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セルジーン社、Beigene社との提携発表の次の一手は?併用療法のコンビネーションは?

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さらに続くPD-1阻害剤のレース

先日7月6日に破竹の勢いであったメルク社のキイトルーダが多発性骨髄腫の臨床試験の中止を発表し、唯一と言っていい弱みをみせたばかりですが、決してPD-1阻害剤への関心はまだまだ下がらないようです。
同日の7月6日にセルジーン社がBeiGene社とPD-1阻害剤に関して戦略的提携を発表しました。この提携は両社にとり非常に前向きな提携であるとしておりますが、ひとつの疑問が残ります。

セルジーン社はおそらくBeiGeneのPD-1阻害剤BGB-A317との併用療法での開発をすすめると思いますが、果たしてどのような併用オプションを選択して、どのような開発戦略を選択するのでしょうか?

契約では、セルジーン社がBeiGene社に一時金2億6,300万ドルに加え、BeiGene社のBGB-A317の販売権(日本を除くアジア地域はBeiGene社が維持)をマイルストンおよびロイヤリティを最大9億8,000万ドルで得ることになります。
BeiGene社は、Revlimid、Abraxane、Vidazaなどのの中国での販売権を得ることになり、 セルジーン社はさらにBeiGene社の株式の5.9%を1株あたり59.55ドルで取得する予定で、今年Q3中に取引を完了させる意向を明らかにしました。

セルジーン社の今後の開発戦略は?

セルジーン社はすでにPD-1阻害剤のレースには参加をしています。しかしながら、アストラゼネカ社のImfinziの多発性骨髄腫を含む血液腫瘍での共同開発のみで、遅れをとっています。当時、Imfinziは血液腫瘍での開発を始めたばかりですが、BeiGene社は、尿路上皮癌のピボタル試験において中国において最初の患者への投与を開始したと発表するなど、BeiGene社のBGB-A317が開発において先手を行っております。

BeiGene社は、同社の抗体は Fc受容体へ特殊な技術を施しており固形癌に対する効果でキイトルーダ、オプジーボとも差別化できるとしています。このBGB-A317の製品の競争力の潜在性は踏まえる要素とはするものの、現時点ではセルジーン社がどのように併用療法をすすめていくのかが最も重要な要素です。
セルジーン社は今回の提携では併用に関しての具体的な計画は開示しておりません。

BeiGenen社は、単独療法とBGB-290(自社のPARP阻害剤)との併用で固形癌向けの臨床試験を実施しております。

6月のASCOで発表されたアブストラクトによると、併用療法では38の患者の中で、8人からのレスポンスを得ることが出来たと発表、単独療法では、27名の腎細胞癌の患者から12人からレスポンスを得たと発表しています。

Evercore ISI社によると、PARP阻害剤がライセンス契約の中で省かれていることは最も聞きたい質問の1つであるとしています。また同社はセルジーン社の現状、また今後の開発計画も示されていないとしています。もちろんセルジーン社としては、PARP阻害剤との併用に限らず同社の保有する製品、開発品との併用もあり、PARP阻害剤以外にも多くの可能性が考えられます。

先日のキイトルーダの多発性骨髄腫でのつまずきをみて、BeiGeneが差別化を最大限にする癌腫領域としてセルジーンとしても血液腫瘍領域に進むのでは?とも、推測の域を超えるものではないものの、考え過ぎではないのかもしれません。
ただ、私達として認識しなければならないことは、抗PD-(L)1抗体はそれぞれが非常に似ているということです。

BeiGene社への同契約に対する高い評価と期待

中国にとって、このライセンス契約は非常に大きな影響をもちます。中国の製薬業界では欧米大手とのこのような大規模なライセンス契約はみられませんでした。BeiGeneへの投資家は非常に自信を深めているようです。このライセンス契約が発表される前の7月2日にすでに20%もの株価の急上昇があったにも関わらず6日の正式な発表のあとに、更に25%も株価が上昇しております。