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理化学研究所、新しいカルボキシル化酵素の発見と発表

1月17日、理化学研究所(理研)が、天然有機化合物の構造多様性を作り出す新しい生合成経路を発見したと発表いたしました。

微生物が生産する天然有機化合物は複雑な構造を持っています。それらの中から多くの抗菌薬、抗がん剤、抗寄生虫薬、免疫抑制剤などが発見されています。

これまでにアルキルマロニルCoAは還元・カルボキシル化酵素(CCR)によって生合成されることが知られています。しかし、ある放線菌が生産するスタンボマイシン類はアルキルマロニルCoAをその骨格形成に用いているにも関わらず、その生合成遺伝子群の中にCCRに相同性を示す遺伝子が存在しません。

同研究所の国際共同研究グループは新しい生合成酵素の存在を予想し、その解明を試みました。ポリケチド化合物のスタンボマイシンおよびリベロマイシンの生合成機構を解析することによって、CCR反応を経由しないアルキルマロニルCoAの生合成経路を探索しました。

その結果、反応中間体のアシルCoAをカルボキシル化する「酵素SamR0483」が関与する新しい生合成経路を発見、また、生合成工学手法により、アルキンやアジド基といった細胞内での薬剤の追跡や標的タンパク質同定に役立つ“タグ”を持つ新しいスタンボマイシン類の創製に成功しました。

今後、本研究で見いだした生合成システムは化合物の構造多様化に寄与するだけでなく、天然有機化合物の作用機序解明に役立つ上述のタグを導入するツールとしての活用が期待されます。
本研究成果は、国際科学雑誌『Nature Communications』に(12月21日付け:日本時間12月22日)に掲載されております。

出典:理化学研究所プレスリリース