている。武田氏は武田薬品から支援を受けており、複数の著者は同社の従業員である。

出典:Nature Medicine(オンライン)https://www.nature.com/articles/s41591-020-1023-0、2020年9月7日。

(David Douglas、翻訳:AnswersNews)

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