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タラゾパリブはドセタキセル治療歴のある転移性去勢抵抗性前立腺がんに有望

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治療歴のある転移性去勢抵抗性前立腺がん患者でのTALAPRO-1臨床試験結果

TALAPRO-1臨床試験研究チームを代表してJohann de Bono教授は、2月13日に米国サンフランシスコで開催された2020年泌尿器がんシンポジウムにおいて、DNA損傷応答・修復(DDR)遺伝子に変異があり、ドセタキセル(販売名:タキソテール)治療歴がある転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者にPARP阻害薬タラゾパリブを投与した第2相臨床試験の最初の中間解析結果を発表した。同臨床試験チームはタラゾパリブによる単剤療法が同患者群、特にBRCA1/2遺伝子変異がある患者に有望な抗腫瘍作用を示すことを認めた。本治療の忍容性は良好であった。

著者らは論文の試験背景において、PARP阻害薬を用いた第2相、第3相臨床試験で、新しいホルモン療法の治療歴がありDNA損傷応答・修復(DDR)遺伝子変異がある転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者における抗腫瘍作用が示されていると記している。タラゾパリブは、PARPを捕捉する強力な阻害薬である。

TALAPRO-1(NCT03148795)臨床試験では、測定可能な軟組織疾患である進行mCRPCを有し、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CHEK2、FANCA、MLH1、MRE11A、NBN、PALB2、RAD51Cなど、PARP阻害剤に感受性を示すDDR遺伝子に変異を有する患者およそ100人を登録する計画である。

登録対象患者は、1回以上のタキサン系化学療法を含む1~2回の化学療法レジメンを受けた患者、および、1回以上の新規のホルモン療法、特にエンザルタミド(販売名:イクスタンジ)または酢酸アビラテロン(販売名:ザイティガ)を用いた療法の後に疾患が進行した患者であった。

本試験では患者に経口タラゾパリブ1mg/日を投与し、中等度の腎臓機能障害が起きた場合は、用量を0.75mg/日に調整した。患者に放射線学的増悪、忍容不可能な毒性、患者同意による試験中止のいずれかの事態が起きるまで治療を行う。

本試験の主要評価項目は盲検化された独立した審査に基づく奏効率(ORR)である。副次的評価項目は全奏効までの時間、奏効期間、前立腺特異抗原(PSA)50%以上減少、血中循環腫瘍細胞(CTC)数が7.5mL血中で0および5未満に転じること、PSAによる増悪までの時間、放射線診断による無増悪生存期間(rPFS)、全生存期間、安全性、患者報告による転帰および薬物動態である。

事前に計画された安全性および有効性の中間解析は、BRCA1/2 遺伝子変異がある患者20人に8週間以上の治療を行ったのちに実施した。

2019年6月5日時点で、患者81人にタラゾパリブを投与し、2019年2月12日までに登録した患者43人の主要評価項目を評価することができた。そのうちBRCA1/2陽性は20人、PALB2陽性は2人、ATM陽性は14人、他の遺伝子変異陽性は7人であった。

登録したすべての患者はドセタキセル治療歴があり、49%はカバジタキセル(販売名:ジェブタナ)治療歴があった。

奏効率は25.6%(95%信頼区間[CI]13.5~41.2)であった。奏効率は、BRCA1/2遺伝子変異がある患者においては50.0%(27.2~72.8)で、ATM遺伝子変異がある患者においては7.1%(0.2~33.9)であった。

放射線診断による無増悪生存期間の全体の中央値は5.6カ月(95% CI 3.5~8.2)であったが、 BRCA1/2 遺伝子変異がある患者においては8.2カ月(5.6~評価不能)で、ATM 遺伝子変異がある患者においては3.5カ月(1.7~8.1)であった。

治療に伴う有害事象で特に多かったもの(≥20%)は、貧血、悪心、無力症、食欲減退、便秘および血小板数の減少であった。

著者らは、タラゾパリブを用いた治療はドセタキセル治療歴がある転移性去勢抵抗性前立腺がん患者、特にBRCA1/2 遺伝子変異がある患者において有望な抗腫瘍作用を示したと結論づけた。

本試験はファイザー社によって助成された。

参考資料

De Bono JS, Mehra N, Higano CS, et al. TALAPRO-1: A phase II study of talazoparib (TALA) in men with DNA damage repair mutations (DDRmut) and metastatic castration-resistant prostate cancer (mCRPC)—First interim analysis (IA). J Clin Oncol 2020; 38:(suppl 6; abstr 119).

翻訳:有田香名美
監修:石井一夫(計算機統計学/久留米大学バイオ統計センター)
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原文掲載日

出典: タラゾパリブはドセタキセル治療歴のある転移性去勢抵抗性前立腺がんに有望

発行元:海外がん医療情報リファレンス (一社)日本癌医療翻訳アソシエイツ(JAMT・ジャムティ)
発行日: 2020年3月23日

この記事は、日本癌医療翻訳アソシエイツ(JAMT)が翻訳、発行した記事を承諾を得て掲載しております。

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