製薬業界の最新ニュースと解説

組織のサイロ化が阻む製薬企業のデジタル戦略

Shutterstock 682694722 326×210

Insights4 Pharmaは、「海外の製薬業界トップニュースの解説」をコンセプトに、全世界で話題と注目の製薬業界ニュースをピックアップ、提供します。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行により、労働慣行が根本から変わり、デジタルソリューションが急速に拡大しています。製薬企業はデジタル戦略での成功のために実効性のあるデジタル戦略の実行が今まで以上に求められています。

一方で、製薬企業としての従来のビジネスモデルがこのデジタル戦略の効率の高い実行を妨げているとの報告もあります。今日ご紹介のブログは、Firstword Pharma社が新型コロナウイルスのパンデミックによりあらゆる業種、業態が通常の業務を遂行できなくなる状態の中で、製薬会社のデジタル戦略に関して、大手製薬企業のデジタル部門の担当者へインタビューを実施、製薬企業にとっていかにデジタル戦略を成功裏に実行するのか、調査をしております。
その方法と課題を模索したレポート「デジタル戦略成功のためのKPI:製薬企業が取るべき指標とは?」の一部を翻訳、再編集してお届けいたします。

実証できる指標であるKPI(キーパフォーマンスインディケーター)の必要性

製薬企業にとってもデジタル戦略は今後の成長のための重要な戦略の一つであり、他業種からの引き抜きでCDO(Chief Digital Officer)を設けデジタル部門の統括の試み、GAFAを始めとしたデジタルにおけるグローバル企業との提携など製薬業界でもデジタル戦略は不可欠といえます。一方、製薬企業自身が今後どのようにデジタル戦略を構築し、実践していくのかは未知の領域であり、今後も模索が続くものと思われます。

戦略の進捗確認のためのKPIもデジタル戦略での活用はまだ

戦略の実行と評価をするために指標をKPIとして設けることは、多くの製薬企業でも一般的に活用されています。デジタル戦略においても、デジタル技術やデジタルアプリケーションが、マーケティングや顧客エンゲージメントから医薬品開発やサプライチェーンに至るまで、製薬業界の様々な側面に組み込まれている今、製薬企業は真のインサイトを示し成功を実証できるKPIを設定する必要性に迫られています。

しかしながら、実際の活用の場合、まだまだ試行錯誤が続いているようです。

例えば、「ビッグデータ」とそれに関連する人工知能(AI)や機械学習(ML)技術の成長により、処理しきれないほどのデータが生成されることで、KPI分析をすることで業務に負荷がかかりすぎる危険性があります。そのため、有益なインサイトを得ることを期待して何から何まで分析・評価することは、長期的に見たばあい、費用対効果もはっきりせず、効率の高い方策では決してありません。

デジタル戦略のベストプラクティスの共有を妨げる本来業務の組織構成

デジタルマーケティング戦略の効果を測定する上で最大の課題とは、企業組織においてサイロ化された各部門が情報共有することなく、部門ごとにバラバラに戦略を立ててしまうところにあります。Ferring Pharmaceuticals社のArpita Pani氏は、従来の製薬企業としての組織の構成と情報の共有がデジタル戦略の成功を阻害していると述べています。

「製薬企業の各部門のサイロ化は、部門間の横軸の連携を遮断し、ベストプラクティスの共有をストップさせます。結果として部門ごとに似たような戦略が乱立することになるのです。」

このようなベストプラクティスの共有は未知の分野であるデジタル戦略においては有効に機能をすることが求められますが、なかなか従来の医薬品の研究、開発、そして販売することを目的とする組織の構成自体が新しいデジタル戦略による実行を妨げているようです。

これを解決するためには、企業はすべての部門が連携することのできる全社的なビジネス目標を設定する必要があり、そのような施策をすることで、目標達成のための包括的なデジタル戦略を立てることができるようになると、Peni氏は述べています。

ウエブを使った上市戦略が一気通貫になっているのか?

様々な要素があるデジタル戦略の活用ですが、同氏は一つの例として新商品が発売に向けてウエブサイト、SNSなどのチャンネルを活用し、上市の際に効果を最大化するようなデジタル戦略を取るべきと述べています。

「例えば、5つの異なる製品を持つ企業がそれぞれのブランドのウエブサイトを別々に作成するということがあるでしょうが、ヘルスケア企業なら、5つの製品を網羅する1つのポータルサイトを特定のヘルスケアユーザーを対象として作成することで、より一貫したエクスペリエンスを提供することができます。」

「こうすることで、法令遵守や戦略成否の測定、またグローバルおよびローカルの規制遵守の管理がより容易になるだけでなく、長期的なデジタル、マルチチャネルおよびオムニチャネル要件を考慮した体制を整えることができるようになります。」

全社的なビジネス目標を設定しその実行をするためにデジタル戦略を構築、実践することで、将来的に新製品を発売する場合では、既にオーディエンスがおり、、ウエブサイトを活用して情報を収集する人の数と効果を最大化しなければデジタル戦略の成功とは言えません。

製薬企業のデジタル戦略を統合、提供することが、成功する上で非常に重要だと考えます。そのためには、全社で共有できる適切なKPIを設定し、情報、ベストプラクティスの情報共有を促し、サイロ化を防ぐことが効果的です。

参照の英文報告書

タイトル:【英文報告書】デジタル戦略成功のためのKPI:製薬企業が取るべき指標とは?
Title:Measuring Digital Success in Pharma: Essential KPIs

  • 発行月:2020年5月
  • 発行会社:Firstword Pharma社
  • シングルユーザーライセンス 3,295米ドル
  • 複数ユーザーライセンス  7,995米ドル

本レポートの資料請求はこちらから>>>