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オプジーボとヤーボイ併用のCheckMate-214試験のトップラインデータ発表。がん免疫療法の併用に関しての論議がより一層複雑に

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はじめに

腎細胞癌を対象とした第3相CheckMate-214試験で、オプジーボ(ニボルマブ)とヤーボイ(イピリムバブ)の併用に関してのトップラインデータがブリストル・マイヤーズ・スクイブ社から8月15日に発表されました。 このデータを受け多くのアナリスト、メディアでは、現時点での様々な評価をしています。

特に二つの主要評価項目に関しては評価結果が分かれています。無増悪生存期間(PFS)に関して、対象のスーテントに対して大幅な改善が見られなかったとの評価(オプジーボ/ヤーボイ併用11.56ヶ月、スーテント8.38ヶ月)の一方で、全奏効率(ORR)では、主要評価項目を達成(オプジーボ/ヤーボイ併用41.6%、スーテント26.5%)しております。今回のCheckMate-214試験のトップラインデータの発表で免疫療法の併用に関しての議論と評価はより一層複雑なものになりそうです。

がん免疫療法を中心に多岐にわたる併用オプション

がん免疫療法の併用療法はいくつかの臨床試験がなされており、すでに臨床結果が発表されている試験もあります。

多くのがん治療領域のプレーヤーが、がん治療領域で次のステップでの戦略的な優位性を得るため、がん免疫療法との併用療法を競争の場として選択、臨床試験を様々な腫瘍を対象に行っています。 がん免疫療法と化学療法、免疫療法などパートナーの併用オプションは多岐にわたります。

今回のブリストル・マイヤーズ・スクイブ社のCheckMate-214試験では、複数のがん免疫療法(I/O)薬を併用して患者の免疫系を高度に亢進させる方法もその併用オプションの1つです。 このような併用の試みで、個々のがんに対して従来の治療法と比較して大幅な改善を示し最適な薬剤の組み合わせを特定した製薬企業は、確実に利益も得られるとはずです。また、多くのステークホルダーもその結果に期待をしております。

この目標に向けた業界の最初の試みはPD-(L)1とCTLA-4の組み合わせで、なかでもブリストル・マイヤーズ・スクイブ社のオプジーボとヤーボイ、そしてアストラゼネカ社のImfinzi(デュルバルマブ)とトレメリムバブが挙げられます。現時点で得られている3件の第III相試験のは、課題がいくつか残る結果となっています。

転移性メラノーマ: オプジーボとヤーボイの併用

ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社のCheckMate-067試験では、転移性のメラノーマに対してオプジーボとヤーボイの併用に関しての臨床試験を実施しております。この試験において、転移性メラノーマに対するフロントライン治療としてオプジーボとヤーボイを併用した場合、いずれか単剤の場合と比較しても死亡リスクが低下する結果を得ることが出来ております。

一方で安全性の問題が増加し、2剤併用群では59%の患者でグレード3/4の治療下で発現した有害事象が認められたのに対し、オプジーボ群では21%、ヤーボイ群では27%でした。なお、メラノーマに対するオプジーボとヤーボイの併用は2015年10月にFDAに承認されております。

非小細胞肺癌:Imfinzi(デュルバルマブ)とトレメリムバブの併用

先月、アストラゼネカ社は、プラチナ製剤による化学療法と比較した第III相MYSTIC試験で、Imfinziとトレメリムバブの併用による非小細胞肺がん(NSCLC)のフロントライン治療の臨床結果を発表いたしております。

アストラゼネカ社によると、複数の主要評価項目の一つである無増悪生存期間(PFS)は達成出来なかったと発表しております。 同社は、この臨床試験においてImfinziとトレメリムバブの併用がもう一つの主要評価項目である全生存期間を達成することを依然として望んでいます。

腎細胞癌:オプジーボとヤーボイの併用

免疫療法の併用療法の臨床試験の3つ目の結果が先日8月15日にブリストル・マイヤーズ・スクイブ社からCheckMate-214試験のトップライン結果が発表されました。
この腎細胞癌を対象とした臨床試験では、オプジーボとヤーボイの併用をスーテント(スニチニブ)と比較しております。その結果、主要評価項目の一つである全奏効率(ORR)を有意に改善したが、他方の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)においては、大幅な改善データは得られなかったものの「有望な」傾向がみられた(HR=0.82, p=0.03)と発表しました。

また、アストラゼネカ社のMYSTIC試験の結果を受けて、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社は、3番目の主要評価項目である全生存期間(OS)のデータが完全に得られるまで試験を継続する方針を述べております。
ClinicalTrials.govの情報によると、これらの結果は2019年に得られる予定ですが、同社はイベント発現数の達成が予定より早まれば、より早期にデータが得られ、発表するとしております。

難しい判断。メディア、アナリストの評価

Bernstein社のアナリストTim Anderson氏は、CheckMate-214試験の結果をうけて 、「ワーストケースシナリオからはほど遠く、実際に販売承認申請の基盤となり得る」との肯定的な見解を示しました。

「これらの結果に対する投資家の考えは分かれる可能性が高いが、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社が現時点のデータを基に併用レジメンの承認を取得できるかどうか熟考する価値がある。Bernstein社の見解として、承認取得が可能だと考えています。無増悪生存期間 (評価項目は達成はできなかったが)は、腎細胞がんのファーストライン治療に対するFDAの完全承認を得るための評価項目として許容できる範囲であると判断します。FDAが好意的であれば、持続性を有する全奏効率 、無増悪生存期間の有望な傾向は迅速承認の基盤となり得る」
と同氏はさらに述べた。

一方で、Evercore ISIのUmer Raffat氏は、現時点で得られているCheckMate-214試験の結果を基にブリストル・マイヤーズ・スクイブ社が併用レジメンの承認を取得する見通しは低いと分析しています。

「FDA承認の裏付けには全奏効率のデータが使用されているものの、通常は、難治性の治療レジュメンの裏付けの場合に限られています。実際のところ、 ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社が中間結果を基に適応拡大を図ることを期待しておらず、むしろ全生存期間(OS)の結果を待つのではないか。」と同氏は述べています。

オプジーボ・ヤーボイ併用レジメンの今後。肺癌対象のCheckMate-227への期待は?

CheckMate-214試験のトップライン結果にはまだわからない点もあります。オプジーボ・ヤーボイ併用レジメンの安全性プロファイル、およびPD-L1発現と有益性の関連の有無です。ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社は、どの学会で詳細結果を開示するかなどまだ明らかにはしていません。これらの情報も待たれるところです。

2018年前半にはNSCLCのフロントライン治療としてオプジーボとヤーボイを評価した第III相CheckMate-227試験の結果が発表される予定です。この臨床試験の結果には、高い期待が寄せられていますが、多数の投資家は間違いなく今回のCheckMate-214試験の結果をCheckMate-227試験の結果に当てはめようとすると思われます。

Raffat氏は、 オプジーボとヤーボイの併用が肺がんで成功するチャンスが得られる可能性を示し、概ね楽観的に捉えています。しかしながら、今週の結果からは最低限の解釈しかまだできないと考えています。

「このCheckMate-214の臨床結果がオプジーボ・ヤーボイ併用の有効性を示しているとみなす必要があると考えています。 もちろん、無増悪生存期間(PFS)の結果が有望であればなお良いが、敢えて解釈するならば、概ね楽観的に捉えています。このプレスリリースからCheckMate-227試験の結果までを悲観視する必要はないだろう」

「ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社は引き続き腎細胞癌とさらにほかの癌腫への適応に対してオプジーボ・ヤーボイ併用に積極的にすすめるでしょう 」と同氏は述べております。